雑事雑念/登場人物に不親切な描写/自分の世界を観測する
Posted at 09/09/14 PermaLink» Tweet
鳩山由紀夫の息子が紀一郎という名で、考えてみたらこれは鳩山一郎・威一郎というネーミングの流れ名のだということに気がついた。由紀夫・邦夫は一郎の父・和夫の流れな訳で、この一族の5代に渡る名は二つの流れがあることになる。古事記の時代の天皇に「ワケ」系と「イリヒコ」系の名があったみたいなものだな。古代史ではこれで本当は二つの系統があった、みたいな話になるわけだけど、鳩山一族ではそういう解釈も出来まいから、まあ古代史もどこまで本当かはあまり真剣に聞かない方がいい感じがする。
高校の同窓会報が届いたので読んでいたら、同窓の漫画家とフリーアナウンサーの対談が掲載されていてへえっと思ったのだが、なんと少年サンデー時代の赤塚不二夫の担当編集者として有名な武居俊樹氏が先輩だということがわかってまた驚いた。いろいろ多様な人材を輩出していてときどき驚く。私は高二終了時に転校しているのだけど、転校前の学校では椎名桔平や平井堅、伊藤たかみなどが後輩にいる。なんだか自分とほとんど接点がない人ばかりで変な感じだが、同窓というのはそんなものかもしれない。
今日はどうも頭がぼおっとしていてあんまりまともにいろいろなことができなかった。昨日のハイ状態の反動が出て、午前中はソファにねっころがって意識のない時間が長かった。
午前中に銀行や郵便局を回って引き落としや支払いに不足がないようにして、10時ころ戻ってきて近くのヤマダ電機にDVDのレコーダーを見に行く。せっかく地デジ対応の大型テレビを手に入れたのでDVDもちゃんと見られるようにしようと思ったのだ。(今はパソコンで見ている。)再生専用機はツタヤで売っている3980円のものが一番安いようだが、録画が出来ないというのがどうも引っかかって買うのをペンディングにしている。しかし見たところもうブルーレイが出ていて一世代前のものになっているということはあるのだがDVDの録画のできる機械はまだ20000円はする。かといって今更VHSとの一体型を買うのもどうかという気もするし。選択肢がどれも帯に短し襷に長しなのだが、結局は資金不足ということが大きい。なるべく安くというのとなるべく手間をかけないでというのとなるべく長く使えるというのを全部成り立たせるものはなかなかない。
これはパソコンも同じで、なかなか新しいものに買い換える踏ん切りがつかないでいる。ネットブックもいいのだが、ランニングコストがかかるので、そこをこれ以上増やしたくないという気持ちがある。先週カーシェアリングのニュースを見て興味を持ち資料を取り寄せたのだが、やはりランニングコストがある程度はかかるので、それならレンタカーの方がそのときだけで済むから得なのではないかとか、いろいろ考えてしまう。レンタカーより短い時間が設定できるからその分が便利といえば便利だということだろう。しかし自宅から歩いていけるところにステーションがないのが難だ。
あんまり発展性のある仕事をしているわけではないので、現在の消費水準を維持することは何とかなると思うのだけど、今より毎月の必要経費を増やすことには躊躇いがある。自然に結果的に収入が増えるようにもう少し工夫をする必要があるんだろうと思う。
愚者(あほ)が出てくる、城寨(おしろ)が見える (光文社古典新訳文庫)ジャン=パトリック マンシェット光文社このアイテムの詳細を見る |
『超バカの壁』は読了したのだが、どうもそれについて書く気にならず、昼過ぎに出かける。日本橋に行くことにしたのだが、まず地元の文教堂で本を物色したら、マンシェット『愚者が出てくる、城寨が見える』(光文社古典新訳文庫、2009)という本が面白そうなので買った。まだ42/253ページしか読んでないが、実際これは相当面白い。マンシェットは時代的に68年の世代で、ヌーヴェルヴァーグに続く時代のフランス映画に共通する面白さだ。ドヌーヴがでている『赤いブーツの女』とかズラウスキとか。ズラウスキほどやたら過激なわけでは(いまのところ)ないけれども、センスとしては共通するものを感じる。
冒頭がいきなり「トンプソンが殺すべき男はおかまだった。ある実業家の息子に手を出した報いだ。」というくだりからはじまるのもおかしかったが、「リヨンとパリの間の駐車場に停め」、というくだりも「いくらなんでも間が長すぎるだろ!」と思わず突っ込みを入れてしまった。精神病施設の描写もこれは一歩間違うとヤバイという危険な可笑しさ満載だ。主人公?のジュリーの描写も、「背の高い痩せた娘で、頬がこけ、髪は豊かで真っ黒だった。血の気のない顔だが、唇は濃い赤だ。美しいのに、人をどきりとさせるところがあった。女装した男のようにも見える。」これはありそうでなかなかでない描写だ。この登場人物にとことん不親切な描写の仕方がおかしくて仕方がない。
「護身用の武器だ。悪いが、私は悪の帝王じゃないよ。」「石鹸会社の帝王だって聞いたわ」このやり取りもおかしい。「「ものの見方によっては」アルトグは答えた。「私は財団のビルを建設することで、兄に抱いた殺意の償いをしているのかもしれん」」いきなり初対面の娘に自意識を分析してみせるのもなんとなくこの時期のフランス映画っぽくて好きだ。家の中に何枚もモンドリアンやポロックがかかっているという描写もいいな。そういう家に住みたいものだ。坑うつ剤のトラニフルをスコッチで流し込む、という描写をおいおいいいのかよと思う。なんかでたらめなあの時代を思い起こさせる。
こういう「登場人物に不親切な描写」というのはチャンドラーとかにもあるのだけど、チャンドラーのは何というか格好のつけすぎで、思いいれのある人物だと突き放した感じがなくてそこら辺のところがどうもべたつく感じがある。その辺のカッコのつけ方と思いいれのある人物をかっこいいだろうと言いたげに書く感じが村上春樹に似ていて、そのあたりがチャンドラーと村上の親縁性なんだろうなと思った。私はどちらかといえば、思い入れのあるように書いたらどの人物もそうなってしまうし、突き放して書いたらどの人物もそうなってしまう。登場人物に差別をつけるのが基本的にあまり好きではないんだよな。チャンドラーや村上に違和感を感じるのはそういう点で、つまり彼らの書き様というのは、基本的に「世の中にはいい人(あるいは自分の仲間)と悪い人(つまりは仲間にはしたくない人)がいる」という世界観が貫いていて、そのあたりがどうも隙とは言い切れない感じがあるのだとこの本を読みながら思った。私は、戯画化するならすべて戯画化する、そうでなければ本当に悪い人は誰も出てこない、というような話のほうが納得できる。だからアメリカ的な勧善懲悪小説(つまりチャンドラーや村上)よりもフランス映画的なある種のドタバタのほうが好きなんだなと思った。
まだ読み終えてもいないが、マンシェットの小説をまたもう少し探してみようと思った。
三教指帰 (中公クラシックスJ16)空海,松長 有慶中央公論新社このアイテムの詳細を見る |
地下鉄で日本橋に出て、丸善のカフェでハヤシライスを食べる。本を少し物色したが欲しいと思うのがなく、ぶらぶらと東京駅のほうへ。八重洲ブックセンターの一階を冷やかし、内堀通りを南下。通りを渡って国際フォーラムに出て、有楽町そごう跡のビックカメラでDVD機器を探すが、結局ヤマダ電機で見たのと結論は変わらず。東京羊羹を探したが見つからず。(今ネットで見たら喫茶室は閉鎖されたらしい。残念)教文館まで歩いて本を物色。暮らしの手帖の編集長の本がちょっと面白いかなと思ったのだけど、結局買わなかった。買ったのは空海『三教指帰』(中公クラシックス、2003)。考えてみたら空海の著作というのはちゃんと読んだものがない。この本も、分厚くて骨が折れるかなと思ったが、中身を見てみると本文より注釈のほうが10倍くらいありそうだったので、本文だけならわりとすぐ読めるかもしれないと思った。空海は本当に幅広く活動した人で、単なる求道者ではなく思想家や文化リーダーの顔も持っていたから、その著作も多岐に渡り、内容も豊富なようだ。時々こういう古典に触れて見るのは楽しい。日本の古いものは、わりと読みにくそうに見えるけど本当はそうでもないものが多い。特に現代語訳してあればなおさらだ。
教文館の4階のカフェで一服し、松屋の地下で銀ムツの照り焼き膳を買って帰宅。
『三教指帰』の解説を読む。空海の思想は幅広いので、四つの観測点を設けてそれを足場に彼の思想を探る、ということをいっている。伝統の継承、密教の理論化、密教の綜合性、対社会活動の四つである。それを読んで、ああ、空海も「やりたいこと」というのが一つではなかった人なんだなあとなんだかわかった気がした。「やりたいこと」とか「やるべきこと」というのを一つに絞らなければならないという思い込みがずっと強くてそれがイヤだなとずっと思ってきたのだけど、むしろそう考えるのではなく、自分の世界をとらえる観測点のようなものをいくつか考えて、それを足場にいろいろなやりたいことをやっていくと考えたらいいのではないかと思った。そのときそのときはそのときやっていることに全力で取り組まなければいけないということはあるにしても、自分の世界の中の今どのことをやっているのかということは考えればわかるようにしておくことが大事だと思った。そんなことに今更気がつくなんて、なんだか本は読んでみるものだと思う。
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