主な落選議員、意外な当選議員
Posted at 09/08/31 PermaLink» Tweet
私自身だけに(?)面白い総選挙トリビア。主な落選議員、意外な当選議員。
昨日の総選挙では「おそるべき民意」と言うものが示されたわけだが、常識的には磐石だと思われているものが案外もろかったと言うことを如実に示したものでもあった。また単なる一発屋だと思われたものが案外強かったり、おそらく選挙のプロでも予想できなかった多くの現象が起きたと思うし、またここまで日本人は幼稚なのかと呆れる現象も起きていたように思う。「天の声もたまには変な声もある」とは福田赳夫元首相の言。
まず天が崩れてきた人たちから。海部俊樹元首相。首相経験者の落選は1963年選挙の石橋湛山・片山哲以来だそうだ。石橋など、病気で首相を辞めてまだ数年しかたっていない時点の落選だから、それに比べれば海部など今までよく生き残ってきたと言うようなものかもしれない。特に民主党の強い愛知県で今回はやむをえなかろう。このまま引退のようだ。
山崎拓、久間章生、笹川尭。この辺はまあ見かけ大物だが、なんか在庫処分という感じでいいでしょう。赤城徳彦、丹羽雄哉、鈴木俊一。分けわかんなかったり選挙に弱かったり。年齢に関わらずこのあたりも在庫処分という感じかもしれない。宮沢洋一ら、世襲議員も、本人がだめならだめと言うのが今回の選挙だった。深谷隆司、島村宜伸。中堅以上重鎮未満という感じの、こういう人たちが大量に落選した今回の選挙は、自民党にも相当の世代交代をもたらしたと思う。当選議員の平均年齢を比べてみたら、前回選挙より相当下がってるのではないか。片山さつき、佐藤ゆかり。天網恢恢疎にして漏らさず。
公明党は小選挙区全滅、太田代表、北側幹事長、冬柴元国交相と「大物」全員討ち死に。こういう選挙になると組織選挙がいかに弱いかと言うことを如実に示した。国民新党も綿貫代表亀井幹事長が落選。当選者は3人いるが、これは党存亡の危機だろう。
中川昭一。この人だけは惜しい。比例で復活当選もならなかった。期待しているので次回に雪辱を期してもらいたいと思う。
保坂展人。前回は自民党の候補者が足りずに比例で棚ぼた当選するという悪運の強さを見せたが、今回はならず。ようやく清々した感あり。
有田芳生。物凄く競り合ったが競り合いで敗れる。しかし新党日本の比例区での得票は小選挙区での有田の得票より少なく、復活ならず。参議院繰り上げ当選を辞退しただけに気の毒だが、まあ少し固い人だしアピールが足りなかったということなのだろう。
西村真悟。以外というほどでもないが、民主党を離れ改革から立候補していたが三位に甘んじた。頑張って欲しい人ではあるが、彼個人の力では限界がある。平沼赳夫らと共同して新しい勢力が作れないものかと思う。
意外な当選者。郵政選挙で自民党を離れ、小池百合子に落選させられた小林興起が、今回東京選挙区の民主党名簿25位に比例区単独で搭載され、当選を果たした。東京で立候補した民主党の議員は小選挙区・比例合わせて落ちたのは一名のみ。この人はもう出てこないかと思っていたのだが、思わぬところで生き返ってきた。
小泉進次郎。朝日新聞を読んでいると、元首相や兄の孝太郎の応援を一切受けずに選挙活動を続けたのだという。当選の弁を聞いていたら、この人案外しっかりと日本の未来を考えている人なのではないかという印象を受けた。世襲批判はついて回ろうが、頑張ってもらいたい。
柿沢未途。東京15区は私の投票した選挙区。自民党の木村、民主党の東とみんなの党の柿沢の争い。自民党の木村は麻生下ろしをしたり靖国不参拝を言っていたので今回は入れたくなかった。かといって事故だか事件だかで都議を辞任した柿沢に入れる気はなかった。東は公明出身だが小沢について公明を離れ、創価学会を敵に回しながら、拉致問題などを西村真悟らとがんばってきていたということもあるので、民主党ではあるが今回は投票した。小選挙区は人物本位、比例区は政策本位で自民党ということにした。東は選挙速報開始後即当確が打たれていた。柿沢はさすがにないだろうと思っていたが、比例区で復活当選して驚いた。
中川秀直。この人は落ちて欲しかった。町村・武部ほか、小選挙区落選が伝えられたときにはやったと思ったのに比例で当選。このへんは自民党復活に際して波乱要因として残ってしまう可能性がある。
前回自民党が票を取りすぎて候補者が足りなくなり、社会党の保坂が当選したことは上でも触れたが、今回も民主党の候補が近畿で二人足りなくなった。また同じ近畿と東海でみんなの党が一議席を得るはずだったのが、小選挙区との重複立候補で有効得票の10分の1が獲得できず、むざむざ議席を逃した。どちらも単独候補を立てていれば計7議席となり、社民党と同じ(笑)議席数になったわけで選挙戦略の失敗というしかない。しかし東海の議席は民主党に回ったために、民主党は差し引き1議席損、みんなの党は2議席損、自民党が2議席得、公明党が1議席得となった。
それにしても、「みんなの党」は、朝日新聞を資料にした手元の集計によると(私も暇だね)全国で296万票あまりを獲得している。これは、北海道・北陸信越・中国・四国で候補を立てなかったにもかかわらず、社民党よりも多い。社民党もまったく情けないが、こんなふざけた名前の党がこれだけ得票を得たということは(候補者本人が全然支持されてないにもかかわらず)、認めたくないことだがネーミングが成功したのだと判断するしかない。日本人がどれだけ幼稚化したかということだと思う。次回総選挙ではきっとこの手の馬鹿げた幼稚な名前の党がたくさん現れるかと思うと頭が痛い。
また「みんなの党」の渡辺喜美代表の選挙もどうかと思う。栃木3区の立候補者は、渡辺のほかは幸福実現党だけだったのだ。自民党から森山真弓が立候補の動きがあったが結局潰された。実質無投票当選。幸福実現党の候補が7000票あまり取っているが、これはざっと見ただけで完全には確認してないが、おそらくこの党の小選挙区における最高得票数だろう。渡辺に対する批判票をこういう形でしか表現できなかった栃木3区の有権者は全く不幸だったと思う。
全体的に見て思うことだが、北海道および本州中部から東は民主党が圧勝しているのに比べ、中国・四国・九州は比較的自民党が健闘している。これは、西のほうが比較的地縁が強く、こうした逆風の中でも自民党支持者が踏みとどまったということかもしれない。またもともと民主党が強い北海道や東海はともかく、保守的だと考えられていた東北や北陸信越でこれだけ民主党が圧勝したのは、それだけ小泉構造改革が地域社会を破壊したということなのかもしれないと思う。この変化に関しては今後しばらくのあいだジャーナリズムだけでなく政治学や社会学の分野からも分析の対象になるだろう。政治はともかく、日本の文化や社会がこれからどのような変化を見せて行くのかには関心を持たざるを得ないので、時々は言及して行くことになろうかと思う。
***
当選議員追加。
中島政希。民主党北関東比例区から初当選。以前、中島さんのホームページでその主張を読み、民主党にも信頼できる考えの方がいると安心したことがあった。メールのやり取りを少しさせていただいたことがある。もう何年も前のことで、それ以来中島さんの動向は気にしていたのだが、選挙の結果は思わしくなかった。ようやく志を遂げられたことをかげながら嬉しく思う。石橋湛山の側近だった石田博英代議士や、さきがけの田中秀征代議士の秘書も務められ、ホームページ「今週の主張」を読ませていただいていろいろ勉強になった。個人的には年は違うが誕生日が同じだと言うこともある。
中島さん、おめでとうございます。民主党の海のものとも山のものともつかぬ新人群の中で、中島さんのようなしっかりした保守のスタンスの方がいることは大いに安心できることです。ご活躍を期待しています。
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