自分の性格について/伝統について/など
Posted at 09/07/07 PermaLink» Tweet
自分の性格について考える。
最近まであまりきちんと客観的に認識していなかったが、私は枠組とか常識というものにすごくこだわってしまうたちなのだ。枠組とか常識どおりに行動していると落ち着くのだけど、しかし自分でそれが見出せないときは非常に緊張してしまい、変なことになることが多い。枠組=「こうあるべき」ということにこだわりすぎて臨機応変に判断を変えることが出来ず、困ったことになる。
それでいて、そういう枠組のようなものが好きかというと、そうではない。そういうものをいつもあまり考えないで行動したいと思う。だから、自由に動ける範囲では自由にやれる、つまり自分の慣れたフィールドの中では好き勝手に行動するし、そういう自由さが欲しいと思っているのだけど、振舞い方がわからなくなるとあまり適切な行動が取れないことが多い。
自分の興味があること、美しいものを追求するのでも、ついそういうことを考えて二の足を踏んでしまうことが多く、それはやはり乗り越えなければならないところだと思う。「何にひかれるのかはよくわからないのだけどなんとなくひかれる」というのは大事なことが多いと思うし、説明できないからこそ意味がある、ということもある。純粋に美しいものが好きだ、とか、花を生けたいと思う、という理由で行動したっていいのだ。
そうだな。むしろそういうものは自分にとって聖域なのだから、そういうことをしっかり押さえておくことは重要なことだ。フレキシブルに考えた方がいい。
枠組みというものにこだわってしまうのは、自分の判断に自信が持てないという部分が大きいんだなと思う。経験をつんでいくと、自分なりの枠組が出来てきて、そのことについては大体自分で適切だと思うように判断が出来るようになっていく。
問題は、枠組に自分の判断を預けてしまい、自分が本当に何をやりたいのかを自分から隠してしまうことだ。本当に、自分のやりたいことに自信が持てないことが多いからなのだけど、そこは実際乗り越えて行かないといけないと思う。
伝統、というものについても考え直さなければいけないなと思う。
私は、伝統というものはとても大事なものだと思う。ヴィーコが言うように、人間の世界というのは自然科学の世界とは違い、「真実」はなく、「真実らしいもの」しかない。だから「真実らしいもの=伝統」をむやみやたらに壊してはいけない、というのはその通りだと思う。
しかしやはり考えなければいけないのは、ただそれを墨守すればいいというのとも違うと言うことだろう。伝統の中でも変えていった方がいいことは、特にこの変化の激しい時代にはあるだろうと思うし、ただ変えるなというだけでは変化こそ善とする進歩主義者に対して説得力を持ち得ない。ごりごりの伝統主義者とかごりごりの進歩主義者というのはなかなか説得するのは難しいにしても、ある程度フレキシブルな考えを持つ人たちに対しては、伝統を守りたいと考える側でも何は変わってもよく何を変えてはならないかという基準をちゃんと持たなければならないと思う。
私は、その基準というのは、美しさ、ということではないか、と思った。美しいものは守る、という方向だ。そうなると何を美しいとするか、ということが大切になるが、結局まず一番重要なのは、何が美しいのか、どういうものが美しいのか、どういうあり方が美しいのか、どういうたたずまいが美しいのか、そういうことを感じ取り、理解する力だと思う。伝統というのは自然科学的な真実とは違うから、客観的に見てどうこうということは美しさに関してあまり意味がない。むしろそういう主観的な美を理解する力、のようなものが伝統を守っていくのだと思う。特に日本の伝統に関してはそうではないかなあ。
何というか、伝統の中にも、押し付けがましいだけの、あまり美しくない、あまり守る意味もない、ものだってあるだろう。そういうものの本当の意味というのを見出すことは難しい。一見暴力的な、そういう伝統こそが、美しさを支える基盤だったりすることもなくはないだろうからだ。だからそういうものを理解しておかないと、美しいものを守るということもそう簡単なことではない。
自由にしていれば美しい、ということはないのだが、美しいものには必ず自由さがある。究極の決まりごとの向こうにしか表現できない自由というものもある。
自由と美しさ、というのは古くて新しい問題だと思う。
自分の行動の判断も、自分が美しさを追求するのだ、という立場で考えると一つ筋が通るかもしれない。それをするために今は一見美しくない、スマートには感じられない行動をしなければ行けない、ということもあり、そのあたりも自由と美しさという問題と関わりがあるように感じる。
このあたりのところ、もう少し考えて見るといいかもしれないと思う。
***
伝統というものを大事に考えるのは、自分がそういう枠組についこだわってしまう志向を持っていることともちろん無縁ではないと思う。枠組みというものには、何かしら人間の、特に先人の知恵があると感じるからだろう。その知恵をいつも感じながらその枠組を使うのならば、その知恵と関係がなくなったところでは、自分の判断を入れていいということにもなる。知恵というものは大事だな。
問題は、その知恵というものをどこまでちゃんと理解できるかということだ。常識というのは本来、知恵なんだな。今唐突にその認識に達したが、それは大事なことだ。知恵を感じる力というのも美しさを感じる力と同様、しかしそれよりはおそらく客観的な同意を得られそうなものだけど、しかし根本的には自分が「そうするほうがよい」とか「よくない」ということを感じる力が大事であることに違いはない。その知恵とは結局、自分を大事にし、相手を大事にし、共同体を大事にし、もっと大きな人とのつながりを大事にすること、が基本だろう。ケンカにもケンカのルールがある、ということで、たとえば警察のけんかの仕方(制圧が基本)と軍隊のけんかの仕方(相手の戦闘能力の無力化が基本)といったルールがある。それは逆説的ではあるが、それが相手を大事にする仕方でもある。
それが倫理というものなのだろう。倫理というものはだから、常に変化する世の中の中で、何が「そうするほうがよい」ことなのか、常に流動的である中で、一つ一つについて判断していかなければならない、実は自由度の高いことなのだ。それが善、ということになるのだと思う。
***
「美」、「善」と来たので「真」についても考えて見たい。真というのは科学的な心理というものもあるだろうが、人間にとってはたとえば「人は必ず死ぬ」ということだろう。その究極の真実に向かって人は生きるわけで、それをどう考えるかということが「真」の基本になる。
そういう意味で言えば、人間の生きる上での真理というのは、絶対的なものではない。宗教や哲学によって考え方は違ってくる。それを越えた絶対的な真理というのは、おそらく人間の手の届くところにあるものではないような気がする。
しかし、まあそういう意味で言えば、人間の真も善も美も、それを見つける力、それを判断する自分の力によって見つけ出し、日々変化する世界の中で一瞬一瞬に実現していくしかないものなのだろう。そういう見方は多分大事なことなんだろうと思う。
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