『文学界』の村上春樹「1Q84」特集/『日本の伝統美を訪ねて』
Posted at 09/07/08 PermaLink» Tweet
昨日帰郷。丸善で本を探していたら、『文学界』が村上春樹『1Q84』についての特集をしていてそれをつい買ってしまい、目的のものを買うのを忘れてしまった。こりゃアマゾンとかで注文した方がはやいな。ただ、1500円以上にしないと送料がつくので何かほかにも頼む必要がある。何を頼もうかと考えている。
車中ではその文学界と白洲正子『日本の伝統美を訪ねて』を読む。
文学界 2009年 08月号 [雑誌]文藝春秋このアイテムの詳細を見る |
文学界の『1Q84』特集は少しずつ読んでいるのだけど、なるほどと思うことはあってもものすごい発見というほどのものはなかった。興味深かったのは、どの評者も青豆編の方を高く評価していることだ。私はこちらの方はそれなりに面白い良くできた活劇小説だとは思っていたが、こちらの方がアンバランスに評価が高いことは少々意外だった。もちろん、青豆がこの世界は自分の知っている世界とは違う、ということに気がついてその謎を少しずつ解き明かしていくくだりは確かに面白い。登場人物がなんというか映画のようで、老婦人やタマルというキャラクターもなんとなく『セーラー服と機関銃』の中の悪の親玉の屋敷みたいな風景が思い浮かびながら読んでいた。村上のアメリカ現代小説の翻訳業からの影響のようなことをみな書くけれども、基本的にこれらの場面は日本的な感じが漂っているように私には思える。
巻末の「鳥の眼・虫の眼」を読んで思ったが、確かにこの『1Q84』という小説は批評という制度そのものを小ばかにしているというか、あざ笑っている感じのところがある。小説中に「俺が望んでいるのは文壇をコケにすることだよ」というセリフが出てくるが、批評を批評する内容が確かに多い。「鳥の眼・虫の眼」は、批評家にとって「壁と卵」の壁だ、やれやれ、といっていて可笑しかった。確かに、批評というのはこういうことを書けばいいのだ、というような批評ばかりが幅を利かせていることは事実だと思うし、そういうものを超えた批評が書かれなければ批評というものの未来はないということもまた確かだと思う。そういうふうに考えれば、これは村上の批評というものに対する挑発でもある。
日本の伝統美を訪ねて (河出文庫 し 15-1)白洲 正子河出書房新社このアイテムの詳細を見る |
『日本の伝統美を訪ねて』。美というものは何だろう、という最近の問いかけについて、白洲がいろいろなことをいっているなあと思う。面白いと思ってつい読み飛ばしているのだけど、ちゃんとメモしながら彼女の言っていることを把握しなおさなければならないなと思った。
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