切実さと冷静さと
Posted at 09/04/27 PermaLink» Tweet
一昨日夜帰京。雨が降っていた。かなり強く降っていた時間が長かったせいか、仕事は暇だった。一本早い特急で上京することも不可能ではなかったが、とりあえず時間までいて帰る。特急の中では河合隼雄『コンプレックス』を読む。どうも頭の中がごちゃごちゃしてくる。
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昨日。いろいろ考えながら頭の中を整理しつつ、それを図にしたり。今まではいろいろ考えていても自分の自我にあまり関わってこないところで考えていたので気分に影響するところが少なかったのだけど、自我と意識、無意識の関係とか無意識の中にあるコンプレックスやアニマなどのアーキタイプとの関係とか考えているとだいぶごちゃごちゃしてくる。というのは、自分の中に集団に対するコンプレックスがあるなあとか、自我の問題に関わることはあまり正面から向かい合ってきてない面もあるなあとか、そういうことをごちゃごちゃ考え始めてしまったからだ。しかし、考えているうちに最近にない切実さと冷静さと両方が働いて自分の考えが整理されてきて、やはり考えた意味はあったという感じになってきた。
自分の志向性として「癒すこと」(野口整体とか)、「知ること、掘り下げること」、「自分を保つこと」という三つの方向性は意識されていたのだけど、それに対して「書くこと」が上手く整合しなくてどうしようかという感じだった。「書く」といっても、人に対して表現することだけではない。このブログに書いていることだって人に対して書いているというよりも自分に対して書いていることのほうが場合によっては多いので、「書く」という行為がシンプルにひとつの目的として捕らえられるわけではない。モーニングページやこのブログはそういう意味ではどちらかというと「自分を保つ」ために書いている面が強いわけだ。
「書く」ということもさらに広げて「話す」ということになると、「教える」ために話すときもあれば明らかに相手を「癒す」ために話しているときもある。またもちろん自分の考えを深め、掘り下げ、新しい発見をするために話しているときもあるので、これもまたひとつの目的と言い切れない。それでは、癒しでも探求でも自己保全でもない「書くこと、話すこと」、つまり言葉の働きは何なんだろう、と考えて、それはつまり「つくる」ことなんだなと思った。
「つくる」こと、というのを考えて見ると、つまり、何か仕事をやるということは何かを作ることなんだ、ということに思い当たる。今まで実際、なんとなく生きてきて、「つくる」ということを明確に意識したことは、「つくること」を実際にやっているときもあまりなかった。流れ、というか動きとして、自然ということにほとんどの気持ちが行っていたので、人為として何かを作るということをあまり考えてなかった。そういう意味では天然で老子的というか、無為自然主義みたいな感じだったんだなと思う。
しかし生きるということの意味を考えて見ると、というかそういうものがほしいのであれば、やはり何かをやった、何かを作ったということこそが一番そういう実感につながるものなんだろうと思う。生きるということの意味を欲しがるなんていうのは実は弱いことなのかもしれないと思わないでもないのだけど、まあでも実際弱いんだろうなと思う。しかし意味を考えた方がよりよく生きられるかもしれないわけで、まあこれからはそういう方向にスイッチすればいいかと思った。
つくるということを考えてみると、実は生活面のすべてで「作る」という立場から考えることが出来るんだなと思う。たとえば本棚も「作る」と考えてみることが出来る。それはワードローブもそうだ。というかそういう考えで意識的にやっている人はたくさんいるし雑誌の特集なんかもそういう立場から作られていることは確かなんだが、私は基本的に場当たりでやってきたので本棚も一貫性がないしワードローブも無茶苦茶だ。何で買ったんだかわからないものとか、なんで取っておいてあるのかわからないものが家の中に溢れていて、そのせいで家の中がずいぶん狭くなっている。
だから本棚もタンスの中も「つくる」という意識を持って整理してみるといいんだなと思う。大袈裟に言えば、「塩野七生コレクション」とか「神曲関連コレクション」みたいな感じで、コレクションをつくる、という感じで整理してみる。本棚が11もあるのにほんとにごちゃごちゃになっているので自分の嗜好性もワケがわからなくなってきているけれども、少し整理しだすとなんだかいろいろはっきりしてきて、自分の中がごちゃごちゃしているのもそのせいだったんだということがだんだん分かってきた。
街角花だより (アクションコミックス)こうの 史代双葉社このアイテムの詳細を見る |
本棚を整理していて出て来たこうの史代『街角花だより』を読む。これは花屋さんが舞台のマンガだった。買ったときはこうの作品だから買ったのだけど、今になってみると「花」をテーマにしたマンガでもあって、いろいろなことに有機的につながっていく。「つくる」という方向で整理していくと自分の過去と現在とが一つの未来をきちんと指していることが少しはわかってくるんだなと思った。
誰も寝てはならぬ 4 (4) (モーニングワイドコミックス)サラ イネス講談社このアイテムの詳細を見る |
とはいっても相変わらず本は買っていて、昨日は昼ころに日本橋に出かけ、丸善でサライネス『誰も寝てはならぬ』の4~5巻を買った。『ダヴィンチ』の5月号を買ってないことに気づき、ぱらぱらと見る。『誰寝』はなんだかほんとに読んでげらげら笑ってしまうのだが、大阪人というか関西人というのが、本当に生活の中に「笑い」というのが根付いているんだなと改めて思う。大阪人の会話の面白さというのが自分の言語感覚の根本にはあるなあと改めて思う。こういう関西小話系の(舞台は東京赤坂だが)マンガや作品はやはり自分にとっては大事なものだと改めて思った。プレッセで昼食の買い物をして帰る。
まあそんなふうにちゃんと「つくる」系に頭がいったのは本当に夜遅くなってからの話で、今朝は朝5時半に起きてそういうことをしている。
昨日はさらに夕方というか日の暮れたころにまた出かけて、丸の内の丸善で文房具を少し買い、『誰も寝てはならぬ』の6~7巻を買った。日曜日の夜だからか4階のカフェはもう空いていて、夜景を見ながらイタリアのワインを一杯。プレミアムハヤシライスを食べた。
誰も寝てはならぬ 6 (6) (モーニングワイドコミックス)サラ イネス講談社このアイテムの詳細を見る |
あ、そうか。『誰も寝てはならぬ』って『トゥーランドット』のアリアだった。amazonで検索してようやく気がついたが。荒川静香が使ったんだったな。『仮面舞踏会』も浅田真央で有名になったし、クラシックもこういうことで見直されるんだな。
No.295 プッチーニ/歌劇「トゥーランドット」より 誰も寝てはならぬ日本楽譜出版社このアイテムの詳細を見る |
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