比喩
Posted at 09/01/08 PermaLink» Tweet
ダ・ヴィンチ 2009年 02月号 [雑誌]メディアファクトリーこのアイテムの詳細を見る |
昨日。午前中は松本に行き、午後は『ダヴィンチ』を買いに行ったあとは部屋で休んでいたら転寝でけっこう寝入ってしまい、しかしおかげで体はだいぶ楽になった。仕事は10時前まで。けっこう忙しく。いろいろなことに区切りをつけ、また前に向かっていかなければならない切り替えのとき。こういうときは忙しい。いろいろなことが表に出てくる。
今朝は6時過ぎに家を出て、ファミリーマートで『モーニング』を買ったあと、職場に出て缶びんペットボトルを捨てに行く。帰って来て『モーニング』を読んだら今週号は「西遊妖猿伝」が載ってないのは知っていたけど「へうげもの」も載っていなかった。あれまあ。これも隔週で、同じ週に掲載されるなら買うのは二週に一度でいい。でもときどきサイクルが変わったりもするだろうから、確認しないと。しかし月初めのこの時期は読んでいる雑誌があまり出ないので飢餓感がある。だからまあいいかという感じ。「とりぱん」はわりと面白いなと思ってきた。
博士の愛した数式 (新潮文庫)小川 洋子新潮社このアイテムの詳細を見る |
昨日買った『ダヴィンチ』も「テレプシコーラ」以外ほとんど読んでなかったのでぱらぱらと読んでみる。意外と面白いと思ったのが岡野宏文・豊崎由美「それでも作家になりたいですか」。今週は比喩の話で、小川洋子『博士の愛した数式』を誉めている。小川の比喩のうまさは村上春樹の影響で、村上春樹の比喩がバタ臭いのに対して小川の比喩は和の雰囲気で読みやすい、という話。比喩を学ぶためのお勧めの方法として、岡野は『日本語表現大辞典 比喩と類語三万三八〇〇』という本を推薦し、豊崎は詩を読むことをすすめている。エリュアール、ポンジュ、西脇、小説ではブラッドベリなど。
日本語表現大辞典――比喩と類語三万三八〇〇小内 一講談社このアイテムの詳細を見る |
岡野「比喩っていうのはある意味、世界認識の更新なんだよ。つまり別個のイメージを与えることによって、今まで見えていた世界とは違う世界が見えてくる。だからそういうことに面白さを感じない人にはついていきにくい側面はある」
豊崎「世界の更新であり、異化なんだよね。見なれた世界に新たな光を与えてくれる。あとエピファニー(本質を明らかにするような発見やその光景)っていう効果もあります。」
あと注意として、比喩は両刃の刃であり、センスのいい人は小説を何倍にも膨らませられるが、センスのない人はむしろ小説を劣化させていくということ。比喩にも直喩だけでなく、暗喩、換喩ほかに提喩、諷喩、とあるということ。
全体的になるほどと思ったし、ただ単に毒舌な人たちだと思っていたのでこうした前向きで建設的なこともいうんだと思って見直したという面もある。『日本語表現大辞典』というのはけっこう役に立つのではないかとも思った。
「比喩とは世界認識の更新」、というのはなるほどと思った。そうなんだよな。だから自分が知っている範囲の言葉、知っている範囲の表現を使っても何も起こらないから意味がないのだ。だからと言って飛躍しすぎると読むほうにはちんぷんかんぷんだし、自分自身もわけのわからない世界に入ってしまう。跳び方の技術みたいなものが有り、その調子のよしあしがそのときかいている文章の成否を決めるということは多い。
村上春樹の比喩を基本的には誉めているのだが、私はどちらかというと彼の比喩はあんまり好きでないことが多い。バタ臭いということも含めて、どこか押し付けがましい感じがするからだ。小川洋子の比喩はそんなに感じないけれども、でもそれだけ才気煥発という感じもしない。逆にそのあたりに意を用いているのかもしれないとも思うけれども。
村上の翻訳が好きなのは、そうした(私にとって)無理な比喩がない、元の文章に基本的には忠実に訳しているので、そこに彼の文才が遺憾なく発揮されている感じがするからだ。自然体の村上がそこにいるというか、そういうものが私は好きなんだなと思う。
それにしても比ゆというのは自分にとっても重大な問題なのに、今までこんなふうにきちんと考えたことがなかったなと思う。比喩はもちろんセンスの問題でもあるが、技術の問題でもある部分は大きいから、そういうことを知っておいた方がいいと思った。
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