小説が苦手な理由とファーストフードが苦手な理由
Posted at 08/12/15 PermaLink» Tweet
昨日。サントリー美術館にピカソを見に行く。六本木にいったのは久しぶりで、ミッドタウンも前回のロートレックを見にいったときよりは客観的に見られた感じがする。前回のときはとにかくものが食べられない時期で、外食的なものが並んでいるスペースを脇目をふらないようにして通り過ぎたのであまりいい印象がなかった。今回は美術館のカフェだけでなくミッドタウン内の飲食店で食事をしたので印象がかなり違う。全体に前回より印象がいいのはなぜなんだろう。ロートレックを見たときと今回とでサントリー美術館の印象そのものも相当違うのだけど、こちらの気持ちの問題だけだろうか。
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午後は3時ころおなかが減って、クリーニングを取りにいったついでにコンビニでカップラーメンとあんぱんを買った。カップラーメンというものを食べるのもずいぶん久しぶりだったが、要するに塩味のきいたスープを体が要求してたんだなと思う。カップラーメンはカップラーメンだなと思ったけれども。夜は夕食の買い物をしに西友に出かけ、安売りのバラの花と本を二冊、ついでに買う。『あの人に会いたい』(新潮文庫、2008)と堀江敏幸『雪沼とその周辺』(新潮文庫、2007)。本屋で立ち読みしたときには面白そうだったのだけど、いざ読み始めて見ると今ひとつ。気分が乗らない。
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結局野口晴哉『人間の探求』とフランケル『ヴィジョナリーズ』の続きを読む。この二冊は結構ハードなので、なかなか読み続けられないのだけど、やはり本当に読みたいのはこの二冊のようで、他の本をついつい買ってしまうのは、この二冊を読むために気分を変える箸休めのようなものなんだなと思った。現在川久保玲までようやく読んで、171/223ページ。
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川久保は独身だと思っていたので、その御主人がフランス人で建築家だというのは始めて知った。その関係でネットを調べていたらあのスピード社の水着レイザーレーサーのデザインがコムデギャルソンだということを知ってまた驚いた。何だか前衛的だなとは思っていたけどそうだったのか。
ファッションも身体も、突き詰めていくとある種の精神性がある。私が魅かれるのは、どういうものに対しても結局そういう部分なんだなと思う。ただ、それが哲学のような言葉だけで構成されているものいに対してはあまり興味が湧かないし、ファッションにしても身体にしてもある種のビジュアル性というか、視覚的なもの、感覚的なものがないとだめなようだ。言語でなく精神性を語るもの。たくさんある、たくさんありすぎるのだけど、近づくのは言語に比べて遙かに難しい、感じもする。遙かに易しい、感じもするのだけど。近くて遠く、遠くて近い、ものなんだろうなと思ってみる。
私が小説がどうも苦手なのも、どうもその「文字に限定」されているあたりなんだなと思う。歴史ものが好きだったのは、それがリアルな手触りがあるというか、実際にそこに行けばその残り香を感じることが出来るという前提があるから、たとえ実際に行かなくてもイメージが広がり得るからなんだろうと思う。あとはなんだろう、小説を読んだときに他人の感覚を追体験させられる、あの感じがあんまり好きじゃないということもあるな。感覚的なものが本当に近い人の書いたものじゃないと、読んでいて気持ち悪く、我慢できなくなってくるところがあるのだ。感じすぎなんだろうけどなあ。まあそういうわけで、小説というものは私は苦手だ。あえて読むことで人の感覚を知ろうというときもないわけではないんだけど、こちらに勢いがあるときでないと自分の感覚というか精神性が影響を受けすぎてしまう。特に打算的なとか現金な(と自分が感じる)ものの考え方をする小説とかドラマって本当に苦手だ。それって文字で書かれていることと何らかの関係があるのかな、という気もする。
夜はグランプリファイナルのエキジビションを見ようと思っていたが、なんとなくNHKを見ていたら『篤姫』の最終回で、そちらもちらちら見てしまった。おかげで小塚の演技を見逃してしまったが。ドラマ自体は今まで見ていないのでよくわからないが、12歳から49歳の役作りというのはなかなか頑張ってるなと思った。ネットで読んだインタビューでも宮崎あおいは『篤姫』に打ち込みすぎて次に何をやったらいいかわからない、という状態だといい、実際そうなんだろうと思った。ドラマはまあ、あまりにホームドラマ過ぎて正直見る気がなかったからこういう総集編的なものでこういう感じだったのかと思うに過ぎないのだが、西郷とか大久保は貫禄がなさ過ぎてちょっと冗談臭い。まあいまとなってはそういうとてつもない貫禄なんてものを演じられる俳優なんかいないだろうし、無理な注文なんだろうけど。だいたいホームドラマの中にそういうとてつもない貫禄の人が出てきたら可笑しいし。今はこういうものが受ける時代なんだなあということだけはしみじみ思うけれども、ただ主演の宮崎の健闘はすばらしいものであったのは十分感じ取れた。
それにしても次回予告ででてきた阿部寛の上杉謙信は素晴らしい。以前ガクトが謙信をやったのがあったが、あれはちょっと方向性が遊びすぎだと思った。阿部の謙信は最高のキャスティングじゃないかな。来年は見るかもしれない。
今朝は6時過ぎに起きた。久しぶりにこちらでも散歩に出かけ、葛西橋通りを東に歩く。トピレックプラザの前を通ったときにそういえば少し前に評判だったマクドナルドのコーヒーというのはどういう味なんだろうと思い、帰りに立ち寄ることにする。普段と違う道を歩いたので道をまちがえ、結局荒川まで行ってお日様を仰いだが、もう完全に朝になっていて、日の出という感じではなかった。真っ青な空で、気持ちのいい一日の始まりだった。帰りに富賀岡八幡にお参りし、『12月の言葉』を貰ってくる。宝井其角の「わがものと思えば軽し笠の雪」。ちょっと処世訓染みすぎる感じはするが。
ものすごく久しぶりにマクドナルドに入り、コーヒーを飲む。うーん。ネットの評判ほど美味いとは思えないなあ。ドトールや上島の方がずっと美味いと思うが。ただ、120円で結構時間が潰せるという意味ではマックを使うというのもわからないではないと思った。自分の中ではマクドナルドというのは高校生の溜まり場的な印象なのだが、時間帯のせいもあるのだろう、高校生は少なく、むしろ年配の客の方が多かった。
ファーストフードとかインスタント食品とか、20代には当たり前に付き合ってたものが30を過ぎたころからほとんど関係を絶っていて、今や「全然わからないもの」になっていたのだけど、何というか毛嫌いするのも程々にした方がいいかもしれないという気もしている。マックにいったとかインスタントを食べたというくらいでその人の人格を疑ってしまうこちらの神経も少しどこかおかしいんだろうという気もする。というか最近ようやくそうなってきたんだけど。世の中の煙草嫌いの人の感覚もそういう神経症的なものに近いものを感じるところがあるのだけど、自分でもそういう部分が対象は違えどあったんだなあとようやく自覚したらしい。
そういうのって小説が苦手な理由と共通する部分があるが、私はもともとそういう偏狭なところがあるんだけど、特にそういうふうに精神的なドライブがかかると限りなくそうなってしまう傾向がある。そういうのって生理的なものだからある程度は仕方ないと思うし、また生きるために異物を排除するのはホメオスタシスの原理から行っても当然だとは思うのだけど、ある程度は清濁併せ呑む身体的な度量みたいなものもないとあまりに生きにくく、また生を楽しめる範囲も減ってしまうと思うので、まあ体の勢いがあるときには多少無理してみるのもいいかもしれないなとは思う。
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