『ヴィジョナリーズ ファッション・デザイナーたちの哲学』/横山光輝『殷周伝説』遺作となった封神演義。
Posted at 08/12/01 PermaLink» Tweet
一昨日夜帰京。田舎で少しばたばたがあってどうしようか迷ったのだが、とりあえず予定通り帰京した。ただそのせいもあって疲れてしまって、少し不活性に。夜は比較的早めに寝たつもりだったが朝は起きられず、友人から電話がかかってきて起きた。朝食の買い物に出て、帰って軽く朝食を取ってから電話をかけなおす。
最近、ファッションの本を読んでいるという話で、コムデギャルソンとポストモダンの話とか、スウィンギン・ロンドンがアール・ヌーヴォーの影響を受けているという話とかをしたら面白がってきいていた。特に彼女は絵描きなので、60年代ファッションがアール・ヌーヴォーの影響を受けているということに「言われてみればそうだね!」とストレートに反応したのでちょっと羨望を感じた。そこまでストレートに感じられるのは、造形的な感覚が優れているからだよなと思って。私はやはりもっと物語とか考え方の系譜とかあるいはビジネスとかそういうほうに反応するし、形態的にも造形より明暗や色彩の方に引っ張られてしまうから、造型感覚をもっと鍛えなければなあと思う。
ヴィジョナリーズ―ファッション・デザイナーたちの哲学スザンナ フランケルブルースインターアクションズこのアイテムの詳細を見る |
午後になってから銀座に出かける。田舎よりは暖かいが本当に暖かいわけでもなく、微妙な温度調整が難しい。教文館でファッション関係の本を探してみるが見当たらなかったので銀座コアのブックファーストに行き、スザンナ・フランケル『ヴィジョナリーズ ファッション・デザイナーたちの哲学』(ブルース・インターアクションズ、2005)を買う。現在活躍するデザイナーたち23人に対するインタビュー。日本人は三宅一生、山本耀司、川久保玲、渡辺淳弥の4人。有名どころ(すなわち私がこの分野を読み始める前から知っていた人)はソニア・リキエル、ドルチェ、ヴァレンティノ、ヴェルサーチ、ポール・スミス、ゴルチェ、サンローラン、ウェストウッドといる。マルタン・マンジェラなど最近知った人も。まだほとんど読んでいないが、こういう本というのは「この世界」の概略をつかむにはちょうどいい感じだ。
このところ読んでいた本はどちらかというとデザインそのもの、写真より文章が中心のものが多い、というか多分私はそういう風にアプローチせざるを得ないのだが、この本はインタビューだけでなく一人のデザイナーにつき5枚くらいはファッション写真もあるのでその辺のアンバランスさが少しは解消されるといいなと思う。
殷周伝説 全22巻―太公望伝奇 (希望コミックス)横山 光輝潮出版社このアイテムの詳細を見る |
何か大河ドラマ的なものを読み直してみたくなって、久しぶりに横山光輝『殷周伝説』全22巻(潮出版社、2003~2005)を読む。もう削除した旧サイトにいろいろ感想を書いてあったが、今読み返して見ると当時は何だか元気があったなと思う。というか、今でもブログを書いているときはたぶん元気があるときで、というか文章を書くと結構元気がでることが多いのだが、まあちょっと体調が悪い、というか腹具合の悪いのが腰の調子の悪さに、それがさらに肩の調子の悪さに飛び火していて、やはりまず食を減らそうと思ったのはいいが食を減らすと元気がなくなるという当然のことになり、まあぶつぶつ思っている。話がずれたが、『殷周伝説』は史実ではなく「封神演義」の漫画化で、横山光輝も『三国志』や『項羽と劉邦』などに比べても楽しんで描いている感じがする。…そういえば横山光輝の中国もののうち、『水滸伝』はまだ読んでないな。読んでみてもいい気がしてきた。
『殷周伝説』は「コミックトム」に94年から2001年まで連載されたもので、加筆修正の上2003年から単行本は出版された。全巻出たのが2004年の12月だが、横山は療養中の同年4月に火事で亡くなった。そういう意味ではこの作品は横山の遺作ということになる。22巻の「あとがきに代えて」で潮出版社の編集部は横山がこの後に「孫子」の構想を練っていたことを示唆し、不慮の事故を惜しんでいる。享年69歳。漫画家は平均寿命より早く逝ってしまわれる人が多いが、残念なことだ。
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