タージマハールの月/宮崎駿の霊媒体質/ひまわりもコスモスもキク科/『ランドリオール』13
Posted at 08/11/25 PermaLink» Tweet
友人がインドに行くというのでタージマハールの月の話をしたら知らなかった。昨日ビザが下りたという電話があって、そのときにはもうタージマハールの月に夢中になっていた。満月の前後だけは夜でも入場できる、のだという。(私はいつでも可だと思っていた)想像するだに美しい、タージマハールの月。来月の満月は13日。どんな月を見るのだろう。
私の舞踊家手帖淀川 長治新書館このアイテムの詳細を見る |
淀川長治『私の舞踊家手帖』を読み続ける。昨日も書いたが、淀川がローラン・プティのバレエをパリに喩えた表現が、美しい。匂いたつようなパリ。淀川は「私のごとき昔人間はムードが合わない」とベジャールのことを言うのだが、パトリック・デュポンのサロメについては「ダンスがダンスを踊っている」と絶賛する。踊りというものの原初的なものを見せている、ということなのだろう。中学生のころ淀川が二人の姉の前で本気でパブロワの真似をして踊ったエピソードも淀川らしい。
ネットで作者のブログを見ていて『ランドリオール』の13巻が都心ではもう店頭に並んでいるというのを読み、昨日昼前に神田に出かけた。「ガイアネット」の前を通るとまだ準備中。今日は12時からなんだ。書泉ブックマートに直行し、新刊コーナーにあることを店員さんに教えられて買う。
Landreaall 13 (13) (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)おがき ちか一迅社このアイテムの詳細を見る |
その後何かファッション関係の本を買おうと思って三省堂と東京堂ふくろう店を回り、成実弘至『20世紀のファッション文化史 ―時代を作った10人―』(河出書房新社、2007)を買う。
20世紀ファッションの文化史―時代をつくった10人成実 弘至河出書房新社このアイテムの詳細を見る |
先日読んだ『ファッションの20世紀』がそれぞれの時代を切り取っていくというスタンスであったのに対し、この本は副題からもわかるように10人のデザイナーを紹介するというスタイルをとっている。チャールズ・ワース、ポール・ポワレ、ガブリエル・シャネル、エルザ・スキャパレッリ、クレア・マッカーデル、クリスチャン・ディオール、マリー・クワント、ヴィヴィアン・ウェストウッド、川久保玲、マルタン・マルジェラという10人。先に読んだ本で大きく取り上げられている人もいればそうでない人もいる。またマリー・クワントは『スウィンギンロンドン』の本でも読んだ。川久保玲の位置づけを読みたいという気持ちもあった。名前を知ればファッションがわかるというわけでもないが、を見るのに最低限の知識があった方がより興味深くみられるのと同じで、基本的なことは知っておいた方が楽しめるだろう。
お昼をどうするか迷ったが、家にあるレトルトのカレーを食べることにし、ガイアで美味しそうな「砂糖不使用あんぱん」と「ラムレーズンクッキー」を買って帰った。行きはまだ雨が降っていなかったけど、帰りは降っていた。この間元町で買った500円傘をさして帰った。
家に帰ると読むものがいくつかある。「存在しないものを存在させる技術」というところにテーマを絞ると、今までの後悔とか反省点というものを考えなくてすむようになったので(何しろそれらはもう来世の話にしてしまったから)やり直しとか考えず今やりたいと心が動くことに取り組める。
テレビをつけたら宮崎駿の回の「プロフェッショナル」の再放送をやっていて、一度見たのにまた見てしまった。田舎にいるときはどうしてもクリエーターとしての側面の彼をあまり正面から見ていなかったのだけど、東京で一人で見るとクリエーターとしての彼の鬼気迫る有様がびんびん入ってきて、やはりこういうものも見る環境が大事なんだと思う。宮崎は、圧倒的な霊媒体質なのだ。クリエーターというのは、というかどんな人間でも多少はそういう部分がある。普通はそれを働かせないようにしているのだけれども、友人が亡くなったときとか制作に没頭しているときのような「日常性の破れ」の局面では、宮崎の行動はそういうものになっている。ストーリーは決まっているのに、「場面」が決まらない。その「場面」が降りてくるまで、最後まで粘る宮崎の様子は鬼気迫る、という言葉がそのまま当てはまる。そしてその間に彼がした経験は、ものすごく濃密なのもとてもよく伝わってきた。今まで私は、実はスタジオジブリのアニメは一本も見ていないのだけど、そろそろ見てもいい時期になったんじゃないかと思った。
花に強くなる―暮らしの中で花を楽しむ (別冊家庭画報)世界文化社このアイテムの詳細を見る |
以前何かのプレゼントでもらった『花に強くなる』という本をずっと読んでいなかったのだけど、思い立って読み始めてみる。切り花の本で、「基本の10大花」とか「センスよく花を飾る」といった項目が並んでいる。「基本の10大花」というのはキク、バラ、カーネーション、ユリ、チューリップ、アイリス、アジサイ、デルフィニウム、ラン、トルコキキョウの10種類。知らなかったが、キクというのはものすごく種類が多く、ひまわり、ダリア、ガーベラ、アザミ、コスモス、アーティチョークとこれだけの花が全部キクの仲間なのだそうで驚いた。キクには線状の筒状花と花びらの舌状花の二つがあり、筒状花のみのものもあれば組み合わさったもの、舌状花のみのものとさまざまあるのだという。ひまわりは真ん中が筒状花で周りが舌状花ということらしい。コスモスも同じだ。そういうことを含め、読んでいてとても面白い。夜、食事の買い物に出たとき、西友で売っているピンクのバラと青紫のデルフィニウムを買ってきて飾った。出来るところからひとつずつ、存在しないものを存在させる技術を磨いていく。
『ランドリオール』13巻。amazonに写真がまだアップされてないので自分で携帯で撮った写真。映りが悪い。どこまで掲載されるかと思ったら12月号まで、つまり『コミックゼロサム』で掲載済みのものは全部載っていた。28日発売の1月号ではその続きが読めるということになる。例によって結構書き直しがある気がしたが、手元の雑誌と比べてみると違ったところは見つけられなかった。続けて読めばそういうふうに感じるものか。主人公以外のメンバー大活躍の巻で、まあそういうのも珍しいとは思うが私は好きだ。「騎士とはどういう生き物か」というのがテーマだそうだが、それだけではなく作者の世界観のようなものがよく反映されていて面白いなと思う。主人公DXの「不在」が物語世界に与える影響、というのも面白いなと思う。
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