服装の美しさとはエロティシズムの美しさ
Posted at 08/11/16 PermaLink» Tweet
土曜日帰京。新宿駅集中工事の影響で、特急の終着が中野駅になるという珍しい体験をした。そのまま東西線に乗って帰宅。いつもより早いかなと思ったが、特急が遅れたのでいつもとあまり変わらなかった。
仕事のちょっとした引っ掛かりを引きずってしまったので、この休みが休みらしくならず、今日日曜日はずっと変なものを引きずりっぱなしで、自分の書きたいものに取り組めず、スポーツばっかり見て過ごしてしまった。
全日本バドミントンは小椋・潮田と末綱・前田の決勝を見たが、迫力のある素晴らしい試合だった。1ゲーム20点目の誤審がスエマエにとっては痛かったなと思う。しかしここは、オグシオの勝利を素直にたたえるべきだと思う。いいものを見られたという感じ。
夜はグランプリシリーズの浅田真央を見る。ジャンプは失敗が多かったが、スケーティングの美しさは群を抜いていた。一位になった選手も何だか品がなくて、あんまりよくなかったなあ。日本の選手は基本的に上品だし、最近の選手はみなバレエの素養があって普通の意味で美しい演技が多い。日本以外ではキムヨナがやはりいいと思うけれども、欧米系の選手でこれは!と思う人は最近見てない気がする。
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夕方出かけて丸の内の丸善に行く。気分転換のつもりで出かけて、安かったら『星の王子さま』のフランス語版を買おうと思っていたのだけど、どれも1500円近くしたので買わなかった。ファッション関係のものを探したら千村典生『ファッションの歴史』という本があったので買った。
この本の初版は1969年だが、何度も増補改訂しているらしく、この刷りの発行は2008年になっている。内容はそういわれてみれば古いなと思うところもあるのだけど、「服装の美しさとはエロティシズムの美しさであるといえましょう」というコメントには目から鱗が落ちたような思いを覚えた。つまり男は男性性を、女は女性性を如何に表現するかが服装の大きな目的であり、それはセクシュアリティが特殊である人であってもその人のエロスの表現であることに関しては同じことなのだ。
私はどうしても観念的になる部分があって、どうもそういうエロスの部分について考えることが欠落してしまうのだけど、これは服装を考える上では本当に落としてはいけない、重要なことだ。もちろん美術や音楽、芸術や文学を考える上でも本当は落としてはいけないことなのだけど、それらは敢えて見ないようにすれば見ないでもいられなくもない。しかし服装というのは生身の人間がまとうものだから、無視することは不可能なのだ。自分がセーター一枚羽織るのも、それは自分のエロスのありかを無意識に表現してしまう。そのことについて自覚的であるか否かは実はかなり大きいことだ。私は結構鏡の前に立つのが好きで、その割にはろくな服を持っていないのでいつも不満の残る自己観察の後で出かけることになってしまうのだが、一応自分では「かっこよさ」の点で一番ましなものを選択して出かけることになる。その「かっこよさ」というのはもちろん自己基準なのだが、それは無意識の自分のエロス、自分のセクシュアリティの表現が反映されているということに目を開かされたのだ。
私はマッチョ系の身体を持っているわけではないから、結局はインテリ形の自己表現になるし、年も年だからあまり若作りしても合わない。酒井順子に『おばさん未満』という本があったが、40代独身、という自己表現は結構難しい。それも限定されたワードローブで。最近はなくなった叔父のものを貰ったスウェードのジャケットを多用しているのだが、それはまあそのくらいのものを着ていたら一応落ち着くということだ。ブランド的にはブルックスブラザーズのものが多いのだけど、最近のこのブランドはどうも奇矯なものが多く、オーソドックスなものは高くなってしまったし、どうも手を出しにくくて困っている。昔はもう少し手軽だったんだが。
『ファッションの歴史』、内容的にはオートクチュール、プレタポルテのコレクションを追っかけていて、『ファッションの二十世紀』に比べると物に付きすぎているのだが、通読してみないとわからないが少なくとも事典としては使いやすいなと思っている。
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