鷺沢萠を読む

Posted at 08/10/03

このところ、時間のあるときはフランス語を読んでいるので日記に書くことがあまりないのだが、今朝はまた歯医者にいって、レーザー治療を受けた。今日は今のところ、前回ほど痛くないので大丈夫なのだろうと思う。図書館に行って、借りていた堀田善衛の本を二冊返す。そのまま何も借りないつもりだったのだけど、ふと目についた鷺沢萠『F 落第生』(角川文庫、1996)と佐藤春夫『小説 智恵子抄』(角川文庫、1962)を借りた。ふと目について、ふと読んでみたら、思ったより面白そうだ、と新鮮な気持ちで思うことは久しぶりな気がする。最近は小説を、読まなければ、という思いで読んでいることが多かった。そうでなく読めることはよいことだ。『F』を少しだけ読んでみてそう思う。

F―落第生 (角川文庫)
鷺沢 萠
角川書店

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『F』は短編集だ。7つの作品が収められている。最初の「シコちゃんの夏休み」だけ読んだけれども、読みやすい。落ちは少しありきたりな気がするけれども、書き方がちゃんとしている。今から十年ちょっと前の作品、鷺沢萠ももう亡くなっているけれども、こんなきちんとした文章を書く人だと知らなかった。一度だけ、テレビの趣味の番組で見たことがあるだけで、その印象しかなかった。こういうきちんとした文章だと、小説を読むことが楽しみとして感じられる。内容も文体も崩れた小説ばかり読んでいると小説を読むことが苦しみになってくる。きちんとした文章を書くことは大事なことだ、と思う。

小説智恵子抄 (人間叢書)
佐藤 春夫
日本図書センター

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『小説 智恵子抄』。私は佐藤春夫の詩は読んだことがあるが、小説は読んだことがなかった。初めて読んでみるとこれも文体がきちんとしていて、それでいて古くもなく、読みやすい。志賀直哉の文章がよくよい文章の見本のようにいわれるが、志賀の文章は少し省略がされすぎのように思う。ぱらぱらと読んでみての感じだが、佐藤春夫の小説の方が読みやすいように思った。

午後はまたルロワラデュリを読む。

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