楊逸『時が滲む朝』を読んで魯迅を思い出したのは/世界をどう認識するか

Posted at 08/08/18 Comment(2)»

昨日。一日中雨と曇りの、夏が終わったかのような一日。今朝も朝から肌寒いくらい涼しかったが、7時を過ぎてだいぶ夏らしい暑さになって来た。まだまだ夏は過ぎ去らないのだろう。

昨日は一日どこにも出かけなかった。近くのコンビニやスーパーには出かけたが。本を読んだり、オリンピックを見たり、ものを書いたり。少し体をつかわな過ぎた感じだが、しか詩、自分がここの所思っていたよりは、頭をより使った方が自分の体全体としてもバランスが取れるようだという感じもあって、バランスのよいからだと頭の使い方をもう少し追求してみたほうがよいように思った。

寺社勢力―もう一つの中世社会 (岩波新書 黄版 117)
黒田 俊雄
岩波書店

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書くのを忘れていたが、15日にamazonのマーケットプレイスで注文してあった黒田俊雄『寺社勢力 -もうひとつの中世社会-』(岩波新書、1980)が届いたのだった。黒田は京大系の日本史学者で、武家中心の関東の歴史観に対する異議申し立てという意味合いが強いが、一つの流れを作った学者の代表的な一般向け著作だと言えるだろう。まだ未読だが、日本中世のイメージを深めるためには好個の一冊、だと予測している。

文藝春秋 2008年 09月号 [雑誌]

文藝春秋

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楊逸『時が滲む朝』、少しずつ読んでいる。現在7/59ページ。まだほんの少しだけど、読んだ感じは魯迅の「故郷」に似ている。というか、近代の貧しい中国の農村部を描いた作品といえば魯迅しか読んだことがないから、物語世界を感じ取ろうとすると必然的に「故郷」の印象が引っ張り出されてくるのだと思う。また、やはり近代中国人には近代中国人ならではの世界の見方というものがあって、その感じ方の独特さというものが、私の乏しいそういう方面の引き出しからは魯迅しかとりあえずは出てこないということなのだろうと思う。あとはテレビで見る人々の受け答えくらいになってしまう。

本棚を整理して諸星大二郎や花輪和一を一ヶ所にまとめようと思ったのだが、本棚はほとんど全部二列に本を並べているので、並べ替えるのが非常にめんどくさい。本はやはり一列に並べるべきだな。しかし、そうしたら今の倍の数の本棚がいることになるし、それはとても部屋の大きさ的に不可能だ。そのあたりはいつも兼ね合いが難しいのだけど、イメージの湧く本を前面に並べることは必要な作業ではある。

モンテーニュ―初代エッセイストの問いかけ (中公新書)
荒木 昭太郎
中央公論新社

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ホーキング、宇宙を語る―ビッグバンからブラックホールまで
スティーヴン・W. ホーキング
早川書房

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そんなことをしているうちに読みかけの荒木昭太郎『モンテーニュ』(中公新書、2000)とホーキング『ホーキング、宇宙を語る』(早川書房、1989)が目に付いた。そうか、ホーキングが話題になったのは平成元年だったか。ぱらぱら見ると相変わらず興味深い。一番面白いところは、不確定性原理によって無から有が生じるところなのだが、私は感覚的にしか理解していないのであまり正確ではないだろう。モンテーニュは、以前読んだときに比べるとだいぶ中に入っていける感じがする。モンテーニュの持っていた世界感覚のような物が、以前より理解しやすいというか、というよりもモンテーニュとはこういう人、というまわりの紹介に惑わされないで読めばかなり感覚的に私自身と通じる部分があるような気がしてきた。モンテーニュはやはり、世界をどのように認識するか、ということに一生を費やしたような人なんだろうと思う。そしてその生きるうちに、彼の身に起こるさまざまなことによってさらに思索を深めていく。読んでいると何か出てくる気がする。最後まで読むことにしようと思う。

淮南子の思想―老荘的世界 (講談社学術文庫)
金谷 治
講談社

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『淮南子の思想』、現在158/254ページ。やはり神話の類の記述が面白い。共工の神話と女媧の神話は同工異曲だと思っていたが、本質的に異なるという指摘に目から鱗。共工は世界を傾けて今もそのまま、という話なのだが、女媧は世界を修復して今は修理済み、なのだ。今の世界が異常なのか、正常なのかということについて逆になっているわけだ。現状についての判断が異なるわけで、それがまた違う世界観を生んでいく可能性もある。しかし実際にはかなり混同されているようで、そこらへんが神話らしくおおらかでもある。

"楊逸『時が滲む朝』を読んで魯迅を思い出したのは/世界をどう認識するか"へのコメント

CommentData » Posted by kazumax at 08/08/19

素晴らしい書評さいとですね。

僕もいろいろ本を読んでます。最近ブログを始めました。よろしければ、僕のサイトに貴サイトへとリンクを張らせていただけないですか?

CommentData » Posted by kous37 at 08/08/19

ご訪問ありがとうございます。
リンクはどうぞご自由に。

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