河盛好蔵『エスプリとユーモア』

Posted at 08/08/12

昨日。普通の週は火曜日の午前中に帰郷に出発するのだが、今日は忙しいので昨日月曜の最終9時の特急で帰郷。お盆シーズンには入ったが、この時間の特急はがらがらだった。予想通り。最初っから4人掛けの席にして足を伸ばして行ったが、どこでも支障は出なかった。長野県に入ると雨が降り出して、地元の駅で降りるときが心配だったが、既に上がっていた。12時前の郷里の町を歩くことはあまりないので、久しぶりに違う表情の町を見た感じがした。

昨日は忙しかったが、日曜にゆっくり休んだので物事はうまく進行した。11時半ごろたまたまテレビをつけたら水泳の決勝をやっていて、北島の優勝と表彰をリアルタイムで見ることが出来た。すばらしい。勝つべき人が勝つと全体の雰囲気がよくなる。それがどんなに大変なことか、本人にしかわからないのだけど。また君が代を聞くことできて幸せだった。

エスプリとユーモア
河盛 好蔵
岩波書店

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午後は早い時間に出かける。丸の内の丸善で本を物色し、あまり読みたいのがなかったので日本橋に回ってやはり丸善で本を見るが、結局買わず。帰ってきていろいろ物を書いたりし、夕食を済ませて出かける。帰郷の途中でふたたび丸善に寄り、ツバメの縦罫ノートと河盛好蔵『エスプリとユーモア』(岩波新書、1969)を購入。この本は子どもの頃に見かけたことがあったが、エスプリもユーモアも何が何だかよくわからなかった。記念復刊ということで並んでいた岩波新書20冊のうち、この本が一番心ひかれるものがあった。

ユーモアという言葉の語源が西欧中世の医学、体液説の体液humorだということははじめて知った。この説によると体液には血液、粘液、黄胆汁、黒胆汁の四種があり、それぞれどれが多いかによって多血質、粘液質、胆汁質、憂鬱質の4つが発現するのだそうだ。この医学の学説が演劇の登場人物の造形に持ち込まれたのがイギリス・ルネサンス期で、それぞれの個性あるいは特質がhumorという言葉で表現されるようになったのだという。だからユーモアというのは語源的にイギリスでは他の人にない個性だとかあるいはその表現である奇矯さ、奇想などをさすようになったのだという。

多血質とか粘液質だというような言葉は使ってはいたが、それがそういう中世医学の学説に基づくものだということはきちんと認識していなかったし、ましてやユーモアという言葉と関係あるとは思っていなかった。なかなか興味深い。現在18/210ページ。もともと岩波新書というのはこういう専門的な教養が分りやすく提供されるものだったよなあと改めて思う。現在の岩波新書に比べて、遥かにハイブロウな気がするがそれも時代というものか。

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