燃えるような傾倒する誰かを求める気持ち/無条件降伏論争など
Posted at 08/05/14 PermaLink» Tweet
昨日。10時半に家を出る。小雨の中、傘を差さずに西友まで歩き、西友でおにぎりと傘を買う。東京駅に出て丸善で『現代詩手帖』を買い、あずさ回数券を購入して指定を取って新宿で特急に乗る。車中で『現代詩手帖』をぱらぱらと読み、後は『カラマーゾフの兄弟』4巻、『文芸時評』、『情報は一冊のノートにまとめなさい』をかわりばんこに読む。東京では雨が降っていたが、信州に入ったら晴れていて、結構気温も上がっていた。午後から夜にかけて仕事。仕事の最中にだいぶ冷えてきて、夜は少し暑いかなと思ったコートを着ても少し寒い、位の気温になった。
今朝はぼんやりとした夢を見て目が覚めた。『カラマーゾフの兄弟』のことをなんとなく考えていたのだが、屋根を打つ激しい雨の音。今日はでかけるのに参ったなあ、と思う。母がいないので朝食の支度をしたり、父と少しブルデューの話などし、出発。かなりの強い雨。電車の中では『カラマーゾフの兄弟』を読む。松本に着いたら雨は上がっていた。待ち時間に仕事の話で携帯をかけていたら、少し込み入った話になってしまい、電車の発車時刻になったので降りてからまたかけた。
今日は集まりはいつも参加者が大勢いる。今日の参加者は乗りがいいらしく、話の合間にどっと笑いが起こる。私のメンタリティもいつもより少し開放的になっていて、面白く話を聞いていた。だいぶよく動いたのであとでだいぶ足が疲れていることに気がついた。やはり運動不足なのだと思う。朝の散歩を復活させた方がいいかなと思う。前回は傘を忘れて電車を乗り逃がしたが、今回は嘘のようにちゃんと覚えていた。
帰りもまた『カラマーゾフの兄弟』を読む。松本の改造社書店でスーパージャンプと原稿用紙を買う。レジのお姉さんの笑顔がよかった。
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『カラマーゾフの兄弟』4巻、現在276/700ページ。昨日の日記には97ページと書いてあるので、180ページ弱読んだことになる。だいぶペースが上がってきたかな。この小説の全体像がようやく見えてきたので、早く先を読みたいという心理も働くようになってきた。小説は、だれもがそうかもしれないが、前半よりも後半の方が圧倒的にハイペースで読めることが多い。前半で乗れないと挫折してしまうが、山を乗り切るとどんどん読めるという感じ。カラマーゾフもさすがに山を越えて下り坂になってきて快調に読めるという感じになってきた。
昨日今日で出てきたエピソードの内印象に残っていること。コーリャとアリョーシャの会話。早熟なコーリャがアリョーシャに自分を認めてほしくて一知半解な最新知識を振り回すところは全く自分もそうだったなと冷や汗が出る思い。認めてほしい、という人の目が気になるのは『受身』の姿勢の現われだと自分を反省していたのだが、そうではなく燃えるような「傾倒する誰か」を求める気持ちの現われなんだなと思った。私はついに最終的にそういう人間には出会わなかったけれども、そういう人に出会えた人は幸せだと思う。コーリャにとってアリョーシャと出会えたことが本当に幸せなのかどうかは、この小説を最後まで読まなければわからないが。いや、読んでも分らないかもしれないな。私は傾倒する誰かではなく、自分の求めるものを自分でつかんでいくしかないという道にどうも入ってしまったので、自分で道なき道を開いていかなければならないことになっている気がする。それもまた運命、つまり持って生まれた資質の現れなのかもしれないけれども。
第11編に入り、アリョーシャがグルーシェニカ、ホフラコーワ、リーザ、ドミートリー、イワンと順番に会っていく。一番衝撃的なのはリーザが小悪魔になっていたことか。リーザの行動はバタイユの『眼球譚』を思い出さされた。ドミートリーの言うイワンの「計画」もちょっとびっくりだが、でもそっちの方には行かないんだろうなあ。感想というか読んでる途中のわくわくはらはらだなこれでは。
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『文芸時評』238/446ページ。あれ、こちらは39ページしか読んでない。ほぼ江藤淳のところを読んだだけか。江藤のような「右派」の批評家に対し、吉岡の書き方は道を間違えているかのような書き方をする傾向があり、ある意味旧左翼の典型的なセンスだなとは思う。小島信夫の『抱擁家族』が江藤に与えた影響の巨大さというのはすごいんだなと思ったが、私にとっては『抱擁家族』は読み始めたのだけど気持ち悪くなって途中で止めてしまった作品なので、まあなんともいえない。「無条件降伏論争」というのが江藤と本多秋五との間で行われたという話は、戦後の枠組みの一般的な認識は結局江藤のような批評家でも変えることは出来なかったのだなと思うと一抹の寂しさを感じる。最近ようやくそういうことが少しは受け入れられてきたのはたとえば小林よしのりの功績であるが、小林はもともとサブカルチャーの、つまり文芸・思想界の外からの闖入者であったということが大きいのだと思う。江藤が右翼という強いレッテルを貼られたのは冷戦時代真っ只中の昭和53年であるし、孤軍奮闘のようなものだったのだろう。90年代、2000年代になって明らかに流れは変わってきたが、ただどうもそれも浮ついた部分が多い。左翼の側の反撃も口汚くなってきたし、どうも勘弁してほしい状況でないとは断言できない。
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『情報は一冊のノートにまとめなさい』。現在74/229ページ。気分転換に楽に読める。いろいろアイディアがあって面白い。ノートは100円のをどんどん使いきって行き、中を調べるのは索引ファイルを作っておくという考え方は考えても実行はしたことはなかった。まあ、書いている内容の中には実際に試してみたりしたことも多い。私よりもう少しまめな人ならこのやり方はかなり多くのものを生み出すかもしれない。仕事のタイプにもよるんだろうし。でもすぐにではないがそのうち取り入れそうなアイディアも結構あるなと思っている。
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