石神井公園

Posted at 08/03/18 Comment(2)»

17日。朝からいろいろなことを考える。自分のやろうとしていることをもう一度確認しようとしたり。まわりまわって結局今やっていることになったのだが、回りまわることを時々やらないと自分がよくわからなくなるところがある。自分を確認すると言うことは意味のあることだ。

それにしてもこの世の中はすみにくい。やりたいことをやる、という人にとっては周りのことなどあまり気にならないのだろうが、もう少し世の中のことが気になる人にとっては自分のやりたいことだけでなく、世の中が自分にとってよいようにしたいということを意識するにせよしないにせよ思うのではなかろうか。しかし思うだけではだめで、自分の思う世の中に少しでも近づくように、及ばずながら何かしなければならない。何もしないでこの世の中はよくないなあと思っているだけではつまらない。一つの言葉を発するだけでも、その一つの言葉が世の中に変化を及ぼすことはある。そんなことばを積み重ねていけば、知らない間に世の中が変わることもないわけではない。そんな少しのことでも、何か。

昼前に思い立って石神井公園に出かける。東西線から飯田橋で有楽町線に乗り換えると、乗った電車が快速飯能行きで乗り換えなしで石神井公園。駅から適当に道を歩くと病院があって、なぜか電車の車両が建物の横に。

何だこりゃと思いながら向かいを見ると病院の経営者らしき表札のお屋敷が建て替え中。やはり電車がいる。

変なのと思いながらなんかしていくと石神井公園通りに出、さらに行くと細長い石神井池に出た。池の南側に沿って散策。歩いているとすぐ、この公園はとてもいい公園だと思い始めた。

公園はこうあってほしい、というイメージにとても近い感じ。水に、疎林に、鳥たち。多すぎず、少なすぎない散歩客。武蔵野の湧水池の名残り、という感じがとてもいい。葉のついていない林越しに見る薄日の感じは、この日この時にしか味わえない永遠というものを感じた。

中世の石神井城址。平安時代末期から秩父氏の系統の豊島氏がこの周辺を支配していたという。しかし応仁の乱前後の関東では享徳の乱と呼ばれる鎌倉公方・足利氏と関東管領・上杉氏との争いが続いており、その中で山内上杉の家宰の系統である長尾景春が反乱を起こした。豊島氏はこれに呼応して蜂起したが、扇谷上杉の家宰である太田道灌に滅ぼされた。中世の関東武士団の勢力争いには詳しくないのだが、この石神井城址はそうした歴史を秘めた遺跡であることを知った。

石神井池から三宝寺池に出る。こちらのほうがはるかに広い。スケッチをする人がたくさんいる。池の傍は道になっているがそこから3メートルほどの崖が立ち上がっていて、崖の上を自転車が列を成していくのが見えたので、そこにも道があるのだろう。池をぐるっと回ると水神社、厳島神社が勧請されており、面白い自然の造形もあった。

懐かしい感じの茶屋を過ぎるとまた石神井池。池の北側は住宅地の隣が遊歩道になっていて、散策にちょうどいい。感じのいいイタリアンレストランなどもあった。最初は大丈夫だと思っていたのだが、このあたりまで歩いてくるとかなり花粉に対する反応が。最近はあまり激しい反応はないが、それでもかなり花粉を浴びたのだろう。それを排出する自然の反応と思われるくらいは反応が出た。

石神井公園駅に戻り、列車を待つと急行。次が池袋だから速い。西武の書籍館「リブロ」によって松本周辺の地形図とデューク更家『ウォーキング考』(角川SSC新書、2008)と橋本治『小林秀雄の恵み』(新潮社、2007)を買った。

ウォーキング考―最短距離で最大効果を生み出す「正しい歩き方」 (角川SSC新書 31)
デューク更家
角川・エス・エス・コミュニケーションズ

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『ウォーキング考』。デューク更家の本は今までいくつか読んだが、ハウツー的なものばかりでいまいち主張がよくわからないところがあったが、この本は多分年配男性向けという感じで多少理屈っぽく書いてある気がする。まだ読み始めたばかり。

小林秀雄の恵み
橋本 治
新潮社

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橋本治は一時かなり読んだのだが、最近はあえて読まないようにしていた。というのは、面白いのだけど小説や評論のシーンからかなり遠く、あまりに独自な感じがして、この人の物の見方だけに共感するようになったらやばいなという感じがあったからだ。好きで読んでいる分にはそれでもいいのだが、説得力のある文章や批評を書こうと思ったらそれだけではまずいだろう。遠ざけるのでなくほかのものも読む、と言うスタンスの方がよかったかと今では思うけれども、当時はかなり二者択一的な志向に冒されていた。一度切った継続性を後でつなぐのは結構大変だと今になって思う。読書経験はなるべく大切にしていくべきなのだ。あっさり切る、あっさりリセットするのは後になって自分が苦労する。ことがある。

この本は橋本の小林秀雄論ということで、かなり興味がある。のだが、昨年最初にこの本を目にしたときは少し敬遠する感じがあった。小説のほうに関心が傾いていたからだ。今は小説を書くにももっともっと幅広くアンテナを張らないといけないと言う感じになっているから、再び視野に入ってきたと考えれば自分の中で筋は通る。

クラブオンカードセゾンの勧誘に引っかかり、帰宅したのは3時半、それから昼食。

"石神井公園"へのコメント

CommentData » Posted by うさたろう at 08/03/18

石神井公園に行かれたのですね。この公園は確かに、冬枯れの時期がよいと思います。三宝寺池は石神井城落城の時の照姫入水伝説なんかもあって、自然があり、歴史もあり、あまり人工的な整備でないところが、僕も好きです。

CommentData » Posted by kous37 at 08/03/18

>うさたろうさん

お久しぶりです。

そうですね、都内の公園はいろいろ行きましたが、私の行った範囲では23区内の公園ではいちばん自然を保っているように思います。

石神井公園は『ど根性ガエル』(古!)によく出てきたのですが、実際に行くのは初めてで、いまだに都内でもそういうところは結構あるんですね。今は江東区にいるので、東京の西北部は行きづらいせいもあるのですが、実際に行ってみるとそれほど遠いわけでもないので、また行ってみたいと思っています。

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