「剣客商売」/かわいい押しかけ女房/まともな大人のまともな発言

Posted at 08/01/29

昨日。朝、散歩がてら駅近くのセブンイレブンに出かけ、『コミック乱』の最新号を買う。ストーリー物の展開はまあ静かに展開して行っている感じ。今号から大島やすいち作画の池波正太郎作品「剣客商売」が始まった。「剣客商売」は私は池波の原作で全巻読んだ。また、さいとうたかをの作画のものも全部読んだから、さいとうプロのリイド社が発行している『コミック乱』がさいとうたかを以外に池波正太郎作品を書かせるということ自体が画期的であることはよく理解しているつもり。内容的には、全く原作に忠実な展開。小兵衛、大治郎、三冬、おはる、それにもっと脇役の登場人物もすべて既にイメージがあるのだが、マンガにおける主人公のハンサム化は免れていないもののそういう意味でもうまく処理してある感じはする。さいとう作品では美化が最低限であるところが魅力的で劇画っぽくてよかったのだが、大島作品はマンガだ。今後どのような展開を見せるか。

剣客商売 (新潮文庫―剣客商売)
池波 正太郎
新潮社

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剣客商売 (2)
さいとう たかを,池波 正太郎,北 鏡太
リイド社

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昼食の買い物に出てついでに『コミックゼロサム』の最新号を買ってくる。「ランドリオール」を読む。一つの話が終わり、主筋に話しが戻るが波乱の様相。作者のブログによると、「しばらくザクザクした話でいきたいです!ガーッとなってバーンてなってポロリもあるエピソード」とのこと。何だかよくわからないが期待したい。

Comic ZERO-SUM (コミック ゼロサム) 2008年 03月号 [雑誌]

一迅社

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午後神保町に出かける。まず書泉ブックマートでマンガの渉猟。おがきちか作品を二つ、『ハニー・クレイ・マイハニー』と『チカマニアックス』。

ハニー・クレイ・マイハニー (ヤングキングコミックス)
おがき ちか
少年画報社

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チカマニアックス (ダイトコミックス)
おがき ちか
大都社

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『ハニー・クレイ・・・』の方はすぐ見つかったのだが、大都社のコミックスがどこにあるのか分からないので店員に聞いたら成人向けコーナーにあるのをちょっと嫌そうな顔で教えてくれた。初期作品集である『チカマニアックス』はまあ、そういう作品が割合多いのだが、そういう系統のものとして水準を保っている。この作者の世界の全体像をつかむ上ではこういう作品集は貴重なものだろう。まあこういう作品集にありがちな分かりにくさや内輪ネタのようなものが多いとはいえるが。『ハニー・クレイ…』はまた最初に発行された作品集で、これは基本的に少年誌に掲載されたもの。古代の埴輪が蘇ってむさい考古学者のかわいい押しかけ女房になる、という表題作をはじめ、分かりやすくて面白い。

あと2冊。山岸涼子『テレプシコーラ』、1巻と2巻。これは面白い、というより凄い。児童ポルノの問題をネタに使っているとは知らなかった。児童性愛の問題は阿部和重が『グランド・フィナーレ』で取り上げているのを読んだことがあるが、児ポ問題がバレエマンガに出てくるというのは予想外。山岸涼子って今までちゃんと読んだことがなかったけど、シュールな展開といい独自の世界といい、かなり読み応えがある作家なんだなと思った。重いけどなさすがに話は。

舞姫(テレプシコーラ) 1 (1) (MFコミックス ダ・ヴィンチシリーズ)
山岸 凉子
メディアファクトリー

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最近マンガばかり熟読しているせいもあるが、東京堂で橋本治の『小林秀雄の恵み』を立ち読みしていたら小林秀雄のような骨のある文章が読みたくなってきた。最近いろいろな本を読んでいてわかったのだが、わたしはまともな大人がでてきてまともなことを言うものが読みたいのだ。日本の小説の多くは私から見てまともな人が登場人物として少ないし、まともな発言ももっと少ない。ナルニア国とかやや子供向けのファンタジーの中ではそういう発言というのは多くて、だからそういうのが好きなんだなと思った。また、評論などはまともな大人としての発言が多いから読みやすいんだろう。ただ、まともというのは堅物というのとは違うし、面白くなくてはいけないわけで、結構そういう意味でわたしのスイートスポットは狭いのだ。でもこれを自覚するともう少しいろいろなものが読めてきそうだ。小林なども以前は勉強のつもりで読んだところが多いのだが、今は味わう気で読める気がする。

小林秀雄の恵み
橋本 治
新潮社

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