人材が払底している日本/『みどりのゆび』/鯛焼きを求めて
Posted at 07/11/12 PermaLink» Tweet
日曜日。午後は本棚の整理を続ける。夜は西友のロースかつ弁当。風呂に入ってN響アワー「ストーリーのある音楽」を見ていたら寝てしまった。交響詩の特集で、面白そうだったんだが。
朝起きたら4時。6時間くらいは寝たことになる。モーニングページを書く。外を見たら東の空にとても明るい星が見えた。ネットで見てみたら金星のようだ。マイナス4等だっけ、これは相当明るい。
ついでにネットを見ていたら、1月に『ステージガールズ』の第2巻が出るとか、来週コミティアがビッグサイトであるとか知る。
甲野善紀さんが自分のやっていることに非常に反応があると、「私程度のレベルの人間が、現代社会で現在のように目立つということに、根本的な問題がある」と感じられ、「現代の日本は本当にそんなにも人材がいない」ことに気持ちが沈んでしまう、と書かれていて、もちろん甲野さんはすごい人なのだが、もっとそういう人はいておかしくないということは確かで、「人材の払底」がかなり危機的な状況であるのかもしれない。多分それは、人材があらぬ方向に使われてしまっていたりするからなのだろう。また逆に、取材などをする側も新しい人を見つけようとするより、流行っている人のところに無遠慮に仕事を持ち込むという傾向が強いこともあるだろうと思う。
しかし、現実問題として人材が払底しているというのも確かだ。政治の世界を見ても、保守派のヒーローは安倍前総理しかいないわけで、私なども含めて安倍氏に未練を持っている人は非常に多いと思う。ということはつまり、安倍氏に取って代わるだけの人材が政治の世界には全くない、ということでもある。小器用な人はいても、実直に保守の路線を歩き続ける骨太の政治家が、残念ながら現代の日本にはいないのだ。
アジアシリーズで中日が優勝したが、準優勝した韓国SKの金星根監督の経歴を見ていろいろ思うところがあった。在日二世で韓国球界に渡り、Bクラスチームの建て直しで高く評価される。2005年からロッテのコーチとしてイスンヨプらにアドバイス。韓国球界出身で、初めて日本プロ野球のコーチになった人物だという。
今年はついに韓国シリーズ初制覇、それも昨年は8チーム中6位のチームを率いてだ。アジアシリーズも、ついに日本の連覇が途切れるかという瀬戸際まで来た。日本のチームが勝ったのは良かったが、来年以降は韓国チームは侮れない存在になるだろう。
いろいろやってたら6時になり、散歩に出る。荒川までまっすぐに。雲ひとつない天気。辺りの高い建物が、強い光を反射し始める。ついに川原にも日が届いたのでそこに向かって歩く。朝日が見えた。眩しく強い光。今まで雲にさえぎられがちで弱い光の朝日ばかり見ていたので戸惑った。それこそ10年ほど前、テキサスで見た冬の地平線に顔を出した朝日に強さを思い出した。御来光の行というのも、これだけの光に対してやるなら非常に意味も分かる。朝日の力を、身に吸収する。
帰りに富賀岡八幡にお参りし、また稲荷通りを戻る。歩きながら、私は段取り好き、手順好きなんだなということを考える。手順を考え、段取りをくみ、その通りに実行していくことが楽しいという性格なんだなと思う。それも事前に考えるのでなく、実際に何かをやりながら手順を組み立てていくことが好きなようだ。ただややもするとそのことをやることの意味とかを閑却することがあり、段取りは通ったけど何のためにやったのかよくわからないというようなことが時々起こる。だからむしろ、そのことをやることの意味、のようなことをいつも意識していた方がいいなと思う。
午前中は本棚の片付けの続きなど。昼前にアーチストデートに出かける。今日の目標は絵本と鯛焼き(笑)。銀座教文館の6階、ワンフロア児童書の『ナルニア国』に出かける。特にあてもなかったのだが、平積みになっている本を見て驚いた。『みどりのゆび』がある!
みどりのゆび (岩波少年文庫)モーリス ドリュオン,Maurice Druon,安東 次男岩波書店このアイテムの詳細を見る |
私はすっかり忘れていたのだが、小学校1、2年のころ、最も好きだった作品がこれだったのだ。2年生のときお話を書くという課題が出て、「みどりのゆび」を焼きなおしたのを書いた覚えがあるので、確かに読んだのは1年か2年だ。今見直してみると「4、5年以上」という設定になっているし内容も結構難しいのだが、イメージが鮮烈なので印象に残ったんだなと思う。ぜひハードカバーが欲しいと思い店員に聞いたが、今は岩波少年文庫版しか出てないのだという。残念。
内容は今読んでいる最中だが、この内容を1年生で読んでいたというのはわれながら驚いた。今読んで見ると実にフランス的だし、エスプリとか洒落っ気とかいろいろ面白いところも多いのだが、1年生にそういうことが分かっていたとは思えない。しかし昔からそういう気の利いたことが好きだったんだなと思うし、このころからフランス人に洗脳されていたのかと思うと結構おかしかった。この作品は1957年のもので、日本語に訳されたのが1965年。案外新しいことに驚く。自分の中では古典だったからなあ。私は子どもはいないけど、もし持つことになったらぜひとも読ませたい一冊。子どもも絶対洗脳してやる。(笑)
とにかくこれが今日最大の収穫だろう。その後晴海通りを散歩し、歌舞伎座の顔見世の顔ぶれを見て、東銀座から日比谷線に乗って人形町に出る。柳屋の鯛焼きが目当てだったのだが、すごい行列。豆腐の双葉の二階でご飯を食べ、戻ってみてもまだ長い。浜町公園まで歩いて隅田川を見る。荒川よりずっと狭いけど、たっぷりした水量。周りに高速道路、橋、ビル、車の行列、総武線の鉄橋、などが見えて、本当に都会の川なんだなと思う。大川の名で呼ばれたのは伊達じゃない。柳屋に戻るが相変わらず長蛇の列なので業を煮やして室町の三越まで歩く。地下で探すが今川焼きはあっても鯛焼きがない。
妥協しかけたが、携帯でググって東京の鯛焼き屋ベスト5を発見。1位が四谷で、柳屋は2位だった。根津にあるのを発見し、半蔵門線と千代田線を乗り継いで行く。行列は数人。並んで3個買い、根津神社に行って境内の池のそばの石に腰掛けて一つ食べた。うまかった。(今見たらこの店は柳屋の支店らしい。期せずして目標を達成したというべきか。)かなり満足。
千代田線で買える途中、思い立って新御茶ノ水で降りる。額縁が欲しくなったのだ。すずらん通りを回って、はがきサイズ用のとA4サイズ用のを一つずつ買う。かなり満足。やはりアーチストデートは、当初の予定をこなした上で、さらに何か自分にとってのサプライズを付け加えないと満足しないんだなと思った。
帰宅後、『みどりのゆび』を読み続ける。
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