小沢代表の辞任
Posted at 07/11/04 PermaLink» Tweet
小沢一郎氏が民主党代表を辞任した。ここ数日の大連立構想の動きはほとんど見ていなかったから分からなかったが、アタック25を見ていて小沢氏辞任の臨時ニュースが飛び込んで来てびっくりして、それからいくつかニュース関係のサイトを見て、大体こんなことだったのではないかという自分なりの理解をした。
衆参の第一党が異なる状態で、自民党が手詰まり状態ではあるのだが、民主党もまた手詰まり状態であるということは忘れてはならない。ここで自衛隊派遣、国際貢献の問題で手を組んで大連立、というのは一見荒唐無稽ではあるが、もし実現したら民主も自民も自らの政策を実現するための打開の糸口となることは確かだ。福田・小沢両氏はその線で、小異を捨てて大同につくことを求めたのだろうと思う。
しかしこれはあまりに高等戦術過ぎる。自民党議員ならこういう手段はお手の物というか、「政界一寸先は闇」、という福田政権の急激な成立を経験したばかりだし、一見荒唐無稽でもそこにメリットが見えるなら試して見る価値がある、と前向きに考えられるだろう。
しかし、「純粋培養」と「何でも反対」のみが「政治的に誠実」であると考えてきた民主党の議員たちにとっては、この構想を飲み込むのはあまりに困難であったのだろう。小石ぐらいの大きさのあるカプセルを「薬だから」と飲まされるようなものだと思う。清濁併せ呑むのに慣れている自民党議員ならぶつぶつ言いながらもやってのけそうな気がするが、民主党議員には無理だろうな。
しかし打開の一つの糸口として、こういう裏技的な手を取れないということは、それこそが民主党の「政権担当能力の不足」といわなければならないのではないかと思う。政治というのは教科書通りに行くものではなく、日常茶飯事的にアメリカであれイギリスであれこういう事態は生じている。ぎりぎりのところであっと驚く流れが出来てもそれを一瞬のうちに理解して前向きに対処する能力がなければ、政治というものは出来ないのではないか。常に寝業師的な対応をしまくる金正日とか、世界には一癖も二癖もあるような連中が手薬煉ひいているのだ。優等生的な、お悧巧さん的な対応だけでは政権担当は無理だろう。
これで小沢代表がさっさと辞任するというのも面白い。今回の事態、実は私は小沢一郎と言う政治家を見直した。民主党の議員たちに、明らかにお灸を据えているのだ。政策を実現するということがどのようなことなのか、口先で済む問題ではないのだということを無言で教えているのだと思う。
政策理念として、国連中心主義、日本国憲法遵守、といった方向性で正しいのか、という点について疑問はないではないが、国連中心主義というよりは国連憲章の理念、日本国憲法の理念、集団的自衛権の解釈の確立と言った原理原則の確立ということについては自衛隊の海外派遣において必要であることは確かだろう。そのことも辞任会見での小沢氏の主張を聞いていて少々とも理解は深まった。
それにしても小沢氏も批判しているように、マスコミがどうしようもなくレベルが低いのは確かだ。民主党議員がこういう問題で金縛りになってしまうのは、マスコミに反感を持って書かれることを骨の髄から恐れているからだ。権力の実質を持っていない野党議員の体質として、マスコミの支持だけが頼りであるから、政策実現のためにはどんなに批判を受けても行動する、というような骨太さが育っていないのだ。まして国民も、実際のところ民主党議員にそんな力を期待していないし、共産党の人が拉致問題で動き始めたとき、「そんなことは自民党に任せておけばいい」と当時の不破委員長が言ったというような、結局は自民党に頼り、それに甘えた上で反体制を気取ったり、政権担当能力を気取ったりしているに過ぎない。逆に言えばそういう形で彼らを国民は甘やかしているとも言える。
これからどういう形で政局が動いていくのか分からないが、大連立が破綻した以上、あとは自・民両党の分裂による再結成くらいしか方策はないのではないか。しかしそれも不決断の病が双方について回りそうな気もする。このまま金縛りでいくのか。しかし今回の騒動で自衛隊の海外派遣の問題をどうにか動かさなければならないということについての認識は深まっただろう。安倍首相に続いて小沢代表まで党首の座を降りる破目になるほど、この問題は重要なのだ。多分、一般の認識はまだ全然追いついていないだろうと思うけれども。て言うか私自身もまだよくわからんところが多いのだが。
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