幸せな一日/『自虐の詩』を見た/ダルビッシュがウッズを全球ストレートで三振に取る
Posted at 07/10/27 PermaLink» Tweet
今日は幸せな一日だった。それはさておき。
昨日。仕事場でネットの作業を少しして、お城の向こう側の本屋に買い物に。欲しい本はなかったが、原稿用紙を二冊買う。ちなみに長野県では、本屋はまず確実に文房具を売っている。戻ってくる途中で雨が降り始める。仕事場に戻るまでにはあまり濡れずにすんだ。仕事場の傘を借りて、自宅に戻る。
父に愉気して、昼食。昼食後は少し休んで、部屋の片付けなど。仕事に出る前に母に頼まれていたパソコンの設定など。ついでに仕事場まで車で送ってもらう。急に激しい雨が降り出した。あるいてたら相当濡れていただろう。助かった。夜まで仕事。あまり忙しくなく。8時に仕事場を出て駅へ。このときは雨がやんでいた。助かった。切符を取ったが窓際は埋まっていた。昨夜はなぜかめったにないくらい混んでいた。座れたからよかったけど。地元の駅に着いたとき、雨は上がっていた。助かった。セブンイレブンで少し買い物をして帰る。ネットを見たり、いろいろしていたら2時。就寝。
朝起きたら7時を過ぎていた。ampmを経由してセブンイレブンまで歩く。雨が降っていた。ampmは10月いっぱいで閉店するようだ。それまで、朝9時から夜8時までの営業。ずいぶんがらんとした感じ。あるものを売って終わりにするようだが、飲み物だけが異様に並んでいた。荒川まで歩くいつもの散歩に比べると、どうも運動不足の感じがする。
卦を立てたりモーニングページの続きを書いていたりしたら、注文していたコミックガンボのTシャツが届いた。『ステージガールズ』と、
『TOKYO博物誌』。
ちょっとイラストの赤みが強すぎる感じだが、大体イメージどおり。こういうの、ライブとかに来ていくのにいいかもしれない。ズボンは何を合わせるか。ジーンズを今はもってないが買ってもいい、などといろいろと考える。そんな格好、もう20年位してない気もする。第一の幸せ。
いろいろやっているうちに10時になった。テレビをちらちら見ていると、台風が来ているという。昨日発生して、今日もう関東に接近しているのだからえらいことだ。時速100キロとかいう話もあった。なんだかきいたことがない暴走台風だ。どうせそんなに遠くに出かけられないなと思い、散髪に行く。ゆっくりしてようと思ったら、床屋で王様のブランチがテレビに映っていて、『自虐の詩』の話題をやっていた。中谷美紀と阿部寛が出ているらしい。しかしメガネをはずしているので全然見えない。散髪が終わったらうちに帰ってみようと思っていたのに終わってしまった。残念。ていうより、考えてみたらきょう公開じゃないか。しくじった。
帰ってきてネットを見たら、銀座とか日比谷とかではやってない。舞台挨拶は池袋と渋谷。でも前売りを買ってないとダメみたいだ。じゃあ近くで見ようと思い調べてみると、錦糸町の楽天地か妙典のワーナーマイカル。距離的には錦糸町の方が近いがバスで行かなければならない。妙典なら東西線。しかし時間を見ると、12時45分から。時計を見たら12時過ぎている。間に合うか。一か八かで駆け出し、駅まで要ったらちょうど西船橋行きが来た。助かった。妙典に着いたら35分。間に合った。
ワーナーマイカルはシネコン。初めてシネコンに入った。というか、21世紀になってから映画館で映画を観たのは一体何回目か。初めてではないとは思うが…せっかく間に合ったのに、切符売り場でおばさんが前の客と長々と話していていらいらする。急いで上映室に入り、急いでトイレに域、戻ってきたのに延々とコマーシャルと予告編が続く。始まったのは1時だった。そりゃないぜセニョール。
『自虐の詩』。主演は中谷美紀と阿部寛。この二人の演技は感動した。二人とも、映画で見るのは初めてなのだが、とてもよい役者だと思った。業田良家原作のマンガはもう何十回も読んでいるので、4コママンガから起こした脚本とはいえ、ほぼすべての展開が分かる。ああこういう組み立てにしているのか、と思いながら見る。原作に親しみすぎているから、いろいろと、私が撮ったらこうはしないなあというところがたくさんでてきてしまう。
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とにかく中谷美紀と阿部寛の演技はいい。原作のコミカルな味を生かしつつ、原作のシリアスな部分は演じきっている。いや、中谷美紀でしか出来ない「幸江」像を作り出している。今原作を読み直してみたけど、当たり前だけど中谷美紀はすんげえ美人だ。なのにあの役をやっていてはまるというのは、ものすごいことだ。何というか、現代の田中絹代。『楢山節考』を撮ったときに老婆を演じるために前歯を二本抜いたというあの田中幸代に迫るような、汚れ役というか笑っちゃうほど不幸な女の役。何度も泣かされた。いや原作も泣きっぱなしになるようなマンガなのだけど。
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阿部寛のイサオも最高だ。原作では結構物を喋るのだが、阿部寛はさすがに喋るとカッコよくなってしまう。だからだろう、ほとんど全く無口で通す。それであの存在感を出せるというのは、むしろモデル出身だからかもしれないという気もした。無意味にめちゃくちゃケンカが強いところがカッコよかったなあ。それにしてもでかいなこの人は。後の役では、となりのおばさんのカルーセル真紀は安定した演技。後好きだったのは少女時代の幸江を演じた子役。他には西田敏行、名取裕子、等々いろいろ出ていたが、なんかもう少しうまく使えたんじゃないかなという気がする。
監督は堤幸彦。『恋愛寫眞』の監督なので、まあ期待はしていた。
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期待の当たった部分もあるのだが、ちょっとどうなのという気がするところもかなりある。基本的に、『ときめきに死す』や『それから』などを撮った森田芳光監督の系譜を引くふざけた撮り方をする人だなとは思っていたけど、あざといんじゃないかと思うところがちょっと今回は目に付いた。
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まずちゃぶ台返しが超スローカメラで撮られるが、あれはあんまり好きじゃない。少なくとも一回で十分だ。重要な場面で、通常スピードでひっくり返すところがあるのだが、その方が百倍よかった。あれはただ面白いおもちゃを見せてるという感じしかしない。客演の達者な役者の使い方や、セットの感じ、またまず舞台設定を気仙沼と大阪にしているところ、なんか私はあんまり好きじゃない。役者たちは頑張っていて、それなりの効果はあげていたのを認めることは吝かではないのだけど、なんていうか予定調和的というか、意表が突かれなさ過ぎたというか、まあ簡単に言えばあまりに「想定の範囲内」的な設定で、それに関しては不満が残った。
また2時間という枠内に収めるためには当然なのだが、原作の厚いエピソード群の中からエッセンス的なものだけが抜き出されていて、広がりが少し足りない感は否めなかった。まあそれはないものねだりだろうと思うけど。特に少女時代の幸江の憧れの少女、藤沢さんがもっと輝くような美少女を配して欲しかった。ちょっと普通っぽかった。だってみすぼらしい、貧乏くさいという設定の幸江が将来中谷美紀になっちゃうんだから、藤沢さんは信じられないような美少女にして欲しかったな。まあこれも完全にないものねだりなのは承知の上で。
でも全体的にはよかったよ、何度も泣かされたし。原作を凌駕しているかといわれると難しいところもあるが、とにかく中谷美紀と阿部寛はもう圧倒的によかった。この二人の演技を見られただけで満足。逆にその分だけ周りの人物の造形がちょっと戯画的に過ぎるように見えてしまったのだろうと思う。ちょっとちゃちい感じがしてしまった。もう少し存在感が残るような見せ方にして欲しかったな。特に少女時代の熊本さんと幸江の仲直りの場面、あのスローモーションの使い方はちょっとなあ。まあ多分これも、ヨーロッパ映画が好きな私の嗜好性が特にそういうふうに思わせているんだと思うけどね。
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後もう一つよかったところをあげておこう。これは『恋愛寫眞』のときも感じたけど、この監督は空をきれいに撮ることがうまい人だと思った。堤監督の空、というのは一つの見どころになるんじゃないかという気がする。印象的な空がいくつもあった。
エンドロールが終わったあと、重要なシーンが一つ残っている。エンドロールの途中で出て行った人が少しいたのだけど、これを見逃したらちょっとなあと思う。これから見に行かれる方は、ぜひエンドロールで席を立たずに最後まで見ていただきたいと思います。これが幸せの第2。
見終わっていったん外に出て、そういえばパンフを買ってなかったと思い戻って買う。しかしシネコンというのは、「昔ながらの映画館の風情」というものが全くないなあ。そういうものを求めても仕方ないんだろうし、まあいろいろな映画をひとところで見られるんだからそれでいいんだろうけど。遅くなったが3時から昼食。サティで買い物をして妙典の駅に戻る。大雨。ホームにいても雨が吹き込んでくる。地元の駅で降りて家に帰るまでにずぶぬれになった。……これを書いていて靴の手入れをしてないことに気がついた。あちゃー。型が崩れてしまう…
家に帰ってきてしばらくしたら友人から電話がかかってきて話し込む。そのうち日本シリーズが始まる。初回、ダルビッシュは絶好調の立ち上がり。その裏、セギノールが川上からスリーラン。ダルビッシュはウッズをよく抑えた。しかしその後川上も鬼気迫る投球で初回を除いてパーフェクトピッチングを続ける。ダルビッシュも途中で時々やばくなりかけながら結局は1失点の完投勝利。最終回のウッズを全球ストレートで三振に取ったのには思わず『ウオーッ!!!』と叫んでしまった。最後は中村ノリをこれまた三振。13奪三振のシリーズタイ記録でまずはファイターズ先勝。幸せの第3。
チャンネルを『世界ふしぎ発見』に変える。植村直巳特集。なんとなく見ていたが、ミステリーハンターが諸岡なほ子さんであることに気がつく。うお、やった!嬉しい。諸岡さんの回は見逃すことが多かったからな。幸せの第4。
というわけで今日は幸せな一日だった。神さまありがとう。
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