ジュリア・キャメロン『ずっとやりたかったことを、やりなさい。』

Posted at 07/10/18

ジュリア・キャメロン『ずっとやりたかったことを、やりなさい。』。この本、とろい邦題に比べて中身はものすごくいい。昨日は空いている時間ずっとこれを読んでいたのだが、なるほどと思うことがパレードのようにやってくる。120ページ、第4章まで読んだが、ここまででもかなり重要なことがいろいろ書いてあると思う。

ずっとやりたかったことを、やりなさい。
ジュリア キャメロン,Julia Cameron,菅 靖彦
サンマーク出版

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テーマは、「人間誰もが本来は持っている創造性の発揮を妨げている障害をいかに取り除くか」ということ。そしてその障害は基本的には自分自身の中で自分を規制する存在だということになる。萎縮している「創造的な子ども」がいかにのびのびと活動できるようにするかと言う方法論が提示されている。

最も基本をなすのが「モーニングページ」と「アーチストデート」だ。モーニングページは毎朝自分の心の声を3ページ必ず書くこと。最初は読まなくてもいい。これは心を柔軟に働かせるための準備体操、心のストレッチのようなものだと考えればいい。これは自分でやってみたが、ウェブ日記のように読む相手を意識しないので、好き勝手なことが書ける。逆に、ウェブ日記ではいかに自分を規制していたか、ということがわかってくるのだが。取り留めなく何でも思ったことを書く、ということは、思ったことを表現に結びつけるという点で、つまり発想を表現として実らせるという点で、非常に重要な作業だと思う。それを抵抗なく行うということはかなり困難かつ重要なことなのだ。これは単純な方法論だが、書中で非常に重視していることもあり、その重要性が正しく認識できる。こういうある意味でハウツーものの本では、ある「方法」の重要性を読者にきちんと認識させる書き方をすることが非常に重要だが、その点でもこの本は成功していると思う。

「アーチストデート」とは、自分の中にいる「アーチストチャイルド」とデートすること、つまり心の中のアーチストチャイルドが、見たいもの、聞きたいものにあわせて、実際に行動するということだ。自分の中にアーチストチャイルドがいるだろうかと思っていろいろ探ってみると、確かにいた。私のアーチストチャイルドはどちらかというとふてぶてしくていつも笑顔のヤツだ。そういう点は意外だった。

これは、交流分析の手法に似ている気がする。心の中にP(ペアレント)C(チャイルド)A(アダルト)の三者があり、感情とか欲望で動くチャイルドの行動をペアレント(言わばスーパーエゴ)が規制する。そこで葛藤が起こるのだが、それを言わば理性である大人=アダルトが調停してよりよい方向に導く、というのが交流分析の考え方、だと私は理解している。

交流分析はどちらかというとアダルトを重視しているように私には思えるが、このキャメロンの方法は徹底的にチャイルド重視だ。そしてそこに確かに創造性の秘密があるように思われる。そのあたりのところが興味深い。

チャイルドの働きを取り戻すためのレッスンとして、第4章まででは1.安心感を取り戻す、2.アイデンティティを取り戻す、3.パワーの感覚を取り戻す、4.本来の自分を取り戻す、という各レッスンがある。それぞれに重要な心の動きをとらえて、創造性を取り戻していくためのレッスンなのだが、読んでいてなるほどと思うことが多い。同じような問題を持っている人に対しては、勧められる本だと思う。

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by Luke Peterson

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