朝日を拝む/『キャッチャー・イン・ザ・ライ』/『幕末の朝廷』
Posted at 07/10/07 PermaLink» Tweet
朝は6時過ぎに目が覚めた。朝起きると、家の窓をまず全開にする。私の家は10階で玄関が東、ベランダが西にある。東側には同じマンションの別の棟があり、西側には貨物線の向こう側に都営住宅や公社の住宅の14階建ての建物が並んでいる。私の住んでいる建物も14階建てだ。この季節、窓を全開にすると東から西へかなり強い風が流れる。家の中で淀んでいた空気が一掃されて、気持ちいい。
朝、西側のカーテンを開けると、校舎の団地群に朝日が反射して、とてもきれいだ。空も明るい。朝日を直接拝みたい!と思い、東の窓を開けるが、ちょうど向かいの建物にさえぎられて見えない。それで、散歩に行くことにした。1階に下りて南側にあるエントランスを出ると、前の道に朝日が差し込んでいる。東に行くと南北に走る明治通りとの交差点。信号が変わるのを待ってまっすぐ東に延びる稲荷通りを東に歩く。NTTの研究所の方に曲がると小さな公園があって、そこは太陽がしっかり拝める。そこでしばらく体操。太陽の光をたっぷり体に吸収して気持ちいい。この公園、朝来たのは初めてだけど、とても気持ちのいいところだ。明日も来てみようと思う。
散歩道を南にいくと中学校に突き当たる。その角を東に曲がり、中学校の壁に沿って南に曲がると、コミュニティ道路にぶつかる。そこを西に行くと地下鉄の出口とセブンイレブン。これが永代通りに面している。永代通りを西に行って明治通りにぶつかり、明治通りを北に歩いて家に戻る。充実した。
昼前友人から電話。送った小説の感想などじっくり聞く。手厳しい部分が多かったが、勉強になった。ちょっと頭の中は運動会になったけどなあ。食事、物を書き、夕方銀座に出かける。教文館でじっくり本を選び、結局サリンジャー・村上春樹訳『キャッチャー・イン・ザ・ライ』(白水社、2006)と家近良樹『幕末の朝廷』(中公叢書、2007)を買う。
『キャッチャー・イン・ザ・ライ』。
キャッチャー・イン・ザ・ライ (ペーパーバック・エディション)J.D. サリンジャー,J.D. Salinger,村上 春樹白水社このアイテムの詳細を見る |
今更、という感じに思われるだろうが、私は中高大とほとんどといっていいくらい小説を読まなかったので、その頃普通読んでいそうなものが相当欠落しているのだ。まだ読み始めたばかりだけど、何だ面白いじゃないか、という感じ。一つにはやっぱり、村上春樹の訳がとてもよく出来ているということは絶対にありそうだ。村上って人はやっぱり翻訳者としては天才なんじゃないかという気がする。それだけ読者としても優秀なのだし、作家としても優れているということなのだけど。まだ14ページまでしか読んでないのだけど、するすると引き込まれてしまう。チャンドラーを訳す文体、フィッツジェラルドを訳す文体と、このサリンジャーを訳す文体は全然違い、そのあたりがすごいなあと思う。村上の小説の文体というのははっきりあるのだけど、もっと違う文体で書いたらもっと面白いんじゃないかなあという気さえする。
『幕末の朝廷』。
幕末の朝廷―若き孝明帝と鷹司関白 (中公叢書)家近 良樹中央公論新社このアイテムの詳細を見る |
家近という人は何を書いた人かと思ったら、文春新書の『孝明天皇と「一会桑」』を書いた人だった。それなら面白いだろうと確信を持てる。歴史書を面白く書くというのは、実はある種特殊な才能がいるんだなあと最近思う。自分にはなかなかうまく書けないけど、読むのは好きだ。
孝明天皇と「一会桑」―幕末・維新の新視点 (文春新書)家近 良樹文藝春秋このアイテムの詳細を見る |
こちらは現在52ページ。「皇室はなぜ存続してきたか」という古くて新しい問題に軽く触れ、幕末の朝廷史で画期をなした光格天皇について藤田覚の『幕末の天皇』に触れながら、その再来としての孝明天皇というとらえ方について、異論を述べている。
幕末の天皇 (講談社選書メチエ)藤田 覚講談社このアイテムの詳細を見る |
光格天皇以降の三天皇、すなわち光格、仁孝、孝明の三代の天皇の、人格というか性格について論じている部分は、なんと言うかそういうのって言い切っちゃっていいのかなという気がしてしまうのだけど、私は正直言って三代とも実は相当複雑な人格なんじゃないかという気がする。藤田覚も光格天皇を「よく分からない人物」といっているらしいが、人間の性格ってそんなふうに一言で言えるものなのかと思う。まあしかし、「歴史」で扱う歴史上の人物の性格というのは、豪胆、とか神経質、とか、なんだか相当ミニマムに単純化されてて、一体それで何が分かるのか、何を語ったといえるのか、と思うようなことなのだよな。私は自分が「君はこういう性格だ」とか決め付けられるのが嫌いなので、人のことも決め付けるのが基本的にイヤなのだが、まあみんなそういうわけでもないんだろうなと思う。
教文館カフェで少し本を読んだあと、日本橋まで歩き、コレドの地下のプレッセで夕食の買い物をして帰る。
食事をしながらNHKで『ダーウィンが来た!』を見る。アユとアユカケの話。なかなか面白い。こういう自然ものはやっぱり好きだな。
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