渋谷:自分の中の混沌に一番近い街

Posted at 07/09/25

昨日。午後、仕事が前向きに運び出したので、気分転換に出かける。どこに行くか決めずに出かけたのだが、とりあえず新宿に行くことにした。新宿3丁目で降りて伊勢丹のメンズ館へ。なんだか大混雑。地下の靴売り場では試し履きの人であふれかえっていて、あんなのはじめて見た。地下2階などもうろつき、紀伊国屋に移動。大混雑。主に文芸評論などのところを立ち読み。著作権エージェント『ボイルドエッグズ』というものの存在を知り、興味を持つ。

一通り本を立ち読みしたが買わず。カフェユイットに行ってみたらここも大混雑。エレベーターを降りたところで逆戻り。さてどうしようかと思い、とにかくJR新宿駅の雑踏に。時計を見ると5時。安倍さんの会見が始まる。7時のニュースに間に合えばいいやと思う。まあ渋谷に行ってみようと思い立ち、山手線で渋谷に出る。

先日は道玄坂、東急本店のほうから神泉、駒場へ歩いたので、昨日は東急プラザの口から出て桜ヶ丘の方へ行ってみる。渋谷も全然変わったなあと思いつつ、歩道橋の上から見たら長崎チャンポンの『リンガーハット』もその隣の『メガネドラッグ』もまだあった。駒場で寮生活をしていた頃、夜中に腹が減っても食べに行くところがなく、同室の長崎出身のヤツが「あそこなら開いている」といって連れて行ってくれたのが「リンガーハット」だった。吉野家はもうあったと思うが、ファミレスなどもなく、セブンイレブンもまだ弁当やおにぎりなどなかった気がする。真夜中の渋谷まで歩いてチャンポンを食うというのは当時は不思議な感覚だったが、今思い出してもやっぱり不思議だ。彼はどうしているだろうか。渋谷のメガネドラッグは多分、今迄で一番めがねを作ったところだと思う。最近2、3回は京橋のメガネドラッグで作っているが。昔から馴染みのあるところがまだあると、逆に不思議な感じがする。

桜ヶ丘で、昔ユーロスペースがあったあたりとか、モーツァルトという喫茶店があったあたりにいって見るが、もう何もない。このあたりはもともとそんなによく来るほうではなかったのだけど、昔も今もよくわからないが懐かしい場所ではあった。東急プラザに戻り、どこかいい喫茶店はないかと探す。5階に上がったら紀伊国屋書店があり、喫茶店もあったので、本を見てから行ってみようと思って書店の中をぐるぐる見る。何を立ち読みしたか忘れた。喫茶店に行ってみたら急に混雑してきていたのであきらめた。

モーツァルトは109②の二階に移転した(十数年前のことだが)んだよなあと思いつつ109②に行ってみる。全然違う喫茶店になっていた。もう十何年もたっているんだから変わって当たり前なのだけど、より古い記憶の場所が残っていてより新しい記憶の場所が変わっているのがなんだか不思議だった。どうしようかと思って地下に入ると、東急地下の食料品街に出る。夕食のおかずでも買おうと思ったが、わんわん混雑していてとても無理だと思い、(既に頭がボーっとしていた)地上に出る。地上にも名店街があり、そこでおかずセットのようなものを買って銀座線に出ようと思ったが、目の前に半蔵門線の入り口があったのでそれで帰ることにした。

帰宅、食事、仕事、友人から電話、シャワーを浴びて早めに就寝。夜中に一度目が覚め、トイレに。次に目が覚めたら5時半。またトイレに行ってちょっと伸びをして起きる。なんだかうきうきした気分が残っている。

私が気分転換に街に出かけるのは、街の賑やかな雰囲気に触れて自分の中をかき立てるという目的があるのだけど、最近は銀座に出かけても日本橋も丸の内も神保町もあまりかきたてられないなあと思っていた。新宿もいいのだけど、どうも何か違う。自分の中で今朝いろいろ感覚が生まれては消えていきながらボーっと考えていたのだけど、渋谷はよかった。なぜ良かったのだろうと考えて見ると、自分の中の混沌と一番つながっているのが渋谷の街なんだろうと思ったのだ。実際のところ、何があるわけでもない。昨日行ってみて思ったが、喫茶店一つ入りたいところがない(見つけられない)。本屋も充実しているわけでもないし、デパートもごちゃごちゃだ。地理は昔から分かりにくいが知っている場所がどんどん変わっているのでよけいさっぱり分からない。しかしその混沌ぶり、わけのわからなさが自分の中の混沌をいい具合に刺激するものがあった。

おしゃれ、というなら銀座に負けるし、かっこよさ、というなら新宿に、自分にとっての便利さなら日本橋に、本を探すなら神保町に負ける。なんだかいいところは一つもないのだが、だからこそ全く行かなくなっていたのだけど、いってみるとそのださい感じが、どうしようもない感じが、中途半端で混沌としている感じが、自分の中の混沌とちょうどあっている。考えてみたら、東京に出てきて最初に行った繁華街が渋谷だったし、最初に酔い潰れたのもセンター街だった。一番買い物をしたのも一番映画を見たのも一番待ち合わせをしたのも渋谷だ。それなのに今上げたような繁華街のうち今でも一番よくわかってないのが渋谷だ。一時バイトの関係で池袋はよく行ったが、渋谷ほどの懐かしさはない。自分の中のなんだか中途半端に生育したままになっている感覚を一番引き出し、一番蘇らせてくれるのは渋谷なんだなあと改めて思った。「こういうもの」「こういう街」という整理が自分の中で一番出来ないのが渋谷なのだ。そしてそういう整理が出来ないことが、街からエネルギーをもらうという点では一番大事なことなんだろうと思う。

銀座や日本橋や神田は、今考えて見ると、渋谷を「卒業」してから行くところ、という感じだったんだな。たしかに目的意識を持っていけば、渋谷よりもずっと使いやすいし町も清潔だし落ち着いている。でも日常の混沌というかエネルギーというかが、一番溢れていて一番感じられるのは自分にとっては渋谷なんだと思った。自分の中のエネルギーが不足しがちなのは、そういう街から遠ざかっていたことと多分関係あるんだろうと思う。

まあそれにしても混沌もいいけれども、もう少し居場所を見つけたほうがいいな。今度渋谷に行くときは、探検とともに居心地がいいところも少しは見つけておかなければと思う。

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by Luke Peterson

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