勉強しないと素人は痛い目に遭う/自民党入院中の総理大臣
Posted at 07/09/24 PermaLink» Tweet
昨日は秋分の日。暑さ寒さも彼岸まで、というが、今日は肌寒いくらい。日差しもない。しかし、夜は寝苦しかった。でも朝は寒いという一番体調を崩しそうな気候。それでも涼しくさわやかになることはいいことだ。秋冷という言葉を思い出す。
昨日は午前中日本橋に出かけ、思いついて丸善で株式取引の本を買う。小泉俊昭『「株」勉強法』(ダイヤモンド社、2007)。読了。
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私も少額だが株式取引をしているのだけど、この本はいろいろと勉強になることが多かった。とりあえず通して読んでみたけど、もう一度じっくり読んでみてもいい。自分の性格の把握が取引上重要なファクターだということは、株式取引に関してだけでなく、いろいろな仕事や生活上もいえることだと思う。特に金銭や損得に絡んだことというのはその人の性格が端的に反映されるので、えげつなくはあるが澄ました外面の内側の自分を知ることが出来るということである意味興味深い。自己嫌悪に陥る可能性も高いが。しかしドストエフスキーなどを読んでいると、そういうことを知ることは文学の大きな要素でもあるのだなと思う。ある意味怖いもの見たさという感じだが。
この本の内容に関してはこのブログとちょっと読者層が違うので違う場所に書こうと思うけれども、一つだけ書いておくとMSCB(下方修正条項付転換社債、無担保転換社債型新株予約権付社債ともいわれる)について、初めてきちんと理解したことがあげられる。こんな言葉、関係ない人には全くよくわからないことだと思うけど。(ていうか私も最初この社債の破壊的な意味が全然分からなかった)
会社が資金調達する方法は株式の公開・増資によって資本を増やす方法と社債の発行によって借金をする方法がある。社債は借金なので利子がつくが、借金の金額と同額で株式に転換できるという「転換社債」という仕組みがある。これは社債でもち続ければ満期時に元金と利子を受け取れ、株式に転換すれば株券を取得できて売買益・配当が期待できる。所有者はそのときの相場の情勢にあわせてそれを判断するというものだ。転換社債は基本的にどれだけの株式数に転換できるか最初に決められている(つまり転換時の株価が固定されている)のだが、MSCBはこれが変動させられるため、市場で株価が下落したら転換する株価を下げて購入者が不利を被らないようにすることが出来るという仕組みだ。
これは購入者には有利だが、一般の株主にとっては困る。通常の転換社債なら潜在的に転換される可能性のある株式数を織り込んで取引することが出来るが、MSCBの場合は株価が下落すればするほど転換される可能性のある株式数が増えていくことになる。株価が低下するということは売られる株式のほうが多いということだから、そこに更に株式が増えるということは売られる株式が急激に増加する可能性があるわけで、激しい暴落の可能性が爆弾のように秘められるということになる。そして転換する株価は実勢の株価より低く設定されるため、MSCBの購入者は転換した株式を売り抜けることで必ず利益を得ることが出来るから、株価はさらに下落する可能性が増えるわけである。
そういうちょっとびっくりするような仕組みがあるということは、どこかで聞いた覚えがあったが、今までちゃんと理解していなかった。ネットで調べて見るとたしかに総合商社の一角までMSCBを発行していたりする。そういうわけでMSCBは発行するだけで株価下落要因になるのだが、企業側も購入者側も損をせず、一般の株式保有者だけが危険にさらされるため、資金繰りが行き詰ったときの最後の手段のように使われているようだ。最近では最後の手段でもなく事業拡大のために使われることもあるようだが、一般の株主にとっては迷惑極まりないわけで、ちょっとどうなのと思う。素人には分からない怖い話が資本市場にはたくさんあるわけで、この本の表題ではないが、ちゃんと「勉強」しないと痛い目に遭うぞ、ということのようである。
家に帰ってきて食事、午後は自民党の両院議員総会の中継を見たり、大相撲秋場所の千秋楽を見たり。総裁選挙とか、別になんということはないのだけど、ただ単に投票のようすとか見ているだけで、知っている顔がいろいろ出てきてなんとなく面白く、あんまり意味ないなと思いつつつい見てしまう。小泉前首相と森本首相が最前列で隣に座って談笑していた。森の向こう側には海部元首相。県連の代表者の投票を見ていると、こういう人が代表なんだなあと思うおじさんおばさんがぞろぞろ出てきて面白い。
結果は福田が330票、麻生が197票。麻生は善戦だといえるだろう。今日は自民党三役人事、明日は安倍内閣総辞職の閣議、衆参両院で総理大臣指名選挙、両院協議会、組閣、皇居で任命・認証式と一連の日程。今日の午後安倍首相の会見が予定され、明日は総辞職の閣議に安倍さんも出席の方向ということで、久しぶりに様子がうかがえる。何とか元気を回復して捲土重来を期していただきたいと思う。
福田はこのまま進めば憲政史上初の親子二代の総理大臣。祖父と孫、というパターンは安倍首相もあったが。産経新聞のサイトで弘兼憲史が「今は、弱った自民党が入院して体を休めるための期間であり、そのための総裁だという気がする」と言っていたが、当を得ている気がする。「入院中の総理大臣」なんだろう。しかし「左バネ」の働きは最小限に食い止めて欲しいところなのだが。外務大臣が問題だ。
大相撲千秋楽は白鵬優勝。横綱として初制覇ということで、さらに風格が加わることだろう。善哉。
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