総理大臣に同情があってはならないか/お疲れさまでした
Posted at 07/09/13 PermaLink» Comment(2)» Tweet
安倍総理の辞任、のことについてテレビを見たりいろいろして考えてみたのだが、私の個人的な感じだけれども、自分の主義主張を国の政治に反映しようと正義感をもってまじめに取り組んできたのだけど、参議院選で理解を得られず、また内閣改造からあともそうした言わば崇高な理念とは別のところでの足の引っ張り合い(マスコミや野党、自民党内も含め)が続いているのにだんだん嫌気がさしてきて体調も思わしくなくなっていたところ、参議院本会議での所信表明演説がむちゃくちゃな野次で授業崩壊と言うか国会崩壊状態になってしまって、いわゆる「心が折れた」状態になってしまったのではないかと思う。そうでなければこの状況での辞意表明は常識的に見て考えられない。
政治家、特に総理大臣に同情はあってはならない、という意見はわからなくはないけれども、そうは言ってもやはり総理大臣だって人間だ。「心が折れる」ことだってあるだろう。ただ普通は、もっとそういうのを適当に糊塗することが上手いということはいえるだろう。しかし小渕さんのように死んでしまったり、(そういえば彼を死に追いやったのも結局は小沢氏だった)細川さんのように隠遁してしまったり(その原因も小沢氏だった気がする)する例もあるから、人間としての総理大臣という面も見ていかないと不当ではあろう。総理大臣だって、普通の人間とはいろいろと違うにしても、超人ではないのだから、人間的な限界だってたくさん持っていることは忘れてはならないと思う。日本は今、「政治家を殺す国」になってしまっていると思う。
私が安倍総理の辞任を大変残念に思い、またショックを受けたのは、安倍首相が今までにない、「理念を持った政治家」だったからだ。「戦後レジームからの脱却」「憲法改正」「教育改革」などのテーマには賛否はあるだろうし、またその手法もやや稚拙な面が目立ったのも事実だが、それでも理念と言うものには人に期待させるものがある。安倍首相の辞任によってその理念が導く将来の国家像と言うものが風船のように萎んでいくことが残念なのだ。
民主党は生活者重視と言うことを言っているし、自民党内の対抗勢力もそういうことをいっているが、それは結局今までの通り国際社会では寡黙で、黙って金ばかり稼いでいるという日本像に回帰することにしかならないのではないかと思うし、そういう状態でやっていけるような国際情勢であるのか、また日本国内の状況であるのかと言う点については誰もきちんとしたことを説明してくれていないように思う。
またその状態になったら、90年代の漂流した時代、細川―羽田―村山―橋本―小渕―森の短命内閣の時代に逆戻りしてしまうのではないかという危機感がある。2000年代の小泉純一郎という例外的に強力な総理大臣がいた時代とはもう違う時代に動き始めているとは思うが、山崎拓や額賀福志郎なども総裁選出馬に意欲を見せているようだし、ここを先途に自民党内も一度ガラガラポンが起こる可能性も避けられない。万一自民党が崩壊して小沢やあるいは小沢を黒幕とした内閣が出来たら事態はもっと悪化するだろう。今回の辞任劇が、ロシアのアレクサンドル2世の暗殺劇に重なってくる。代わって出てくるのははるかに強権的なアレクサンドル3世なのだ。言論はもっと圧殺され、文学者は内に沈潜するしかなくなる。革命党はより過激になる。
昨日はかなりショックだったが、少し経って少しは落ち着いてくると、今まで小泉―安倍の影で逼塞していた勢力が盛んに蠢動しているのが見える。このままあっさりと麻生後継で落ち着く、ということは難しいだろう。
まあしかし、本当はいろいろな意味で厳しい情勢だったのは、安部内閣が成立したときから変わらなかったのかもしれない。拉致被害者の家族会や救う会でも発言があったようだが、安部さんが首相になってみんななんとなく安心してしまった、ということはあったのだと思う。それで活動が低調になってしまったようだ。結局安倍さんに期待する甘い幻想が私たちにあったということで、それが突然なくなったから冷水を浴びせられたようなショックを感じたのだろう。
つまり、私たち一人一人がしっかり考え、行動していくことによってしか、日本は変わらないという原点に戻らなければならないということなのだと思う。そう考えてみると、わずかな間とはいえいい夢を見させてくれた安倍さんには、むしろ感謝すべきなのかもしれないと思う。
お疲れさまでした。まだちゃんと休むことは出来ないでしょうが、職務を新しい人に引き継ぎ、しばらくはゆっくりお休みいただきたいと思います。あとは国民一人一人が頑張るしかないし、また元気を回復してきたら安倍さんもそういう流れの中で頑張っていただきたいと思います。
カテゴリ
- Bookstore Review (17)
- からだ (237)
- ご報告 (2)
- アニメーション (211)
- アンジェラ・アキ (15)
- アート (431)
- イベント (7)
- コミュニケーション (2)
- テレビ番組など (70)
- ネット、ウェブ (139)
- ファッション (55)
- マンガ (840)
- 創作ノート (669)
- 大人 (53)
- 女性 (23)
- 小説習作 (4)
- 少年 (29)
- 散歩・街歩き (297)
- 文学 (262)
- 映画 (105)
- 時事・国内 (365)
- 時事・海外 (218)
- 歴史諸々 (254)
- 民話・神話・伝説 (31)
- 生け花 (27)
- 男性 (32)
- 私の考えていること (1052)
- 舞台・ステージ (54)
- 詩 (82)
- 読みたい言葉、書きたい言葉 (6)
- 読書ノート (1582)
- 野球 (36)
- 雑記 (2225)
- 音楽 (205)
月別アーカイブ
- 2023年09月 (19)
- 2023年08月 (31)
- 2023年07月 (32)
- 2023年06月 (31)
- 2023年05月 (31)
- 2023年04月 (29)
- 2023年03月 (30)
- 2023年02月 (28)
- 2023年01月 (31)
- 2022年12月 (32)
- 2022年11月 (30)
- 2022年10月 (32)
- 2022年09月 (31)
- 2022年08月 (32)
- 2022年07月 (31)
- 2022年06月 (30)
- 2022年05月 (31)
- 2022年04月 (31)
- 2022年03月 (31)
- 2022年02月 (27)
- 2022年01月 (30)
- 2021年12月 (30)
- 2021年11月 (29)
- 2021年10月 (15)
- 2021年09月 (12)
- 2021年08月 (9)
- 2021年07月 (18)
- 2021年06月 (18)
- 2021年05月 (20)
- 2021年04月 (16)
- 2021年03月 (25)
- 2021年02月 (24)
- 2021年01月 (23)
- 2020年12月 (20)
- 2020年11月 (12)
- 2020年10月 (13)
- 2020年09月 (17)
- 2020年08月 (15)
- 2020年07月 (27)
- 2020年06月 (31)
- 2020年05月 (22)
- 2020年03月 (4)
- 2020年02月 (1)
- 2020年01月 (1)
- 2019年12月 (3)
- 2019年11月 (24)
- 2019年10月 (28)
- 2019年09月 (24)
- 2019年08月 (17)
- 2019年07月 (18)
- 2019年06月 (27)
- 2019年05月 (32)
- 2019年04月 (33)
- 2019年03月 (32)
- 2019年02月 (29)
- 2019年01月 (18)
- 2018年12月 (12)
- 2018年11月 (13)
- 2018年10月 (13)
- 2018年07月 (27)
- 2018年06月 (8)
- 2018年05月 (12)
- 2018年04月 (7)
- 2018年03月 (3)
- 2018年02月 (6)
- 2018年01月 (12)
- 2017年12月 (26)
- 2017年11月 (1)
- 2017年10月 (5)
- 2017年09月 (14)
- 2017年08月 (9)
- 2017年07月 (6)
- 2017年06月 (15)
- 2017年05月 (12)
- 2017年04月 (10)
- 2017年03月 (2)
- 2017年01月 (3)
- 2016年12月 (2)
- 2016年11月 (1)
- 2016年08月 (9)
- 2016年07月 (25)
- 2016年06月 (17)
- 2016年04月 (4)
- 2016年03月 (2)
- 2016年02月 (5)
- 2016年01月 (2)
- 2015年10月 (1)
- 2015年08月 (1)
- 2015年06月 (3)
- 2015年05月 (2)
- 2015年04月 (2)
- 2015年03月 (5)
- 2014年12月 (5)
- 2014年11月 (1)
- 2014年10月 (1)
- 2014年09月 (6)
- 2014年08月 (2)
- 2014年07月 (9)
- 2014年06月 (3)
- 2014年05月 (11)
- 2014年04月 (12)
- 2014年03月 (34)
- 2014年02月 (35)
- 2014年01月 (36)
- 2013年12月 (28)
- 2013年11月 (25)
- 2013年10月 (28)
- 2013年09月 (23)
- 2013年08月 (21)
- 2013年07月 (29)
- 2013年06月 (18)
- 2013年05月 (10)
- 2013年04月 (16)
- 2013年03月 (21)
- 2013年02月 (21)
- 2013年01月 (21)
- 2012年12月 (17)
- 2012年11月 (21)
- 2012年10月 (23)
- 2012年09月 (16)
- 2012年08月 (26)
- 2012年07月 (26)
- 2012年06月 (19)
- 2012年05月 (13)
- 2012年04月 (19)
- 2012年03月 (28)
- 2012年02月 (25)
- 2012年01月 (21)
- 2011年12月 (31)
- 2011年11月 (28)
- 2011年10月 (29)
- 2011年09月 (25)
- 2011年08月 (30)
- 2011年07月 (31)
- 2011年06月 (29)
- 2011年05月 (32)
- 2011年04月 (27)
- 2011年03月 (22)
- 2011年02月 (25)
- 2011年01月 (32)
- 2010年12月 (33)
- 2010年11月 (29)
- 2010年10月 (30)
- 2010年09月 (30)
- 2010年08月 (28)
- 2010年07月 (24)
- 2010年06月 (26)
- 2010年05月 (30)
- 2010年04月 (30)
- 2010年03月 (30)
- 2010年02月 (29)
- 2010年01月 (30)
- 2009年12月 (27)
- 2009年11月 (28)
- 2009年10月 (31)
- 2009年09月 (31)
- 2009年08月 (31)
- 2009年07月 (28)
- 2009年06月 (28)
- 2009年05月 (32)
- 2009年04月 (28)
- 2009年03月 (31)
- 2009年02月 (28)
- 2009年01月 (32)
- 2008年12月 (31)
- 2008年11月 (29)
- 2008年10月 (30)
- 2008年09月 (31)
- 2008年08月 (27)
- 2008年07月 (33)
- 2008年06月 (30)
- 2008年05月 (32)
- 2008年04月 (29)
- 2008年03月 (30)
- 2008年02月 (26)
- 2008年01月 (24)
- 2007年12月 (23)
- 2007年11月 (25)
- 2007年10月 (30)
- 2007年09月 (35)
- 2007年08月 (37)
- 2007年07月 (42)
- 2007年06月 (36)
- 2007年05月 (45)
- 2007年04月 (40)
- 2007年03月 (41)
- 2007年02月 (37)
- 2007年01月 (32)
- 2006年12月 (43)
- 2006年11月 (36)
- 2006年10月 (43)
- 2006年09月 (42)
- 2006年08月 (32)
- 2006年07月 (40)
- 2006年06月 (43)
- 2006年05月 (30)
- 2006年04月 (32)
- 2006年03月 (40)
- 2006年02月 (33)
- 2006年01月 (40)
- 2005年12月 (37)
- 2005年11月 (40)
- 2005年10月 (34)
- 2005年09月 (39)
- 2005年08月 (46)
- 2005年07月 (49)
- 2005年06月 (21)
フィード
Powered by Movable Type
Template by MTテンプレートDB
Supported by Movable Type入門
"総理大臣に同情があってはならないか/お疲れさまでした"へのコメント
CommentData » Posted by milesta at 07/09/13
はじめまして。
全く同感です。「心が折れた」のでしょう。ご自身の職務に邁進し成果も上げているのに、他のことでマスコミに叩かれ、野党に叩かれ、与党内のジェラシーに攻撃され、国民には自分の言葉が伝わらない・・・だれも正しく伝えてくれないのですから。もう万策尽きたという感じだったのではないでしょうか。戦後レジュームの恩恵を受けている人たちが仕掛けた、国を挙げてのいじめに、とうとう力尽きてしまったのでしょう。
この戦後レジューム派の執拗ないじめに耐えられる後継者がいるのでしょうか?それを考えると、憂鬱になってきます。
>まあしかし、本当はいろいろな意味で厳しい情勢だったのは、安部内閣が成立したときから変わらなかったのかもしれない。
これも仰るとおりだと思います。郵政問題で安倍さんの考えに近い方々が自民を離れ、それなのに小泉の後継者と言われる。そして安倍さんの目指す改革は歴史認識や教育問題のことを指しているのに、小泉さんの「郵政」改革の印象が引きずって、地方切り捨てだとレッテルを貼られる。安倍さんの仰る「改革」と、国民が受け取る「改革」は、噛み合っていなかった。「戦後レジューム」とは何か、未だにわかっていない国民の方が多いのではないでしょうか。
初めてのコメントで長々とすみませんでした。
CommentData » Posted by kous37 at 07/09/15
>milestaさん
はじめまして。コメントありがとうございます。
コメント公開が遅れて申し訳ありませんでした。
なんというか、私の言いたいことの意をきっちり汲んでくださって、大変ありがたく思います。小泉さんと安倍さんは異質なんですよね。「後継」になったことはラッキーな面もありましたが、安倍カラーを打ち出すためにはよくなかったですね。
今後は厳しいとは思いますが、安倍カラーを持った若手を育てて、再度政権に挑戦してもらいたいと思います。