『働きマン』を嫌いな理由が分らない

Posted at 07/08/24

昨日。アイデア出しをしながらぼおっとしていたが、急に散歩に行きたくなって出かける。朝のうちは雨が降って涼しかったので上着を着て出たのだが、すぐに暑くなってきた。市役所を横切ってお城の裏の道に出て、川向こうの誠文堂書店へ。モーニングの表紙に「働きマン」の絵が載っていて、単行本発売、と書いてあるので単行本を探したら、まだ陳列される前の様子でカウンターに載っていた。縦書き200字詰めの原稿用紙をついでに探し、(長野県はなぜか書店が必ず文房具を扱っている。文房具専業ももちろんあるけど)キャンパスの物しかないのでそれを買ったが、普段使っている満寿屋のものに比べるとどうも使いでが悪い。枠線の色が濃すぎるし、万年筆のインクの吸い込みが悪い。これはボールペンや鉛筆で書くための原稿用紙だな。最近非常に道具を選ぶようになってきて、いいことか悪いことか。以前は使いさしのA4コピー用紙の裏が一番書きやすかったのに。「文学の道」を歩いて帰る途中で12時のエーデルワイスが鳴った。思ったより時間がかかった。

午後は「働きマン」を読み、市況を気にしつつ少し原稿を試し書き。午後から夜にかけて仕事。最初は暇かと思ったが夕方から急に仕事が立て込んできて10時まで一気に行ってしまった。まあ忙しいのはいいことだ。

安野モヨコ『働きマン』4巻(講談社、2007)読了。ちょっと傾向が違ってきた感じ。でも相変わらず面白い。ついにデスク(代理)に昇進するが傷心(ハートブレイク)も。しかし新しい恋の予感、それも魂をぶつけられるような。ってとこですか。

働きマン 4 (4) (モーニングKC)
安野 モヨコ
講談社

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『働きマン』が面白いといったら嫌悪感を示されたり、どこが面白いのかわからないといわれたりすることがときどきあるのだが(主に女性)、どこが面白くないのか分らない。人間が何を面白いと思うのかなどそれぞれなんだけど、こういうところが嫌だ、というのもそれぞれなんだろうな。

まあそういうのを想像してみるのもあまり意味があるかどうか分らないけど、つらつら考えていて主人公の松方弘子がぶりっ子、あるいはぶりっ子に見える、ということがあるのかもしれないと思った。モーレツ社会人(or編集者)ぶりっ子。このマンガは主人公に共感できないとちょっと面白くないかもしれない。ストレートすぎる、素直すぎる、と感じるのかもしれない。

あとは、雰囲気的に『プロジェクトX』とか『プロフェッショナル 仕事の流儀』に通じるようなおじさん慰撫史観(笑)みたいな所だろうか。みんな社会で頑張って働いてるんだよ、それぞれにその人なりにね、みたいな。ああ、お説教的な感じに受け取られるのかな。お説教的なものというのは自分が思ってもいないような言葉が相手に届いていたり、逆にこちらが一生懸命言ったことは全然伝わってなかったり、なんか不思議なものなんだよな。教育というもの全般にある教える側と教えられる側の相性とか不思議な化合現象のようなものがあって、私などには全然受け入れられない言葉がかなりの人をひきつけていたり、逆に自分が共感する言葉は多くの人に拒否されていたりすることがよくある。『働きマン』で安野モヨコが主張する社会人像というものに共感できない人が中にはいるということなんだろうと思う。

安野モヨコのインタビューを読んだときに、一番楽しんで描いているのが『シュガシュガルーン』で、一番苦しんでいるのが『働きマン』だ、と答えていた。『働きマン』は、安野の著者としての苦しみがけっこう伝わってきて、そのあたりが自分自身が共感するところがあるんだよな。まあそれって作品本来の魅力というべきではないのかもしれない。ただ読み手の側が何に共感するかは勝手なので、私はそういう読み方をしている。逆に、ほかの書き手の苦しみが見える作品を読んでいると「ふざけるな勝手に苦しめそういう部分を作品に出すんじゃね―よ」と思うことも多いわけで、なんていうかこのへんは私の勝手な安野モヨコへの思い入れの部分が大きいのかもしれないなとも思う。

まあいずれにしても私はこの作品が好きだ。頑張ってる人を見るというのはそれだけで頑張る気になる。ただ菅野美穂主演のドラマをみるかと聞かれれば見ないというしかない。これ実写で見たら辛すぎるんじゃないかな。なんか微妙なコアな好き嫌いの世界なのかなやっぱり。菅野美穂、耐える女は絶品だが、頑張る女はどうだろう。

また作品の印象に戻るが、「働きマン」には微妙に父の影というか、ファザコン的な世界がある。また、物の見方が基本的にけっこう保守的だ。そのあたりとの距離感の取り方が微妙に合わない人には合わないのかも知れないなと思う。またステロタイプに感じる部分もあると思うけど、そのステロタイプが芸になっているかどうかもまた人によって見方が分かれる微妙なところかもしれない。

まあ、いろいろな意味で私にとって「働きマン」は考えさせてくれる作品であることは確かだ。

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by Luke Peterson

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