『日本共産党の歴史』の死/奇想に次ぐ奇想/自我の貧しさ、描写の豊かさ
Posted at 07/07/19 PermaLink» Tweet
昨日。朝からいろいろとばたばたする。とにかく予定通り午前中に松本に行き、体を見てもらう。食欲に負けていたのが最近の不調の原因だったらしい。自覚はあったのだが、指摘されないと直らないと言うのも困る。
午後から夜にかけて仕事。機器関係のトラブルいくつか。体を見てもらった日は疲れがどっと出て眠くなる。それだけよい方向に体が変化していると言うことだけど、ぼおっとしてドアに指を挟んだり。
琴光喜が朝青龍に負けた。これで10勝1敗だが、まだまだ。頑張ってほしい。
日本共産党の歴史を背負った宮本顕治が死んだ。みんな、もうとっくに歴史の彼方の人と思っていたらしい。私の中では昭和4年の懸賞文芸評論で小林秀雄に勝った人、という覚え方をしている。98ということは明治42年生まれか。コミンテルン起源の日本共産党のソ連支配、中国共産党支配、所感派・国際派の闘争、「左翼冒険主義」との闘争と新左翼各派の脱退、過激化、綱領の変更、不破→志位路線の決定。ある意味日本の中の異文化である左翼文化のある意味中心であり続けたことは確かだ。職業革命家でありしたたかな現実政治家でもあり、日本のスターリニストの代表格であり…宮本顕治とはいったい誰だったんだろう。
***
昼過ぎまでごたごたしていたが、とにかく図書館にすっ飛んで『群像』の6月号を借りようとしたがもう借りられていた。残念。大田道灌を返却して吉村萬壱『ハリガネムシ』(文藝春秋、2003)を借りる。
ハリガネムシ吉村 萬壱文藝春秋このアイテムの詳細を見る |
現在42ペ-ジ、3割強。主人公が高校教師で、リンチ事件や生徒指導などについて書いているのはちょっと嫌だなと思った。昔のことを思い出して嫌だというより、そういう場面でのものの感じ方のようなものを読むのがなんだか嫌な感じがする。圧倒的に貧しい現実を突きつけられたような感じというか。しかし奇妙なエロティシズムの方へ話が流れているのでわけがわからないというか、意味不明の面白さに惹かれていく部分がある。文学界新人賞受賞作の紹介文に「奇想に次ぐ奇想」と書かれていたのでそうかそういう人かと思う。少しリアルな側面を入れようとしてそういう設定にしたのだろうかと思った。よく考えてみると出てくるのは変な人たちばっかりだ。
オルハン・パムク『わたしの名は紅』、314ページまで。全617ページだからようやく半分を超えた。しかし返却期限は土曜日だし、貸し出し期間を延長してもらわないと読みきれない。でも、この本は読めば読むほどいい本だと思う。3700円という値段は痛いが、買ってもいいかもしれないと思った。特にある重要な登場人物の死の場面の描写が圧倒的に豊かだ。細密画や西洋画についての芸術論議、イスラム世界の天使と悪魔、知識人の書斎の描写、そういうものすべてが圧倒的な豊かさを持って伝わってくる。逆に現代日本の小説というものの貧しさが強く感じられる、というか、それが扱っている自我というものの貧しさが、パムクの描写の圧倒的な豊かさに比べて貧弱に見える、ということなのだろうと思う。
あれこれ批評をするよりも、まずは味わうべき作品。
わたしの名は「紅」オルハン パムク,Orhan Pamuk,和久井 路子藤原書店このアイテムの詳細を見る |
***
失礼。テキストをローカルに保存しただけで更新した気になってた。スミマセン!
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