乱射と射殺/源氏と平家/手相といす
Posted at 07/04/19 PermaLink» Tweet
昨日。乱射事件とか射殺事件とかについてミクシィなどで意見交換などしていた。日本国内で起こった事件はまず心理的な側面とか精神病理的な側面で考えられていくが、外国で起こった事件だとどうしてもまずその国の民族性とか社会背景、また犯人の出身国のそれについて考えてしまうと言う傾向がある、という自分自身の中の発見がまずあった。長崎の市長射殺事件は言いがかりのエスカレートと言う感じだが、結局は行政介入暴力というものに対する対応の問題、つまり治安問題だろう。つまりは法治国家としての根本に関わることだから、その態勢の建て直しは急務であると言うべきだ。最大の実力装置(つまり暴力管理者とでも言うか)である国家が軽く見られている現状を、治安維持の面から改善することが求められていると言うことだと思う。
米ヴァージニア工科大の事件ではいろいろ考えたし報道も見たが要するに精神病理的な側面から見るのが最も適切な分析なのだろうと思う。その他のことはおそらく二次的なことだ。銃規制の問題もなくはないが、日本でも銃撃事件は起こるしこの犯人も銃が入手できなければほかの手段を考えただろうから、本筋の問題ではないような気がする。もちろん銃規制の是非を論じるためには重要なケースになることは確かだと思うけれども。
多分、この学生の行動は気味が悪い、と周囲のアメリカ人には思われていたと思うが、なんとなくこういう人っているよな、と日本人である自分は思うので、まあ何かしらこういう病理性においても東アジア的な共通性というのはあるのではないかと言う気がした。殺人と言う究極の犯罪において、実は結構民族性が現れるのではないか。「マーダーケースブック」とか言う本があったが、そういうエスニックな側面においても一定は分析されているのかもしれない。まあそんな分析は大変なことだとは思うが、犯罪心理学、いや犯罪社会学とか比較犯罪学とでも言うべきか、などと言う分野では基本的なことなんだろうなあと思う。
***
『すぐ役立つ銭流手相術』読了。やはり手相と言うのは難しいと言うか、「研究する」対象なんだなと思う。いろんな流派があり、いろんな見方がある。ただ、手相と言うものが変化するものだ、ということはよくわかる。手のひらの状態と言うのも毎日変化するものだし、色つやなどに健康状態も現れることは確かだ。自分の毎日の状態をチェックするのに、役に立つように思った。銭天牛は「手相に関心を持つ人は『明日を信じる』という人だ」と言っているが、それは全くその通りだなと思った。基本的には、自分でよくわからない明日に進んでいくために、努力しようという人が関心を持つのだと思う。明日がどうなってもかまわない、という人は手相や占いになど関心は持たないだろう。自分の力に揺るぎない自信を持つ人は関心がないだろうけど、それでもたとえば人気商売とか、「風」次第で明日の自分がどうなっているかわからない種類の仕事の人はわりあい占いに関心を持つようだ。占いと言うのは結局はある程度以上カウンセラーでありコーチであるのだと思う。
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『頼山陽日本外史』も読了。記述の部分でなく史論の部分のみを集めて訳し解説をつけたもの。頼山陽の指摘で面白かったのは、平清盛が悪く、源頼朝が良く語られているが、源氏は共食い(義経らを打ち滅ぼしたこと)しているのに平家は滅亡まで助け合っていることから見て、平家もよい面があり源氏も悪い面があったということだった。そういうことを善悪の側面から考えたことがなかったので(私が平家の滅亡は善というより美だ、という近代の文学者の見方に傾きすぎていたということだ)新鮮な感じがした。
また平将門が検非違使になれなかったために反乱を起こした、「豪傑の士を愛惜せず、沈潜せしめた」ことが乱の原因だとし、藤原氏を責めているのは頼山陽自身に「正当に評価されていない」という不満が強かったということだろうと思った。そしてその「才能は持っていても世の中で正当な地位につけない」という不満はいわゆる「封建社会」で「門閥主義」である江戸時代においてものすごく強いものであったのだろうと改めて感じ、その不満への共感が明治維新への原動力であっただろうと思った。「世間や組織に正当に評価されていない」という不満はもちろんどの時代にもあることだし、現代でも相当多くの人が持っている不満だと思うが、それを一つの史論にまで高め、全国に流布させたのはやはり才能だなと思う。
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自分で楽しむ「趣味」講座でウェグナーのいすを取り上げました。ご一読いただけると幸いです。ほかにもいくつもありますので、また取り上げてみたいと思います。
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