アンジェラ・アキ『サクラ色』
Posted at 07/03/10 PermaLink» Tweet
昨日帰京。昼から夜にかけての仕事は思いのほか忙しく、てんてこ舞いだったが、特急に乗る8時前には潮が引いたように暇になったので何とかなった。帰りの特急では野口晴哉『愉気法 1』を読む。通して読むのは二度目だが、一度目よりははるかに理解度が上がっていて読んでいて興味深いところが多い。
アンク『スタイルシート辞典』は読了。スタイルシートについて、基本原理はほぼ理解できたと思う。実際に適用するには練習を積み重ねるしかないが、ほかのサイトの作例なども参考にしつつ、習熟して行きたいと思う。買った頃はあまり理解できなかったことが、多少は理解できるようになっているのは嬉しい。
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家に帰ると、集合ポストにアンジェラ・アキの新譜、『サクラ色』の初回限定版(DVD付き)が届いていた。何だか複雑な気持ちだったが、これも何かの縁かもしれない。ネットでいろいろ調べていたら、昨夜はミュージックステーションにも出演していたのだという。一昨日は新曲のリリースだし、そういうタイミングを考えていたのかな。
サクラ色 (初回限定盤)(DVD付)アンジェラ・アキ, 亀田誠治, 河野伸ERJこのアイテムの詳細を見る |
いろいろ知らないことを知ったが、彼女の父親は中村勘三郎が今年のイメージキャラクターになっている英会話スクールの社長なのだという。そのことで彼女を中傷する書き込みが2ちゃんねるなどではかなりあったらしい。知らなかったけど。しかし、ハーフの女の子でそんな社長の娘だったら、彼女の育った田舎の土地で、どれだけ孤独感を味わったことだろうかと思う。私も似たようなことを経験しているので、「自分だけ人と違う」ことの辛さのようなものはよくわかる。「人は皆一人だから」という彼女の歌詞は実感だろう。その孤独の深さが、彼女の歌の世界を作り、彼女にある種のカリスマを与えている、のだと思う。
能書きはそのくらいにして、まずは『サクラ色』のDVDを見た。きれいなことはきれいだが、ちょっと作りすぎのような気もする。ビデオのメイキング映像のほうは何だかよかった。こういう日常性がほっとする感じがある。
CDの方を聞く。悪くないんだが、ちょっとサウンド志向が強い気がする。何というのか、アンジェラがどの方向に行くべきなのかということについては好きな人の中にも意見の分かれるところがあるとは思うのだが、私はピアノの弾き語り、という武道館ライブの方向性が一番あっている気がする。あまりサウンド的に華やかにしすぎるのは、彼女の魅力をそぐような気がするのだが。
何度もブログに彼女のことを取り上げているけれども、私が持っているのはインディーズ時代のミニアルバム『One』と昨年リリースのメジャーデビュー盤『Home』、それからこの『サクラ色』の三枚だけだ。シングルにしか収録されてない曲もあるから買ったほうがいいのだが、アルバムにそのうち入れるのではないかという期待でまだ買っていない。ビートルズでも結局アルバムに収録しなかったシングルB面があるから本当は買った方がいいんだけど。
私が彼女の曲に一番強く感じるのは、「光と闇」ということなんだな。愛とか優しさとか強さとか、そういう「光」を人間は感じられる一方で、どうしようもなく深い闇、絶望や孤独にとらえられてしまう弱さもある。『One』にはそういうのが強く感じられたのだけど、『Home』では光と闇だけでなく、もっとアーチストとしての「輪郭」のようなものがはっきりと形作られてきたように感じていた。今回の『サクラ色』の印象は、そこからさらに一歩進んでカラフルな彩色が現れてきたような感じがする。
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Home (通常盤)アンジェラ・アキERJこのアイテムの詳細を見る |
しかし今回のアルバムがワシントン時代の思い出がテーマだ(桜というのはポトマック河畔の桜なんだよね)ということで、つまりは最初に結婚した相手との思い出を歌ったということなんだろうと思う。『Home』の歌詞に比べて、とても冷静で客観的に過去を振り返っている感じがする。それはつまりその思い出を乗り越えた、あるいは乗り越えようとしているのではないかと思う。つまり、この曲と、今回の結婚とは、ものすごく強い関連性を感じてしまうのだが、多分、そんなに間違っていないだろう。
光と闇の強烈なコントラストしか存在しなかった心の中が、だんだん物事の輪郭が見えてきて、それでもモノトーンの世界だったのが、だんだん一つ一つの色が見えてくる。彼女の音楽世界が、そんなふうに変化しているような気が、私にはしている。
今回のCDはそういう意味で今までの彼女の活動、彼女の人生のひとつのゴールであって、これからの人生と活動のスタートでもある、そんな位置づけなんではないだろうかという気がする。
21日には武道館ライブのDVDが出る。ライブでは完全にピアノの弾き語りオンリーだったというし、『サクラ色』もそこで初披露された作品だから、弾き語りバージョンの『サクラ色』がきけることになるので、それがとても楽しみだ。二つを聞き比べて、彼女の音楽性の方向を考えてみるのも、一ファンの特権というものだろう。
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