予は常に諸子の先頭に在り/「今度はイタリア抜きでやろうぜ」
Posted at 07/03/08 PermaLink» Tweet
昨日。午前中用事で松本に出かける。左手の中指の調子が悪いのを見てもらったら腰の疲れが首に来ているとのこと。調整してもらって、一晩寝て起きたら痛みのようなものはほとんどなくなっていた。腰の疲れというのはほんとうにいろいろな問題の根源になる。
帰ってきて昼食。午後は少し休んで、夜まで仕事。あまり忙しくなく。嬉しい知らせも届く。早めに仕事は終わったが、時間があったので集中してネット関係の作業のうち最近出来ていないことをやる。
Xoopsのサイトはだいぶビジョンが固まってきた。実現するまでにはまだ少しやってみなければわからないことが多いのだが、前に進めたいと思う。いいサイトになりそうな気がしてきた。
小室直樹『硫黄島栗林忠道大将の教訓』を読み進める。現在150ページ、第4章の途中。ここまでの構成は、序章「世界の戦史上、稀にみる死闘は東京都内で行われた」は「硫黄島の戦い」が日本国内であまりに知られていないことを嘆き、その意義を強調するもの。第1章「真珠湾奇襲から硫黄島へ」は硫黄島の戦いに至る日米戦争の経緯。解釈は小室の独創性が発揮されているところが多く、事実の面でも私などは知らないことが多かった。
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第3章「硫黄島三十六日間の死闘」は、実際の硫黄島の戦闘とそれを巡る国内状況を日米双方について描写、解釈。栗林中将の発した「言葉」が胸を打つものがある。実際、栗林は「硫黄島の守備隊長」ではなく、小笠原方面総司令官なのであって、師団司令部は父島にあるのだが、栗林は実際に戦闘が行われる最前線の硫黄島に司令部を移したということは知らなかった。3月17日朝の全将兵に呼びかける電報、「一 戦局は最期の関頭に直面せり」で始まる文章は「四 予は常に諸子の先頭に在り」で終わるが、絶望的な状況の中でのこの言葉は、確かにこれで奮い立たなければ男子ではない、という感じがする。
硫黄島の戦いは日本国内よりもアメリカで詳しく報道され、圧倒的に優勢であるはずの米軍、特に最強を誇った海兵隊員が日本軍にばたばたと倒されている事実は正確に国民に伝えられ、新聞王ハーストは硫黄島の犠牲の大きさを訴えてニミッツを更迭してマッカーサーに指揮を執らせろとのキャンペーンを張ったという。戦後マッカーサーがGHQ総司令官として占領下日本の最高支配者になったのはそういうことも影響していたのだろうか。
第4章「現代に生きる硫黄島」は、硫黄島の戦いが戦争の推移と降伏条件、アメリカの戦後の対日政策に与えた影響について述べている。軍備制限が条約でなく押し付け憲法によって定められたということは、日本に軍備に関するフリーハンドを与えることになった、という解釈は初めて聞いたがなるほどそういう考え方もあるかと思った。ハル・ノートが無謀だったから戦争に追い込まれたという説も、ハル・ノートには中国撤兵の期限が切られていないのだから最後通牒ではない、だから受諾しておいて重慶を占領し、もうすぐ撤兵しますよー、と現在のどこかの国がやっているようなしたたかさでやっておいても全然よかった、と小室は主張する。確かに「どこかの国」がやっているあの狡さ、したたかさが日本にあれば、あんな下手な戦争はしなかったかもしれないと思う。
ドイツは現在でも親日的で、ドイツ人からはいまだに「今度はイタリア抜きでやろうぜ」というジョークが発せられるという話は佐島直子『誰も知らない防衛庁』に書かれていたが、それはドイツの過去の同盟国の中でドイツよりも先に降伏したり戦線離脱したりしなかった国は日本しかないから、だそうである。確かにイタリアにはドイツは相当手を焼いているし、フリードリヒ大王にしろナポレオン戦争のときにしろ、第一次世界大戦でもドイツは孤独な戦いを強いられた。日独同盟というものが双方にとってほんとうにプラスになったのかは疑問だが、「イタリア抜きでやろうぜ」という言葉はかなり実感がこもっているものと思われる。
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やはり小室は面白い。読みかけ。
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