殴り合いとかつかみあいとか/昭和10年の東京のカラー映像
Posted at 07/03/03 PermaLink» Tweet
昨日帰京。昼から夜にかけての仕事、思っていたより疲労感が溜まった。地元の駅で弁当を買って乗車したときに『美味しんぼ』の98巻(最新巻)が出ているのを見つけて買ったのだけど、ちょっと今回はあんまり面白くなかった。海原雄山が左翼化しているのがどう考えても気持ち悪く、「究極対至高」でもその左翼性が評価されて勝利を収めているところなど、原作者の雁屋哲がそういう人だといってしまえばそれまでだが、そういう左翼趣味が出ていない巻では結構読ませるものもあるだけに惜しい。このシリーズも見事に98巻まで全部持っているのだが(笑)、傲慢で鼻持ちならない美食家で保守の権化のような存在であるところが海原雄山のキャラクターの存立基盤であるのに、菅直人みたいなことをいってたんではどうにもならない。ただ、長崎の食文化の基本に砂糖の甘さがあるという話は面白かった。私が長崎に行ったときにはあまりそういうことは感じなかったけど。
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今日は起きぬけからちょっと体調が悪く、午前午後は本を読んだり静養したりして過ごす。『談志陳平のいいたい放題』でマレーネ・ディートリッヒ主演の映画が紹介されていて、格闘シーンが二つとも非常に良かった。マジの殴りあいなんていう野蛮なものであれだけ見せるんだから昔の俳優は力があったんだなあと思う。一本目の映画は『スポイラーズ』で、ディートリッヒに迫る悪役にジョン・ウェインが殴りかかり、派手な殴り合いになるのだが、相手をのしてしまってから野次馬たちに向かって「今日は俺のおごりだ!」と叫ぶところがかっこいい。
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二本目の『砂塵』でディートリッヒ自身がほかの女とつかみあいをしているところは大ウケした。ジェームズ・ステュアートが二人の熱を冷ますためにバケツで水をかけるのだが、今度はディートリッヒはステュアートにつかみかかり、バーにおいてあった酒瓶を次から次へとステュアートに投げつけ、ステュアートは椅子を盾にしてそれを防ぐのだが、一暴れしたディートリッヒがふうっとした顔をして、「誰か私に一杯おごって」というと野次馬たちが我先におごろうとするのも爆笑した。いずれにしてもこういう緩急のつけ方が、昔の映画はとても呼吸がいいなあと思う。
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ぼおっとYouTubeを見ていて面白いのを発見。昭和10年の東京、というカラー映像。レトロではあるけれども、当時の東京が実にモダンな街であり、なるほど「帝都」とはこんな感じかと感心させられる。2.26事件の前年の東京は、ある意味では既に「現代」なのだ。この映像の提供者はほかにも興味深いのをいくつか出していて、面白い。新作映画などではいかに時代を再現したといってもやはり現代の製作者たちのイデオロギーが忍び込んでいてつまらない(特に昭和戦前期のもので、イデオロギーゼロで製作されることはほとんどないだろう)のだが、こういう当時の映像を見ることで、極力色付けされていない立場からこの時代を振り返る事がもっとも重要なのだと思う。
3時過ぎに少し出かけて地元の本屋で岡田庄司『MovableTypeで今日から始めるカスタムブログ』(秀和システム、2006)を買う。3200円(税別)か、すごい値段だ。
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ついでにコンビニで『コミック乱』4月号を買う。この号ではとみ新蔵「柳生兵庫助」大島やすいち「武田二十四将」さかもと瓢作「半七捕物帳」が良かった。「武田二十四将」では新陰流の創始者・上泉伊勢守が出てきていて、彼が上州の豪族の出で武田信玄と戦ったことがあるということは始めて知って、武芸と戦国史の時代の流れの結節点が少し分かった。「半七」は「半鐘の怪」という話で、半七が誰もいないのに半鐘が鳴らされるという怪の原因を探り(現代は半鐘が盗まれるという怪の時代だが)、結局猿芝居から逃げ出した猿のいたずらだったということが判明する。その猿は、猿芝居での得意演目が「八百屋お七」だった、というのがオチである。このオチは非常によく出来ていてとても感心した。(ちなみに八百屋お七の筋書きについてはこちらで)
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