家庭内に秘蔵された春本/毛沢東じゃなあ…
Posted at 07/01/07 PermaLink» Trackback(1)» Tweet
体調は昨日に比べればかなり落ち着いてきている。空も今日は朝から晴れていて、気持ちがいい。しかし天気がいいということは寒くなるということでもある。今日は1月7日、七草の日か。「せりなずな、ごきょうはこべらほとけのざ、すずなすずしろこれぞ七草」、という具合に「春の七草」は覚えたものだが、いかにも早春の感じのするものである。本当は旧暦だから二月の終わり頃の春に近い感じの頃に出てくるものだから、この厳寒の時期にそういうものを要求するのは不自然ではあるのだが。まあそれを言ったら桃の節句や菖蒲湯もみんな時期外れではある。
昨日は今やりかけていることが意外な成果が上がったのでちょっと喜んでそちらの方で頑張ってしまったが、どうもたまたまであったらしく、頑張った成果は出ていない。うまく行くかどうかは分からないが、少しずつでもよくなっていくといいなと思う。
金子光晴『這えば立て』を少しずつ読んでいるが面白い。金子は『面白半分』の編集もしていて、「四畳半襖の下張」の話にも言及していたが、それで明治大正期における春本がどんな地位にあったか、という話が面白かった。
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「当時はこの種のあぶな絵は、どこの家庭にもあったものだ。江戸期には、毎年春になると、新本が刊行されたもので、春出るからというわけでもあるまいが、春本も必ず春とともに出版される。これが旦那衆の家には、毎年、他の新刊本と一緒に届けられたのだ。おかげで、現今はエロ本や裸が街にあふれているのに反して、昔は家庭内に秘蔵されていたのである。だから、ちょっと目はしの利く子供なら、必ず見つけ出して、じっくりと研究したものなのだ。…当時われわれが見た錦絵や春本はあんな(「四畳半襖の下張」を指す)程度のものではなかった。絵にしろ文章にしろ、もっと具体的で、克明に書き込まれてあった。」
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このあたりは、まさにその時代に生きていた人にしか分からない記述で、大いに勉強に(?)なる。まだ読みかけだが、しかしこの時代の人だからなのか、この時代の人にしてはなのか、奇想天外な人生の展開を繰り返していて読んでいて飽きないが呆れるばかりだ。
村山孚『勝つための哲学 孫子の言葉』。何の気なしに買って読み始めたが、面白いのか面白くないのかよくわからない。多分あまり面白くないんだろうと思う。孫子の言葉をいろいろ取り上げて説明しているが、学問的でもなく感心するような鋭さもなく、淡々と続く。多分私が戦争とか戦略とかそういうことがあまりよく分からないからなんだろうとは思う。ただ、「天」とか「道」とかいう言葉を世は道徳的に解釈しすぎる嫌いがあるが、孫子の言うそういう言葉は道徳的とか精神的なものではなく、もっと具体的に「時機」とか「方法」と言ったものを指している、という指摘はその通りだと思った。
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ただ少し鼻につくのは、孫子の兵法に則って成功した例として毛沢東の例が随所に取り上げられていることである。現在の共産中国のことは称揚するばかりで批判はひとつもなく、何だか10年以上前の本を読んでいる感じがした。変だなと思って奥付を見ると、この著者は「中国の月刊誌『人民中国』顧問」を勤めているのだそうだ。ダーッ、である。まあそういうものとして読むしかない。未読了。
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from 函館 Glass Life at 07/01/09
武田信玄で有名な、風林火山中国の有名な兵法家孫子【本名孫武】のものですよね!! 疾きこと風の如く、静かなること林の如く、侵略すること火の如く 動かざること山の如し{/ee_3/}有名な一節です。 実はこの後に、知り難きこと陰の如く、動くとは雷震の如し、 ...
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