都市の空気は自由にする/『嫉妬の世界史』/日本の服飾文化は/写真が素晴らしい雑誌
Posted at 06/11/05 PermaLink» Tweet
昨日もいろいろとがたがたしたが、仕事終了後上京。久しぶりに東京に帰ってくると一息つける。『都市の空気は自由にする』とは中世ヨーロッパの言葉だが、昨日はなんだか本当にそうだよなあと実感した。
集中して本が読めるという状況ではないのでどれも中途半端なのだが、山内昌之『嫉妬の世界史』(新潮新書、2004)などを読む。石原莞爾と東條英機の対立、ヒトラーとロンメルの行き違い、スターリンとトハチェフスキーの対立などの話が面白かった。特に一番印象に残ったのはトハチェフスキーの話で、フランス革命のときもそうだが、軍という組織では革命が起こっても古くからの貴族的な将軍を残さざるをえず、それがのちに対立の火種になったりするものだが、貴族的なトハチェフスキーが1937年まで生き残った(革命後20年だ)のも有り余る才能の故であり、彼が処刑されたことが結果的に独ソ戦を招いたと言う面もあるだろう。ロシア=ソ連やドイツを巡る話は地理的物量的なスケールが巨大になりがちだが、ソ連国境を侵犯したドイツ軍が180個師団と言う話を聞くと改めて驚嘆する。大正時代の日本では2個師団増設をめぐって内閣が倒れたりしていたのに。未読了。
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『ナポリ仕立て 奇跡のスーツ』については何度も書いているが、とても強く憧れるものではあるのだけれど、実際にその分野に詳しくないのでこの本の素晴らしさをきちんと書くことが出来なくて残念だ。ヨーロッパでは装いと言うものに着る人間とつくる人間の魂が込められているのだなということを実感する本なのだ。日本がそのような意味での服飾文化があったのは一体いつごろのことなのだろう。中世の武士の装い、特に鎧や兜などについては軍記物ではかなり詳細に叙述されていることを思い起こすと、この時代の武士たちが装いに命を賭けていたことがよくわかる。やはり箙に梅の一枝を挿して戦場に赴くとか、そういうのがかっこいいんだよなと思う。近代の服飾文化のそういった部分は私はよく知らないのだが、もちろんかなりのものがあったのだと思う。そういうことも知りたいものだと思う。
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帰りの列車の中ではコンビニで買った『Number』665号(文藝春秋)を読んでいた。日本ハムの優勝特集。こういうものは何度読んでも快い。表紙は当然のごとく新庄だが、やっぱ絵になる男であることは間違いないなあ。
Sports Graphic Number (スポーツ・グラフィック ナンバー) 2006年 11/16号 [雑誌]文藝春秋このアイテムの詳細を見る |
そういえば列車に乗る前に入ったラーメン屋で日米野球をやっていたが、メジャーリーグに圧倒されている感じだった。小笠原がフォアボールを選び里崎がホームランを打ったところをちょうど見られたのだが、先発が内海や西村(ともに巨人)ではちょっと勝負にならないだろう。日本ハムはアジアシリーズがあるから選手が割けないのは仕方がないとして、ほかのチームからも辞退者が多すぎるのはちょっとあれだ。というかポストシーズンが今は忙しすぎるんじゃないかな。もう少し日程のことを考えろと来期の日本一決定システムについても選手会が言っているけれども、経営者側も考えるべきだろう。このあたり、週5日制を強行して(産業界の要請だろうか)必修逃れをもたらした高校教育の荒廃とすこし似ているところを感じる。現場の声の汲み上げ不足もあるし、現場の弱体化もまた伴っている。学力上位者はどんどん大リーグ=外国や都会の学校に流出し、沈滞化はさらに深まることになろう。
話はずれたが、稲葉のインタビューはさわやかでいいなあ。そのほか、日本ハムのダルビッシュや八木を育てた佐藤義則ピッチングコーチ(元阪急→オリックス)の話、札幌ドームの女性ファンの多さの話、各試合後の感想を江夏が述べた「江夏豊が斬る!」のコーナーなど、盛りだくさん。もう『博士の愛した数式』を読んで以来、江夏といえばその背番号「完全数、28」がどうしても頭に浮かぶのだが、この不器用なインタビュー内容もその人柄が偲ばれて思わず目頭が熱くなる部分がある。
それにしても『Number』は写真がいいなあ。お金さえあれば定期購読したい雑誌だと思う。
***
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