シリーズ/ヘッドホン/嘘話/空の青/アンテナ

Posted at 06/10/25

昨日帰郷。昨日は雨もよいで、肌寒かった。仕事はそれなりに忙しく、寝不足のせいもあって少し疲れた。仕事を終える前にネットで日本シリーズの勝敗を知り、小さくガッツポーズ。このまま札幌で胴上げまで持っていってほしい。家に帰ってニュースを見て堪能。小笠原も二点タイムリーを打ったし、どんどん行け行け。

電車の中ではアンジェラ・アキを聞いたり川上弘美を読んだり。アンジェラを聞きながら寝入ってしまう。電車の中で音楽を聞いていない頃は、なぜシャカシャカ音が駄々洩れのヘッドホンに聞き入ってだらしなく寝ていられるんだろうとふしぎに思ったこともあったが、自分で聞いてみると、やはりその世界に入ることで安心して寝てしまうということがあるんだなあと思う。その安心感のある音が人によって違うと言うことなんだろうと思う。

川上弘美『蛇を踏む』読書中。「蛇を踏む」という作品自体は読み終わった。なるほどこういう作品か。変化譚でもあり、異種婚姻譚でもあり、最後は疾走しながら終わってしまう。川上は「嘘話」というが、実際嘘話のリアリティと言うのはとても興味深いものがある。つまらないものにころりとだまされることがあるのはなぜか、ということをこれを読みながら考える。嘘がスーパーナチュラルなんだなと思う。リアルとアンリアルを固定して考えないことが、こういう作品を読むときにはポイントなんだろうと思う。そういうスタンスは、たとえば「占い」を楽しめるか、というようなことと似ていて、まあ「当たって」いてもいなくてもいいけど、そういうことってあるかも、そういうことってありそう、というようなリアルとアンリアルの境目を楽しめるかどうかにかかっている。そういうことが苦手な人が、こういう作品をどのように読むのかは少し分らないが、楽しめない人も多いんだろうと思う。

蛇を踏む

文藝春秋

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朝起きて散歩に行く。雲が切れていて、山がみずみずしい。もう少しずつ紅葉が始まっていて、遠くの山に雲とも霧ともつかない白いものが、しかし輪郭がくっきりと立ち込めている。時間がたつにつれて朝の光が強く明るくあたりを照らすと、空の青がとても目に明るく、きれいに映る。秋の晴れた朝の空の色はとてもきれいで、心に染み込んで行く。胸が痛くなるような色である。特に太陽と反対側の西の空の色が青が濃く、私が一番好きな空の色だ。

NHKFMで『私の名盤コレクション』を聞く。SHOYAのボーカル、寺田恵子がジャズ・バイオリニストの寺井尚子をゲストに喋っているのだが、この二人に興味を持って、昨日はネットを調べたりした。今日は寺井の作品の作り方の話が興味深かった。何をやるか、というのが「感情」から出てくるのではなく、びびっと来るもの、寺井の言い方で言えば「アンテナ」が動くか否か、というところから出てくるという話で、ああこういう枠のない、自由な発想ができる人が成功するんだろうなあと思う。ハードロッカーの寺田とはそのあたりのものづくりのしかたが全然違うようで、その対比が非常に興味深かった。アンテナの動いたものを題材に、いかに「ジャズる」か、ということで取り組む。「ジャズる」というのはつまりジャズの命である「即興」によって、たとえばカバー曲を演奏するなどの際に、もとの作品と対話する、ということらしい。その対話は、いろいろな仕方があるわけで、オリジナルなフレーズとの対話やそれを使ってのほかのプレイヤーとのやり取りや観客とのコミュニケーションもある、ということなのだと解釈した。

昨日紹介されていたのは私がとても好きなミシェル・ペトルチアーニだったので、ちょっとじんときてしまったが、今日はリー・リトナーで割と軽い気持ちで聞けた。アルバムの名前をちゃんとチェックしてなかったのでよくわからないが、ジャズの曲の好みというのも自分にもあるなあと思いながら聞いていた。

空がほんとうに青くて気持ちがいい。


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