橋本聖子さん/有元利夫/対抗文明としての日本文明
Posted at 06/10/01 PermaLink» Trackback(1)» Tweet
今日から10月。2006年度も半分終了。2006年はあと3ヶ月。秋も本番。都民の日。
橋本聖子スケート連盟会長・参議院議員が28日に男の子を出産した、というのは今日知ったのだが、橋本さんは東京五輪の年生まれだから今年42歳だ。シドニー五輪の年(2000年)に最初のお子さんを生んだときに36歳で、それから3人出産されたのだからまさに高齢出産の星とでも言うか、凄いなと思う。しかもご主人の先妻のお子さん3人も育てられているということで、少子化問題に真っ向から立ち向かっている。蛇足だが駒大苫小牧の出身だったのだ。そして出産3日目の昨日にはもうスケート連盟の評議員会に出席したということで、これも驚く。子宮収縮等、出産後にはいろいろいわゆる「産後の肥立ち」の問題があると思うのだが、アメリカなどではわりあい早い職場復帰の例も普通のようだし、そういう例を踏襲しているのだろうか。こういう方の子育て法など、まあ普通の例とは違うとは思うが、参考になる点はかなりあるだろうから、ちょっと知りたい気がする。まあシングルの私自身に今すぐ役に立つ話ではないのだが。
これも蛇足だが、橋本さんの最初のお子さんが聖火ちゃん(シドニー五輪の年)、二番目が亘利翔(ギリシャ)ちゃん(アテネ五輪の年)だそうで、今年生まれた子はトリノちゃんではないかと予測されているらしい。まあなんというか、公人も大変だが、いろいろな意味でパワフルな女性だなあと改めて思う。
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きのうは暗くなってから丸の内に出かけ、丸善で本を見ていたら「とんぼの本」で有元利夫の本が出ていて、欲しくなって買った。丸善の日本橋店が閉店の時、絵画のバーゲンをやっていて、有元の作品が8万円くらいで出ていたのだが、迷っているうちに売れてしまったことがあり、今でも惜しく思っている。今の経済状態では8万円は大金なのだが、欲しいものはやはり買っておくべきだったなと思う。有元利夫・有元容子・山崎省三『有元利夫 絵を描く楽しさ』(新潮社、2006)。この作家がもっともっと評価されるといいなと思う。あまり値上がりされると、買えなくなってしまうが。
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もうひとつ見つけたのは塩野七生『ローマ人の物語』(新潮文庫、2006)の27・28巻、『すべての道はローマに通ず』である。ローマのインフラストラクチャーを扱って文学者が一冊の本を書くというのはある意味相当な野望だなと思ったが、どんな作品に仕上がっているか。これも楽しみだ。
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最近、村上隆『芸術起業論』を読んで改めて思うのだが、現在の世界での文明のメインストリームが西欧のものである以上、日本文明、あるいは日本文化は『対抗文明』でしかない。カウンター・シビリゼーションあるいはカウンター・カルチャーと言うことだ。世界で評価される日本の芸術というものも、日本の王道のものというよりは日本の中では対抗文化的なもの、たとえば葛飾北斎とか、アニメとか、ローティーンのファッションとか、あるいは村上自身の作品とかになっているのもその現われだろう。日本文明の王道のような部分をそのまま理解してもらうのはなかなか難しい。茶道や禅や歌舞伎などにしても、やはりそのオリエンタリズム的な新奇性から抜け出して理解されるということはまだまだないように思う。
フランスで文化省が強い力を持っているように、文化というものを世界にプッシュしていくには政治の後押しがやはり必要だろうと思う。商品になるアニメやゲームやファッションを売り出していくのも必要だが、日本文明のメインストリームをコンパクトに世界に紹介していくプロジェクトのようなものもこれからは必要なのではないか。西欧文明の行き詰まりのようなものを、西欧文明にとっては周辺に位置するわれわれは強く感じるけれども、彼ら自身がそんなに強く感じているわけではない。「文明の衝突」的に押し出していくことはないけれども、彼らにとってのオルタナティブとして、日本人の自然観や工芸観、使命観や人生観のようなものをわかりやすく提示していくのは継続的な努力があってもいいように思う。
それは日本人自身にとってもただ西欧に、特にアメリカンスタンダードに身も心も染められていくことだけが生きる道だと思っている一部の人たちへの警鐘になると思うし、日本文明の崩壊からの建て直しにも資することだと思う。
日本的なものとワールドスタンダードと、ただ対立するだけのものだけではなく、広く受け入れられ世界で共有されていくべきものを、われわれの文明はもっているように思う。またそういうものとして日本文明は再生されていかなければならないだろう。
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朝は晴れていたのだが、だんだん曇ってきた。曇りがちの白い空はあまり秋っぽくはないのだが、これもまた秋だ。
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