安倍総裁誕生/良いところはおいそれと目に見えない
Posted at 06/09/21 PermaLink» Tweet
昨日。仕事までは勉強したり本を読んだりして過ごす。山の中腹にある先祖の墓まで歩き、手を合わせる。眺望がよく、湖と盆地が見渡せる。この土地に何百年も住み着いてきたのだ、と思う。
思いついたことをいくつか文にする。上手く書けないからといって書いていないと、文を書く力はすぐに鈍る。何か題材を見つけて書くようにしなければ。いつも「たぎる」心構えが必要だと心に念じる。
夜は普通に仕事。仕事の準備もその日の仕事もそれなりに。夜は少し遅くなった。
家に帰ると、安倍総裁誕生のニュースをやっている。党内票の66パーセントしか取れなかったといっているが、十分ではないだろうか。他の2候補も100票以上取り、それなりの存在感を示したし、バランス的にはそれでよかったのではないかと思う。
安倍政権誕生の意味は、戦後生まれの初の首相ということが大きいだろう。51歳というのは戦後最年少で、確かに今までの常識としては若い(今日誕生日で52だったか)。戦前は伊藤博文や近衛文麿など40代の首相もいるけれども。ただ、世界的に見れば50代前半というのは政権担当の適齢期だろう。アメリカの大統領やイギリスの首相なども多くは50代だ。頑張っていただきたいと思う。
報道ステーションでは、人事に関しては安倍氏は急に近づいてきた人よりも以前から一緒に頑張ってきた人を重視するだろうという話をしていた。安倍晋太郎氏が死去して多くの人が離れていったのを見ているとも。その話で思い出したのは近衛文麿で、近衛も父の死去が早かったためにその種の苦労をしていると指摘されている。近衛の政権運営は危なっかしかったが、安倍氏はどうなるか。そういう経験がプラスの方に出るといいのだが、と思う。
今までは小泉カラーの影で一つのポジションを演じてきたわけだけれども、今後は自分のカラーをしっかり出して行かなければならない。安倍氏の政治に期待したい。
信州は朝夕が冷え込む。空気もだいぶ乾燥してきた。冷房が要らなくなったらもうストーブが恋しいという極端な気候なので、これからはもう寒さ対策が必要だ。日中はだいぶ気温が上がるのでバランスが難しい。昨日の夜も仕事中少し寒かった。
今朝も山に登り、手を合わせて帰ってくるときにいろいろ考えた。茶道の本などを読んでいると心にいろいろな焦りのようなものが生まれるが、小説を読んでいると心が平穏なのはなぜなのだろうかと。その時思ったのは、小説を読むということが何を学び吸収するでもない、無償の行為だからということではないかと思った。茶道の本を読むと確かに面白いが、何かを吸収し学ぼうという姿勢になっている。そこにはからいがあり、無心ではないということなのだろう。学ぶという行為ももちろん必要なことではあるのだが、何かを吸収しようという心が強すぎるとそこに何らかの障害が起こるのだろう。たぎる心、つまりただそれに打ち込む心で学ぶことが必要なのだ。私が茶道の本を読んでも実際に茶道を学んでいるわけではないから学びの次元が観念的になってしまう。気分転換くらいに考えておいたほうがいいのだろう。しかしこの本を読まなければ「たぎる」という言葉にも出会わなかったわけで、なかなか話は単純ではない。
前登志夫『存在の秋』は少ししか読み進んでいない。じっくりそこに描かれた自然あるいは神と対面しながら読まなければならない本だと思う。
筒井紘一『茶の湯名言集』はだいぶ読み進めた。現在174ページ。印象に残ったのは「似ざるを以て似たりとする」の項である。師匠の点前に似ている、というのはあまりよいことではないというのだ。それはどういうことかというと、人の癖や欠点というのは目につきやすい。だから、人を真似するということは、その人の癖や欠点を真似するということになってしまいがちだというのである。「良いところはおいそれと目に見えるものではない。」「点前に限らず、人間の良いところとはなかなか見えるものではない。だがそれは対象を能く見ていない証拠である。」というのはなるほどと思わされた。そしてよい点前とは、似せようと思っても似せることの出来ない、癖をとらえることの出来ない点前を持って最高とするのだ、という。これは本当にそうだなあと思う。よく読むと味わいがあるが、よく知らないと何が面白いんだかわからない、特徴があるのかないのかわからないような文章や、講義や、人間が、本当に人間らしい味わいを持っているのだと思う。最近はどうしてもこれ見よがしの「特徴」に満ちたものばかり見せられ、読まされている気がする。昔の友人と会ったとき、「普通の恋愛小説が読みたい」と言っていた。いろいろな作為のある作品よりも、よく練れた「普通の作品」こそがほんとうには求められているのかもしれないと思った。
これは先ごろ書いた、長次郎の作陶の、「何を考えているのかわからない凄さ」と通じるものがあると思う。
それにしてもじっとしていると冷えてくる。ひんやりとした朝だ。
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