雨の日比谷公園/東銀座で日本茶/和敬清寂
Posted at 06/09/19 PermaLink» Tweet
昨日。あるもので適当に昼食を済ませた後、図書を返却するために日比谷図書館に出かけた。午前中にずいぶん雨が降ったのだろうか、霞が関の駅の日比谷公園側の出口の階段には土嚢が積んであった。階段の両脇の水路の両側がずいぶん茶色く汚れている。水が流入してしまうと地下は弱い。丸の内線は古いから、そういう面での対策もあまりなされていないのかもしれない。
外に出ると雨が降っていた。公園は閑散としている。野音ではどこかのバンドがリハをやっていたが、あまり客はおらず、屋台のお兄さんたちも暇そうだった。図書館ででかいのを一冊返却したら鞄が軽くなったので、なにか借りようかと見渡した。川上弘美を借りようかなと思ったが、なんとなくやめる。最近現代日本女流作家ばかり読んでいたからどうもなんとなく食べ過ぎ感があったようだ。川上の雰囲気は糸山や小川ともまた違うのだが、あまり無理して読むこともない。
日生劇場の前を通る。一階が広々としていて、こんな感じだったっけと思う。旭屋書店で何冊か立ち読みしたあと、教文館まで歩き、結局、前登志夫『存在の秋』(講談社文藝文庫、2006)を買う。少し白洲正子のことを考えていたせいか、同じ方向性で歌人の随筆集を読んでみようという気になった。村上春樹や小川洋子も面白いのだが、私自身は、やはり日本的なものと離れていると不安になるところがある。前のアプローチ(晴耕雨読、を文字通り実践しようとしている)はまた徹底していて私などにはある種の驚愕なのだが、そういう人がどういうものを風土から受け取っているのかということには興味と郷愁の境目のようなところで惹かれるところがある。
どこかでお茶をしようと思い、そういえば東銀座がいいと関心空間で教えてもらったことを思い出し、歌舞伎座の方に歩く。歌舞伎座の裏手にいくつか喫茶店があって、そのうちの『鳴神』という日本茶の喫茶店に入った。入る前は気付かなかったのだが、外に面したところに座ってみると街路に開放された席だった。雨上がりのアスファルトのなんともいえない土臭い匂いがする。いろいろ訪ねて本山茶(ほんやまちゃ)と生菓子を注文。お茶も美味しかったが、器がいい。手びねりの薄いお茶碗なのだが、ちょうど両手にすっぽりと収まるような大きさで、それでいてまったく手に熱くない。二煎目、三煎目と飲むうちに、実は結構カフェインが多いということに気がつく。お菓子のほうは寒天を使ったグリーンのもので、口の中で広がる感じが気持ちいい。これで850円なら、銀座の真ん中の喫茶店で一杯1300円の珈琲を飲むよりリーズナブルではあるだろう。満足した。
帰宅し、いろいろやっていたら友人から電話がかかってきて話し込む。携帯アフィリをやっているということは聞いていたが、最近はデコメに没頭しているらしい。話は結構面白かった。私には全然分からないが、携帯には巨大な感情や欲望が流入しているのだなあと改めて思う。
夜テレビを見たらカンブリア宮殿に総裁候補三人が出ていていろいろ話していた。谷垣氏が司法試験に7回落ちたという話は始めて聞いた。壁一面の作り付けの本棚を持った書斎に作務衣で座っているところなど、そこらの親父だ。書棚の書名が見えなかったのは残念だが。途中からしか見ていないので安倍・麻生もそういうショットがあったのかもしれないが、見られなかった。12チャンネルの番組だが、村上龍がホストということもあり、こういう企画が実現したのかもしれない。われわれが子供のころの大平・福田・三木といった「全然別世界の人」という雰囲気は、少なくともこの三人にはあまり感じられなく、やはり世代は確実に交替しているのだなと思う。
朝起きてサイトをチェックしていたら甲野善紀氏の日記で「和敬清寂」という言葉が出てきて何だろうと思って調べてみたら茶道の用語だということが分かった。「和」と「敬」と「清」と「寂」。和は人の和であり、和みということか。敬は客と亭主が一体となる心映え。清は場の清らかさ、汚れを落として場に臨むということ。寂は体験して悟る、動かない静かなる心持を持つ、ということだろうか。いい言葉だと思う。
『読書三昧』にアルヴォン『無神論』、小川洋子『博士の愛した数式』を追加しました。
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