ハンカチ王子の全国制覇/三島由紀夫とか村上春樹とか/口内炎/オートマチック言説とバランス言説
Posted at 06/08/22 PermaLink» Tweet
高校野球、夏の決勝戦は素晴らしい試合で、決勝再試合の昨日は最初から最後まで全部見てしまった。白熱した好ゲームだったが、結局スタミナのある方が勝った、ということだっただろうか。青いハンカチの斎藤投手が最後まで投げきり、最大のライバル・駒大苫小牧の田中投手を三振に切って取って優勝を決めた。高校野球というものを見ること自体が久しぶりだったのだが、一昨日の延長15回引き分けの試合といい、昨日の再試合といい、野球の面白さ・勝負の楽しさを存分に感じさせる素晴らしい試合だった。
試合後の態度、コメントも両校とも非常に礼儀正しく、そのあたりも今回は好感度が非常に高かったように思われる。私は最初ぼおっと見ていたときは「普通だ」と思っていたのだが、あとでテレビでみんな礼儀正しさを誉めるので、そういえば最近の高校生はこんなんじゃないなと改めて思い出した。高校生がみな彼らをモデルにして礼儀正しくやってくれれば日本は相当住みやすくなると思った。
斎藤投手はクールで表情も変えずに一昨日の延長15回や昨日の9回に147キロの快速球を投げる凄い投手だが、青いハンカチでときどき汗をぬぐうことから「ハンカチ王子」とネーミングされたらしく、まあそのネーミングには苦笑しつつうなずいてしまうが、早くも青いハンカチがよく売れているらしい。こういう話はなんとなく清々しくていいな。
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昨日はやはり調子が悪く、特に歯茎の裏の腫れが気になってあまり何もできなかった。『福田和也の「文章教室」』読了。いろいろな小説やエッセイ、書評、自身の取材記録などが書かれ、なかなか面白いし勉強になるところが多かった。我々の世代の評論家は大学の先生でもあることが多いので結構そういう教育的な仕事も多く、それはそれでそれなりに面白い。
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夕方、とにかくと思い気散じに出かけ、丸の内の丸善で本を見る。「文章教室」で取り上げられたいたものを二冊買う。村上春樹『神の子どもたちはみな踊る』(新潮文庫、2002)と三島由紀夫『金閣寺』(新潮文庫、1960)。『金閣寺』は持っているかもしれないと危ぶんだが、持っていなかった。オアゾの地下で弁当を買って帰る。
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帰ってから友人と電話で少し話す。腫れが邪魔でうまく話せず。夕食。これも同じく。疲れてしまう。『神の子どもたち…』を読む。面白い。筋に引き込まれる。妻がいなくなるというのは村上にほんとによくあるパターンだが、ノーマルなサラリーマンがいきなり釧路に行くという展開がなんとなく自分の今の気持ちにあっている気がする。夜8時前に就寝。
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夜中に何度か目が覚め、いくつか野口整体の体操をやってみたり、水を飲んだり、汗を拭いたり。だいぶ疲れていたらしく、朝5時過ぎまで轟々眠った。気がつくと腫れが破れていた。あまり大きかったからわからなかったが、どうやら口内炎だったらしい。痛みが来る。やれやれ。なんだか起きるのが嫌だな、と子どものようなことを思ったら、なんとなく気が楽になった。気が楽になると起きる気になった。開き直るというか、自分に正直になるというか、そういうことが日常にうまく織り込んでいけないとどうも偏り疲労が大きくていけない。
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「神社のロマンチシズム論」か。この問題は人間の文化というのがそもそもいかなるものかという本質的な問題に接続していくことだと思う。ひとり靖国神社や神社神道の問題ではない。他との比較なしにそれを「虚構」と切り捨てるのは妥当性を欠く(というか虚構性を含まないものが人間の文化にありえようか)と思うが、そういう論法はうさたろうさんや【な】さんに限ったことではなく、ある種のアカデミズムや社会風潮全体の傾向なので、ちょっとやそっとの頑張りでは「蟷螂の斧」だろう。
しかし逆に頑張りすぎてロマンチシズムオンリーの世の中になってもこれもまた私自身としても困るので、結構難しいところなんだよな。最近「格差社会」ばやりの世の中になってしまっているが、その先鞭をつけた佐藤俊樹が「平等主義・悪平等の行き過ぎの世の中だったから問題提起として言ったのに、逆に不平等を正当化する言説として使われてしまっている」と慨嘆していた。バランス欠いていることに憤慨して述べた言説が全く逆の方向にバランスを欠くようになる事態を招くということは、自分の職業経験の中でも良くあったことで、結構それは警戒している。
私はある思想を奉じてオートマチックに対応するタイプの言説には左右を問わず魅力を感じないので、まあ情勢と自分の理解や知見の成長に合わせて少しずつ意見を述べていくしかないのだろう。「人を見て法を説け」とお釈迦さまはおっしゃったが、情勢が刻々変化する現代社会で、誰が読むかわからないブログでそれをやるのはなかなか難しい。
もちろん、人として生まれたからにはその言説もオートマチックもバランスも超えたオリジナルなものに育て上げたいと思う。それに対しても「オリジナル信仰」という非難はありえるが。
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