久々に秋葉原にいく/エリオットによるエリオットの朗読

Posted at 06/04/30

昨日。夕方になって秋葉原に出かける。銀座線の神田で降りて万世橋の方へ行くと、交通博物館にすごい人だかり。もうすぐ閉館するという話だったから、全国の鉄道マニアが集結しているのだろうか。万世橋から旧万世橋駅(つまり博物館)のほうを見上げて騒いでいるので何かと思ったら、ディーゼルカーに引かれたブルトレの客車があった。そういえば多分、この博物館には一度も入らなかったんじゃないかと思う。鉄道が好きだった子供のころに東京に来る機会があったらきっと来ただろうと思うのだが。

休日の土曜ということもあり、秋葉原はすごい人だかり。私は白物の冷蔵庫を買うだけだから最初からナカウラ電気を探す。しかし3号店が見つからず、面倒なので本店に行き、6階の家電売り場で安いのをみた。左開きのは無いかと聞くと、どちらでも扉を付け替えられるのがあるというのでそれにした。冷蔵庫、古いのの処分料、7年補償がついて4万1000円。今までのよりだいぶランクダウンしたが、まあ良かろう。月曜日に配達されることになった。5時までに注文していれば日曜に届いたのだが、一寸間に合わなかった。

メイドさんたちがうろうろしているのではないかと思ったが全然見当たらず。あれは趣味の人のみに見えるフェアリーみたいなものなのか。ヤマギワ電気で照明などを冷やかしつつ御茶ノ水の方への坂を上り、ニコライ天主堂の前を通って神保町に出る。

はっきりした目当てはなかったのだがエリオットの評論集などを探していたような気がする。そういうものがあまり流通しているわけで無いことは認識した。東京堂でSAPIOの新しい号と川崎寿彦『イギリス文学史入門』(研究社、1986)を購入。他の文学史でエリオットの『四つの四重奏曲』が載っているのを読み、心を奪われたのだが、文学「史」としてはこちらの方が読みやすい感じがした。

古瀬戸珈琲店で夕食をしながらSAPIOを読む。小林よしのりが今の好景気を『格差景気』と命名すべきではないかと書いていたが、そのまんまだがそれ以外の命名も無いかなという気もする。バブル崩壊が深刻なリストラ不況だったわけだから、不況を脱すると当然富の寡占が顕在化するわけで、格差の発生というのはこの好況に限ったことではないのだが、これだけあからさまなのは松方デフレの後の企業勃興とかを思い出す。大橋巨泉がイチローを差別主義者と非難しているという井沢元彦の記事を読んで大橋巨泉もずいぶん焼きが回ったなあと思う。民主党で当選してさっさと議員辞職して以来、誰が相手にしているのかと思っていたが、相手にしている雑誌もあるらしい。ちょっとな。

エリオットの原書でもいいから読みたいと思い東京駅の丸善へ。原書でもあまり見つからず、結局"T S Eliot READING The Waste Land Four Quartets AND OTHER POEMS"というCDを買った。エリオットが自分の詩を読んだ録音(1947)ということで一寸いいかもと思う。どうせテキストはネットで入手できるだろうしなあと…しかしこれではなかなか商売が成り立たないだろうな。実際『荒地』は簡単に見つかったのだが。オアゾの一階の「タンテ・マリー」で西洋干菓子?(何て言えばいいんだろう、パウンドケーキみたいなの)を買って帰る。

エリオットの朗読を聞く。大体想像通りの読みなのだが、行末の韻を合わせたところを意識するわけでなく、意味的な流れを重視して読んでいて、ああこれでいいのかと思う。それにしてもエリオットの詩は知的だ。こういう詩が本当の詩なんだよなあと私などは思ってしまう。「四月は残酷極まる月だ」というのは西脇順三郎訳だというが、西脇という人の詩はあまり好きではないのだけれど、詩人には翻訳者としての役割というのもあるんだよなあと思いなおす。

欧米の詩の朗読というのはあまり聞いたことがなくて、ヨーロッパ映画などで時々詩がナレーションのように読まれているのを聞いたのと、あとはランボーだったかの詩の絶叫調の朗読をテープで聞いたことがあるくらいか。後者はほとんど勘弁して欲しいものだったが、映画で読まれる詩の朗読というのはおおむねいつも好ましいものだった。エリオットの朗読はほぼそういうイメージに近く、自分が無意識にしている読みにかなり近い。

詩とはこういうものだという先入観があるのでエリオットの詩がなぜ英文学史に衝撃を与えたのかちょっとよくわからないのだが、いろいろ読んでみようと思う。

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