イ・スンヨプの空振り/私が弁護士になっているという噂
Posted at 06/04/24 PermaLink» Tweet
昨日。午前中は何をしたのか、よく覚えていない。いろいろなものを読みつつ、行きつ戻りつしていたのだと思う。ああ、そういえばサンプロを少し見た。手島さんと田原との対談がぶつぎれにされていてイヤな感じだったが、そのあとのプロ野球の底辺拡大の話題も少し見た。そのあとにまた強引なカメラ切り替えがあり、見る気を失って消す。どうなってんだテレ朝。
近くの安売り屋に米を買いに行き、ご飯を仕掛けたあと図書館へ。『昭和文学全集21 小島信夫 遠藤周作 庄野潤三 阿川弘之』(小学館、1987)と古井由吉『仮往生伝試文』(河出書房新社、1989)を借りる。『昭和文学』の方は小島信夫「抱擁家族」が一応の目的だが、遠藤周作「沈黙」とか阿川弘之「雲の墓標」とかちらっと目を通しただけでも確かに名作といいうるものだろうと思われるものが幾つか並んでいる。二冊を携えて隣のジャスコに行き、昼食の買い物。家族連れが多く、混雑している。こういうときはよく人とぶつかるし、しかも自分の家族とはぐれないために必死である人が多いので一寸雰囲気が良くない。ジャスコにあまり行かない理由はそんなところである気がする。
午後もなんとなく『ねじまき鳥クロニクル』の批評やらなんやらをネットで読んだりしつつ、どうも次のことのスタートが切れない。どうにも眠くなってきて4時ごろ寝たら、起きたらもう暗くなっていた。あまり腹も減っていないが有り合わせで夕食を済ませ、巨人阪神戦をなんとなく見る。テレビをつけたらいきなり金本のタイムリーだった。結局試合終了まで見たが、印象に残ったのは、イ・スンヨプの空振り。なんていうかこの選手、本当に存在感のある打者だと思った。投球を待つときのバットの揺らし方が独特で、あれが悠揚迫らざるものを持っている。最初に大活躍していたときはどうもイヤな感じだったが、ヒットが出なくなっても逆に貫禄というかそういうものが圧倒的に目立ってきた。セリーグの配球に慣れる途上なので丁度うまくいかない(投手が成功している)時期なのだろうが、いずれまた爆発的に打ち始めるだろう。不気味な、というより存在感のある、選手である。
10時頃ネットで知り合った方から電話がかかってきて、話し込む。気がついたら朝の4時だった。この長大さは久しぶりだ。今でも喉が一寸痛む。『ねじまき鳥』風に言えばだいぶ井戸を掘ってしまった。西洋史に行ったがイギリス的な歴史、トインビーの文明論のようなことはやれなかった、という話をしたらそれなら英文学にいけばよかった、といわれて目から鱗が落ちた。自分は英語が苦手だったのでそんなことは考えもしなかったが、今いろいろやっていることや考えていることからすれば英文学がいちばん素直な道だったかもしれない。「~が出来ない」というマイナス面に着目しての選択は、結局最大の遠回りを生むのかもしれない。よく考えてみれば『ナルニア』が好きだったし、イギリス史には興味を抱いている部分も多く、イギリス的なものの見方に関心があったことも事実なのに、英語がだめだからドイツ語かフランス語で何とか、という根拠の無い「どこか遠いところに幸いがある」幻想に振り回されてしまったのだろう。今考えてみれば、あの頃もっと徹底的に英語をやっておけばよかったのだ。20歳の頃はそんなことは考えもしなかったし、今の自分が20歳の自分に忠告しようとしても嫌がったに違いないと思うけれども。それもまた人生か。
結局6時過ぎまで寝付けず、黒い廃墟のような植物がうねうねと動き回りカマキリになったりドラゴンになったり蛇になったりする幻想的な半夢を見つつそれでも寝入っていたら8時過ぎに電話がかかってくる。上品な女性の声で「…君いますか」というのでてっきり変な種類の勧誘かと思い、「何の御用ですか」とついつい詰問調になってしまったら、なんと中学校の同級生からの同窓会のお誘いだった。井戸を掘っていたときにずいぶん昔の話をしたので一寸モードが変わりつつあったのだが、この電話で自分の内側がすっかり捻転を起こした。彼女に最後に会ったのは、高二の三月だった(同じ高校に進学したのだが、そのあと私が転校した)から、なんと26年ぶりである。もし同窓会に出席出来たら、多くのクラスメートとは28年ぶりの再会ということになる。確かに26年前も、28年前も、自分という存在はあったのだということを不意に確認させられて一寸狼狽した。上品な関西弁の彼女の喋りにこちらは全然当世風の東京弁でしか答えられず、それこそ何をどう言ったらいいのか根本的な部分で戸惑った。弁護士になっている、という根も葉もない噂が広まっているという話には余計びっくりしたが、こんな上品な話し方をする女性と自分が自分の人生の中で出会っているということ自体になんだか奇妙な新鮮さを覚えた。人生って分け分かんない。
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