アポリネール/妊娠した女性の美/明治時代のレール/カストロの爪の垢

Posted at 06/04/02

昨日。午前中は友人と少し電話をして喋る。お昼を食べてから体調がもうひとつなので家でうだうだしていたが、日比谷図書館の本を返そうと4時過ぎに出かける。途中で大手町の本屋に立ち寄ろうとしたら休みだった。霞が関で降りて図書館に向かう。桜は満開、そこらじゅうで花見客。野音では何とか言うバンドの客入れがもうはじまっていた。図書館に行くとなんと閉まっている。時間外ポストで一応返却はしたが、不審に思いためつすがめつよく利用案内を読んでみたら、土日は5時閉館だった。時刻は5時15分。あああ。

普段は月曜に来ることが多いので気がつかなかった。仕方無しに銀座に歩き、旭屋書店で本を物色。気になっていた池澤夏樹とかを立ち読みするが、どうも文体が私の趣味には合わない。買うのはやめてさあどうしようと思うが、そういえば銀座コアのブックファーストは案外外国文学が揃っていたなと思い、みゆき通りをさらに歩く。

たしかにブックファーストは外国文学が揃っている。教文館よりこちらの方が多いかもしれない。いろいろためつすがめつしてみた結果、ギョーム・アポリネール・窪田般弥訳『異端教祖株式会社』(白水uブックス、1989)を買う。ゴーゴリを買おうかと思ったが、なんとなく(活字の書体が気に入らないとか、訳の文体が気に入らないとか、どうも神経が細かすぎた、昨日は)買わず。

まだ読み始めたばかり。短編16本。「小説のシュルレアリズム」と書いてあるが、それほどかなあ。アポリネールは「ミラボー橋の下、セーヌは流れ」でやたら有名だが、詳しいことは全然知らなかった。今ネットで調べてみたらまさにピカソの仲間で、特にローランサンとの関係が深かったのだと知る。1911年のモナリザ盗難事件との関わりは解説にもなかったが上記のサイトではこれがローランサンとの別れの原因だったとされている。1913年の『ミラボー橋』がローランサンとの別れを歌ったものとしてあるが、アポリネールはローランサンに限らず振られてばっかしだったらしい。

1880年生まれで1918年に亡くなった夭折の詩人だと言うことを知ると、プーシキンと言いレールモントフと言い、どうして自分はこうもそういった人の作品に共感を持つのかと不思議に思ってしまう。アポリネールはポーランド系なのでスラブ的なものも共通している。

ベル・エポックという言葉はよく聞くが、20世紀の第一次世界大戦前というのは本当にロマンチシズムに満ちた時代だったのだなと初めて実感した。「ミラボー橋」の書かれた1913年はストラビンスキーの『春の祭典』が初演されるなど、20世紀芸術の幕開けを告げる「奇蹟の年」とされているのだそうだが、その翌年に第一次世界大戦が勃発していることを考えると、20世紀というのも不穏な世紀だったのだなあと改めて思う。21世紀はどうだろうか。

最初の「プラーグで行き逢った男」。まだ読みかけ。彷徨えるユダヤ人の伝説から。14世紀当時は女の美しさは妊娠しているように見せることだった、という記述にへえと思う。そういえば時代はずれるがボッティチェリの『春』の女神は妊娠した女性の美だなと思う。縄文時代の土偶などもそれを表わしている訳で、そうすると縄文時代の美人は土偶顔だったということだろか。

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明治時代の外国製のレールや、八幡製鉄所が出来た当時に製造された国産初のレールが大阪三越の基礎部分に大量に使われていたことが判明したと言う。これはとても興味深いニュースである。都心部分の再開発が進み、明治期の近代化遺産が解体されていってしまう日本で文化の継承などということがあり得るのかと冷たい怒りを感じることの多い昨今だが、その代償としてこういう興味深いことも判明するのだなとしみじみする。ヨーロッパの中世の町並みは石造りのローマ建築の遺構から勝手に石を頂戴して作られたものが多いという話を聞いたことがあるが、建築資材の再利用というのは面白いなと思う。日本でも古い家を解体したときに出る材を新しい家の茶室や装飾に再利用すると言うことはよくあるが、古レールの再利用というのは面白いなと思う。そういうことが分かったからと言って古いものの破壊への疑問がなくなるわけではないけれども、ある種の原罪を継承していくこともまた、人間の歴史なのかもしれないとも感じた。

橋本龍太郎元首相が中国で下らないことを喋らされている。橋本は日本遺族会の元会長だ。何の面目あって泉下で英霊と相見えることが出来るのか。恥を知れという言葉が浮かぶ。

WBCで準優勝したキューバでは、カストロが「準優勝の分配金はカトリーナの被害者に寄付する」と高らかに宣言していた。アメリカ側は分配金を受け取らないことを条件にキューバの参加を許したのだとこれを無視しているが、結局は被災者救援に回すらしい。アメリカの喉元で意気盛んな独裁者は健在だが、私が彼の言葉で一番好きなのは、「私はおそらく、マルクスとともに地獄に落ちるだろう」というものだ。過去の日本人は潔さが身上であったはず。カストロの爪の垢でも煎じて飲めといいたい。

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2ちゃんねるを読んでいたら美輪明宏の「ヨイトマケの歌」の映像が出てきた。かなり前のものだが、貴重なものだ。


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