詩が永遠を歌うものなら/日中ガス田問題
Posted at 06/03/08 PermaLink» Trackback(1)» Tweet
昨日帰郷。東京駅で時間があったので丸善で『文学界』を買いに行き、ついでに小林秀雄を少し見ようと思ったら店員が棚を把握しておらず、気がついたら時間ぎりぎりになっていて走る羽目になった。中央線の中で『文学界』を読み出したら新宿についたのに気がつかず、また大慌てで電車を飛び出した。ちょっとモードが物書きに入っているので現実社会との対応が疎かになる傾向がある。対応に失敗すると時間もよけいにかかるし後で対応するのによけい面倒になるのでそのあたりはなるべく破綻を来たさないようにしたい。
電車の中では『文学界』と『中原中也詩集』とクロポトキン『ロシア文学の理想と現実』を読む。中也の詩集も今読むと少し感じが違う。だが私の好きなのは晩年、と言っても30歳だが、昭和12年に発表されたいくつかの身辺の情景を描いた詩。それも詩集の最後の「夏日静閑」だ。最後の言葉、「いつもながらの女の写真(かほ)。」というのが、どうも中也のある意味での遺言のように見えてならない。「また見つかったぞ。何が。永遠が。それは海に融けゆく太陽だ。」と歌ったのはランボーだが、中也の永遠は「いつもながらの女の写真」だったと思われてならない。詩というのは畢竟、永遠を歌うものだとしたら、ランボーは永遠を書いたから詩を書くのをやめ、中也は死んだのではないかと思う。そういうことはいつも思う。たとえ詩人でなくても、永遠を何かしらの形でつかんだ人は、もうあまり永くこの世にはいないと言うことがよくあるのだろうと思う。
午後から夜にかけて仕事。忙しい、というほどでもないが、暇という訳でもない。微妙な時間。もう少し忙しくないといけないのだが。夜帰ってきて今日メモしたものをパソコンで打とうと思ったが、そのままばたんきゅーとなった。朝目が覚めてから内容を考えながら打ち出す。書き出しというのはいつも難しい。電話が入ったりして思考の流れが途切れることが何度か。打ち合わせのためにしばらく話。別の打ち合わせのために電話したら出ない。何度か電話してつながると予定が変わって朝から人間ドックに入っているという。仕方がないのでこちらから出向いて書類を預けにいく。そんなこんなで時間がつぶれてしまった。
日中ガス田問題。全然関係ないのに中国側は靖国問題を出してきて非難。馬鹿じゃなかろうか。と思ってしまうが、それだけこの問題に関しては向こう側に余裕がないということなのだろう。この問題に関しては向うは完全にスターリン主義的な教条主義だ。もっとも、スターリンと言う人物はもっと柔軟でプラグマティストな面が強かったと思う。マルクスがマルクス主義者でなかったように、スターリンもスターリン主義者ではなかったと思う。ガス田問題もまるでイスラエルの占領地における入植活動のような無法さだ。これも余裕のなさであるとともに不退転の決意で理非も関係なく遮二無二やり遂げようと言う態度だ。ヒトラーでさえ「もうこれ以上は侵略しないからこれだけ」という狡猾さがあったが、中国のやり方はアッシリアの侵略なみだ。いや、アッシリアの侵略についてよく知っているわけではないのだが、なんとなく言ってみた。
しかしまじめに、中国とどう付き合うかについてはもっとちゃんと戦略を練らないとまずい。アメリカに頼っていればそれで外交終わり、以上、というわけには行かないだろう。冷戦時代とは基本的な思考を変える必要がある。石原莞爾ではないが最終戦争論に匹敵するような外交の戦略思想を持たないと、日本は漂流するばかりだ。国家意思の発言を裏付ける戦力がなければ意思の表現が限定的になりすぎる。陸奥宗光の狡猾さが必要である。
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