「デカブリストの妻たち」/遠くを見つめる目

Posted at 06/03/01

今日から3月、朝から雨。強い風が吹く。しかし気温は、そんなに低くないように感じる。あくまで、信州にしたら、の話だが。

昨日帰郷。いつも行く東京駅の売店で同じ人から弁当を買うのが慣わしになっていたのだが、最近どこかに移ったように思われていた。昨日弁当を買いにいったらその人がいて久しぶりですねといわれた。そんな些細なことで心が少し温かくなる。いい日だなと思う。

特急の中では『プーシキン全集』の5巻とネクラーソフ『デカブリストの妻たち』(岩波文庫、1950)を読む。シベリアに流刑にされた若き貴族たちの後を追って、妻たちがシベリアに向かう抒事詩。その大きな困難があまりに容易に感じ取れるだけにあっという間に詩の世界に入ってしまう。華やかなペテルブルクの貴族社会と流刑地シベリアの暗黒な状況のあまりの落差。愛というものが動かすものの大きさ。ありきたりの言葉で書き切れない。農奴制批判の部分などは作品としてはよけいだなと思うが、時代的にまあやむをえないのかなとは思う。いいものを読んでいるという感じ。「公爵夫人トゥルベツカーヤ」は読了、「公爵夫人ヴォルコーンスカヤ」は2章まで読了。

午後から夜にかけて仕事。人の出入りの多い時期。声をかけたり、祝福したり、悩みの相談に乗ったり。必要な話し合いもあったが、割合すんなりとおさまった。

人間には遠くを見つめる目が必要だ、と思う。


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