プーシキンの南方幻想/秋篠宮紀子妃殿下御懐妊
Posted at 06/02/08 PermaLink» Tweet
FMを聴いている。先ほどはストラヴィンスキー、今度はボロディン。この曲はなかなかいい。日記を書こうと昨日のことを思い出しているのだが、ずいぶん忙しかったせいか思い出せない部分がかなりある。そういえば朝は久しぶりに散歩をした。最近は朝明るくなるのがずいぶん早くなってきたので早く起きないのがもったいない感じだ。しかし寄る寝る前に近くなって新しいテーマが見つかることが多く、それを考えている昂奮してしまったり一通り考えてしまったりして寝るのがずいぶん遅くなってしまう。そういう状況のときはそんなに生産的なわけではないのだが、しかし生産的なこともかなり含まれているので、無駄には出来ない。
昨日帰郷。今回持参したのは『プーシキン全集』第2巻と『ユリイカ』2004年3月号のみ。他の荷物が多かったので最小限に絞る。東京駅で幸福弁当とかいうのを買う。考えてみればすごいネーミングだが、何も考えなかった。特急が新宿を出発し、中野あたりを過ぎるとだんだん線路脇が白くなっている。雪が降ったらしい。私のいる東京東部は全く降らなかったようだが、同じ東京でも西部に行くにつれてだんだん白さが増してきていた。雨と雪との境目が東京を通過したようである。
『プーシキン』は「バフチサライの泉」を読了し、「ジプシー」、「ヌーリン伯」も読了。「ポルタワ」に入っている。バフチサライというのはクリミア汗国の首都だそうで、登場するギレイというハーンの名は実際にキプチャク汗国から独立してクリミア汗国を統治していた王家の名であるようだ。グルジアの情熱的な女性とポーランドの清純な公女とギレイとのエピソードを作者が旧跡を巡って思いを馳せるという趣向で書かれている。プーシキンの南方幻想、西方幻想のようなものがよく表れていていいなと思う。改めてロシアという国が西にカトリックの西欧諸国、南にイスラム、タタール、東にシベリア、北にスウェーデンという、茫漠とした広大なイメージではあるが、強大なそれぞれ全く異なるイメージを結構するものに取り囲まれているのだなということがよくわかる。ロシアの幻想性というのはそういうものに育まれて生まれてきたのかもしれないと思う。
「ジプシー」もそうした南方幻想もの。メリメの「カルメン」と話が似ている部分が多いが、メリメがここから多くのものを得たのかもしれない。「ヌーリン伯」はフランスかぶれの馬鹿貴族を笑い者にする話し、と受け取っていいのだろうか。「ポルタワ」はピョートル大帝のスウェーデンとの戦い、つまり北方戦争の時の話だが、このときはポーランドやウクライナなどもさまざまな動きを見せていたということは知らなかった。ウクライナのゲトマン(統領)であるマゼッパのロシアに対する反乱が主題である。未読了。
『ユリイカ』はいろいろな人が論文作法に付いて語っているのを読む。石原千秋氏の文学畑の学生向けの事細かな語りは、文学というものがこのように研究されるものなのだということを教えてくれていて面白い。
***
午後から夜にかけて仕事。大きなニュースが飛び込んでくる。秋篠宮紀子妃殿下が御懐妊。待望の3番目のお子さまということで、皇室典範論議はこの際棚上げすべきであろうかと思う。
北朝鮮は日本で活動している脱北者7人を引き渡せと言ってきたようだ。もちろんそんなことは受け入れられるわけがない。小泉首相としては外交官のクラスとしては大物を起用して前進を図ったようだが、北朝鮮がそうした態度を変えない以上、協議の前進は難しいだろう。拉致被害者の無事の帰国まで、どうした手段が有り得るのか、もっとさまざまなやり方が検討できるのではないか。
それにしても、御懐妊のニュースは、深く垂れ込めた曇り空に青空がのぞき、そこから強い光が差し込んできたような、非常に明るい報せである。国民の気持ちが晴れやかになる大きなものを皇室が持っていることを、改めて明らかにしていただいたと思う。
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