ぎっくり腰/『文豪の古典力』:古典が「男の読み物」だった時代
Posted at 06/01/04 PermaLink» Tweet
痛て。
なんだか幸せな夢を見て目が覚めた。今日から仕事ということで早めに起きて食事に行くと年賀状の印刷を頼まれてしばし試行錯誤。うまくいったと思って立ち上がったら、突然ぎっくり腰に襲われた。実に七年ぶり。全然立てない。緊急に整体の道場に連絡してみてもらう。1時間少し車に揺られ、手を貸してもらって道場に登り、しばし活現運動。操法を受けて何とか足腰は立つようになった。脚湯をして、後はあまり寝ないほうがいいとのこと。帰りは歩けたが、重いものを持つのは少し辛い。
仕事はとりあえず今日は休む。食べ過ぎの嫌いがあったので昼を抜く。自室に戻って『文豪の古典力』を読む。へえと思うところが実に多い。樋口一葉と尾崎紅葉の古典教養のすごさに舌を巻くという感じだ。一つ面白かったのは伊勢物語や徒然草などを明治時代の文人たちは政治の書として読んだという話。それを筆者は「理想読み」と表現している。現代のわれわれの観念では軟弱な男でしかない在原業平が藤原氏の支配に抵抗する義人、ないしは政治的人間としてとらえられていた、というのは非常に目のさめるような解釈だ。与謝野晶子はこの時点から男と女の愛の苦悩としか古典文学を捉えておらず(これを「体験読み」と評している)、いわば晶子の視点が古典文学観において勝利を収めた、というわけである。
概して古典文学というと研究者も読者も女性が多いような気がするし、あまり「男の読むもの」と捉えられていない感じがする。そのあたりが、外国における自国の古典の位置付けとの圧倒的な違いだろうと思う(まあ古典どころか、男たちは何も読んでいないのかもしれないが)。しかし、しかしもちろん本居宣長らが一生をかけて古典を研究していた江戸時代にはそんなことはなかったわけで、明治にその分水嶺があったという指摘はその点でも当てはまるように思う。大正以降の文学は源氏物語をはじめとする古典の呪縛から逃れて自由になったように見えるけれども、結局は行く先を失って迷走する凧のような存在になってしまったのではないか。古典の復活なくして日本文化の復興もない、という筆者の主張は全くそのとおりだと思う。
痛てて。
『パリの恋人』、良いシーンをまた思い出した。アステア扮するカメラマンがパリを舞台にオードリーの写真を取るいくつかのシーン。エッフェル塔の前(だったと思う)でたくさんの風船を持って走るところ。ぞくっとするくらい美しいし、かわいい。赤いドレスで大階段を下りるところ。美しい。こういう場面のモード的な美しさは本当に比類がないだろうと思う。たくさんのエピゴーネンが、といったら失礼だが、ある種のオマージュとしてきっと今でもさまざまな形でこの映画を「引用」し続けている気がする。オードリーの「代表作」とはいえないかもしれないが、影響力の大きさでは相当なものがあるのではないか。
痛ててて。
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