NHKアーカイブス『徹底解剖!自動車専用船』

Posted at 06/01/30

昨日NHKアーカイブスを見ていたら、1983年の自動車専用船の番組をやっていた。1時間300台のペースで12時間半もかけて積み込む作業を、15人のグループでやるという話に驚く。一口に一時間300台というが、1分で5台である。それを人間が運転し、たて30センチ、横10センチの間隔で隙間なく並べていくのである。入り口はひとつしかないし、当然全速力で何台もの車を連ね、車をきしませながら積み込みを続ける。それでこの密度。一台一台正確に積み込みつつ、一作業終えたらまた車に乗り込んで港の広大な駐車場に戻り、また全速力で行列で積み込み続ける、という作業である。すごいものだなと正直感心する。

海外での荷降ろしの際の自動車の傷の発生を抑えるための積み込み方の工夫という話も面白かったし、車の100分の一の大きさの型紙を並べて並べ方を決定するというやり方も時代を感じさせた。さすがに今ではパソコンの画面上でやるだろうなと思う。しかし、当時17隻しかなかった自動車運搬専用船だが、船会社では思い切った投資として行っていたという。現在では100隻を超えているそうで、ここ20年足らずの自動車産業の発展振りにも驚かされる。80年代後半といえば自動車をめぐる日米経済摩擦が一番激しく、集中豪雨的な輸出と批判されていたころである。この映像を見るとまさに集中豪雨というのがよくわかるが、現在ではその5倍以上の自動車運搬船が操業していると考えると目が回る。それで経済摩擦があまり叫ばれないのは、現地生産が盛んになったからなのだろう。

世界的に見て海運のナショナルフラッグは2社までで限界なのが、日本では3社(日本郵船、商船三井、川崎汽船)が共存できているのは自動車輸送があるからだ、という話を聞いたことがあるが、自動車産業の圧倒的な存在感に改めて驚く。

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by Luke Peterson

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