耐震強度偽装事件とブログの役割/国際社会のペーパードライバーとしての日本

Posted at 05/12/21 Trackback(3)»

昨日帰郷。午後から夜にかけて仕事。暇ではあったが、それなりにやることがあり、遅くなってしまった。今朝は用事で松本へ。帰りに塩尻の知人宅へ立ち寄り、先ほど帰宅。今日は比較的寒さが和らいでいるようだ。しかし明日から、あるいは今夜からかなり冷え込むし荒れるという話なので戦々恐々。明日は予定が目白押しなのだよな。しかし年内はこれで終わり、という仕事もあるし、さてさて粛々とこなそうと思う。

「きっこのブログ」の件、「極東ブログ」氏は民主党と共謀した左翼の戯言、というようなのりで取り扱っていておられて、それはないんじゃないかなと思ったが、まああんまり気合が乗りすぎると私も唇が寒くなったことも過去に多々あるし、適度なブレーキだと思って読んでおこうと思った。思った通りかなりの衝撃をネットの世界では巻き起こしているが、民主党支持だろうと自民党支持だろうとこの問題はなるべく深くまで究明してもらわないとまずいと思う。「極東ブログ」氏も「庶民には社会制度の不備が問われるべきだということ。真相解明というなら、イーホームズ藤田東吾社長自身のタレコミの裏を探るのが先決ではないのか。」といっておられるように。このあたりのところをきちっとしていただきたいものである。

これで民主党に風が吹くかというとまあ正直言ってそれを生かすだけの力量がこの党にはないと思うし、政局につながるとは余り思えない。ブログが政局を左右させる煽動道具になる、ということを懸念している方が多いようだが、私はそのあたりはむしろ懐疑的だ。「パソコンと英語で政権を取れると思っている民主党若手議員」ならそう思うかもしれないが、小泉圧勝の政治的テクの前には一敗地に塗れたことからも彼ら自身もそうは期待してないんじゃないかな。公職選挙法が改正されてネット上での選挙活動がOKになったらどうなるか、というところまではわからないが。ひょっとすると今回の仕掛けもそのときの予行演習なのだろうか。

ブログが正義の鉄槌になると思っていたら政権引きずりおろしの巧妙な仕掛けに引っかかっていた、というのでは確かに間抜けだが、結局は自分で読み自分で考え自分で本当に共感できる部分だけを支持し自分が必要だと思う行動を取ればいいだけのことである。それでそれが何かに引っ掛けられていたとしたら自分が馬鹿でしたということで満天下に恥を晒すリスクも自分持ちではある。今のところ、きっこのブログを読んでいただきたいと書いたことに間違いはないと思うし、特にイーホームズ社長からのメールは読んでいただきたいと思う。それに馬淵氏に頑張ってもらう以外にこの問題の解明と事態の改善につながる道筋は今のところ思いつかない。民主党にしてもこういうところで確実に得点を稼ぐしか政権への道筋はあるまいし、それで事態が良くなれば日本にとって良いことではないかな。まあメール爆弾の集中投下のようなやり方はどうかなと思うところはあるし、民主党がいいとは思わないという点が私の中で変化したわけでもないが。

しかしまあ、私自身権力中枢について何か知っているわけでもないから楽観的な期待をするのかもしれないが、警察も問題があるときもあるが、「国を正す」という点で真剣な人は多いしそうした局面ではそれなりのことをしてくれると思う。政府与党の圧力に弱いのは致し方ないが、一線の捜査員の執念で思わぬ玉が挙がったりすることもある。圧力を上手にかわしながら、問題の核心に迫っていただきたいと思う。

金正男ディズニーランド事件のとき、真相を明らかにしないまま出国させたことが入管職員の中でも反発を呼び、空港でタラップまで歩かせてあの顔とあの様子を世界中にじっくり放送させる、という抵抗を呼んだという話もある。あの件で、金正男は世襲レースにかなり重大な一撃を加えられたはずだ。今回の事件でも圧力が強くても、「真実はこうだ」という何かサインを発することは可能なのではないかと思う。デスメッセージといったっけ。ミステリーは読まないのでそういうことには詳しくないが、何かサインを送ってもらいたいものだと思う。

「人の道はいかなるものぞ」という言葉ではないが、「国政の道はいかなるものぞ」ということが問われているのだと思う。高度な政治的妥協や外交的駆け引きが必要になることもあろうが、「日本の政道」を高からしめるためにはいかなる対処が必要なのか、ということを考えて進めていただきたいと思う。それは決して「構造改革」や「市場主義」だけではなく、日本の精神的価値を高めるようなさまざまな試みがなされなくてはならないと思う。中国や韓国が地に落とすことを目論んでいるのはもちろんそういうものであるわけだし、アメリカも「勝者の権利」として「道徳的優位性」を主張している。「われわれは勝者であるのだから領土を獲得して当然だ」というロシアの主張が一番正直だし、こうした人々との交渉が実は一番まともにできるのかもしれないとも思う。

戦争とは結局国際的な紛争を解決する手段だし、負けた国は降参する代わりに数々のものを差し出して許しを乞い、勝者は多くのものを獲得して「これくらいで許してやる」とふんぞり返るのが昔も今も戦争というものの実態である。スターリンはトルーマンとチャーチルから促されて南樺太と千島を占領し、満州を蹂躙し、北朝鮮を占領して、日本人の多くの将兵をシベリアに連れ去って酷使した。彼らはそれを根本的には「勝ったのだから当たり前だ」と思っている。アメリカは日本の領土を奪い去りはしなかったが、現在まで日本をコントロール化に置いているし、原爆投下という「人類に対する罪」も勝ったことによって免罪されると思っているだろう。さまざまな理屈を駆使はするけれども、結局は勝者は敗者から奪い取るのが当然だという人類史の無言のルールが大前提なのである。

日本も昭和20年まではそういうルールで行われている国際社会というゲームのプレイヤーであったけれども、アメリカは日本がプレイヤーとして復帰しないための工夫をさまざまに凝らし、それは現在まで成功している。しかし日本が思い通りになることに自信を持つと、再びコントロール下で使えるコマとしてのプレイヤーとして便利に使いたいという要望が出てきているに過ぎない。

プレイヤーであることから降りる、ということは結局は主権国家として国際社会という舞台から去るということに等しいわけで、日本という国をどこかの完全な領土にすることを望むのでない限り、そんなことは出来ない。結局は勝ったもののいうことしか人は聞かないのだから、日本が日本の理想というものを主張したいなら及ばずながら努力するしかない。それがなるべく軍事的な手段でないことが望ましいのは当然なのだけど。

それにしても、日本は国際社会から外れて眠っていた期間が余りに長いせいか、どうしても勘が狂っているようである。現在の日本はどの角度から考えても相当な部分で非常に強力なプレイヤーの一人になっているはずなのに、どうもその運転は危なっかしい。国際社会という道路交通上のペーパードライバーという感じだ。イラク派兵というのもどうもアメリカ主導の教習所で路上教習をやっているような尻の落ち着かなさがある。車を運転するから事故が起こるんだ、車など乗らなくていい、という主張もあるわけだが、まあ結局はそうも行かないのが現実というものだと思う。

「政治の道はいかなるものぞ」という問いかけに対する答えは、ある程度のものを日本は持っているのだと思う。しかし例によってそれは「言って分かるもの」ではないので、なかなか理解させることは難しい。もちろん日本の内政自体も建て直しを要するところは多々あるわけなのだけど、ある程度は政治家にしか出来ない部分が大きいのもまた止むを得ない。

どっちにしても、右とか左とかいうような言葉の意味は、今後はもっと限定的なものになっていくだろう。フェミニズムやエコロジーなどももうその嵐のピークは去ったと思う。こう書いても何か新しい展望を示せるわけではないが、いかなるものぞ、と問いを繰り返していくことによって、何か見えない前進があるのだと思う。問いのないところに、答えはない。

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