今市小一女児殺害事件/谷垣スキャンダル/「萌え」と子どものペット化
Posted at 05/12/03 PermaLink» Trackback(2)» Tweet
昨夜帰京。午後から夜の仕事がかなり忙しく、体調が悪くて少々きびしかった。上京の特急の中では隣の席の外国人と日本人が日本の話題の妙なやり取りをずっと続けていてどうかと思った。車中週刊文春を読む。谷垣財務大臣の十数年前のスキャンダル。やはり中国は怖いということか。もちろん、社会主義国に有力な政治家が行ったら金と女の接待漬けにされてものが言えなくなるし情報もだだ漏れになるというのは巷間よく言われていることで、全くそのパターンに嵌められただけなのだが、「次期首相候補」にとっては手痛いスキャンダルだろう。アメリカでも大統領候補であったハート上院議員が女性スキャンダルで失速したことがあったが、権力の頂点に駆け上る直前が一番危ないのはどこの国でも同じことだ。駆け上ったあとにスキャンダルが晒された宇野前首相や世界にアメリカの恥を晒したクリントン「不適切な関係」前大統領よりはましかもしれないが。
しかし、これもまた、小泉首相に楯突こうという構えを見せている財務省および谷垣大臣を狙った首相官邸が出所のスキャンダルや「国策捜査」の一環なのかもしれない。「国策捜査」ということばは佐藤優『国家の罠』で有名になったが、ようは国の政治の方向性を転換するためにキーパーソンの事件を作り上げ、その間に新たな方向性を打ち出すという手法だそうだが、当然このやり方は政策の違いや権力闘争などに利用される可能性が高いのは言うまでもない。小泉政権になってからこの国策捜査が乱発されているということはよく言われていることで、全ての情報を知りえる立場に居る総理大臣にはいかようにも権力を振るえるということになる。『核のボタン』を押す特権を持っているわけではないにしても、日本国内で振るい得る力は絶大なもので、小泉氏ほどそれを実際に使った首相はいなかっただろう。
今朝もつけっぱなしにしていたテレビから公務員宿舎などの国有財産売却に反対する財務省を攻撃する小泉首相の発言を小耳に挟んだが、今度は財務省を「抵抗勢力」に仕立てて「国有財産の叩き売り」に乗り出す構えなのだろう。週刊文春の猪瀬直樹のコーナーでも日本の面積の4分の1が国有地だと仰々しく書きたてていた。それのどこが悪いのだろう。ヨーロッパなどでは都市の中心地域はほとんどが公有地で、町並みや景観の保護に行政や住民が当たっているという話はよく聞く。今でも公有地が日本の町並み保護に十分役立っているとは思わないが、少なくとも民間業者の無秩序な開発よりはましだろうし、むしろ景観というものを考える方向に動いてもらいたいと思う。そのためには国有地売却など阻害要因でしかない。小泉首相と彼を中心とする勢力が日本をどうしようとしているのか、そろそろみなが立ち止まって考えるべき時期なのだと思う。
帰ってきてテレビをつけるとまた痛ましいニュースが流れていた。広島事件が起こったばかりだというのに、栃木県今市市の小学1年生女児が刺殺され全裸で山中に放置されていたという。日本は今、子どもを守れない国である、という自覚を国民全体が持つべきなのだ。強度偽装問題がコンサルタント会社が首魁となった巨大な事件になりつつあるのと同時並行しての女児殺害事件の連続。「日本がおかしくなった」と感じている人はきっと少なくないだろうと思う。
しかし、考えてもらいたいのは、いったい日本がおかしくなったのはいつからなのかということだ。私たち日本国民は、あるいはその代表者が組織している日本政府は、部活帰りの中学1年生の女子生徒が北朝鮮に拉致されるのを守れなかった。それはいったい何年前のことか。3年前、ようやく一部の被害者が帰国できたが、それ以来ほとんど進展は見られないまま支援活動に熱心な政治家たちが次々に切られて行く。
考えてみてもらえばすぐ分かると思うのは、これら今まで述べてきたすべての事件が、日本の国土、日本の将来を担う子どもたち、日本の文化や伝統、日本の慣習、そうしたものに対するあまりに薄い愛情に起因することである。日本の国土や景観やそこに暮らす人たちに対するあまりに責任感の欠如した建設業界も、日本の従来の慣習に基づく人間関係をすべて破壊し去ろうとする小泉政権の諸政策や経済業界の活動も、全てそうしたものに起因する。
そのもっとも象徴的な事件が皇室典範改正問題に他ならない。週刊文春で取り上げられていたいわゆる有識者会議の委員の発言を見てみると「皇室の歴史はなんとなく男系でつながってきただけだと思う」とか「皇室がなくなっても日本はどうにもなりはしない」とか、全く不勉強な委員が「有識者」として加わっていること自体、日本の文化や伝統や慣習、つまりは日本の国柄というものに全く理解も愛情のかけらもない人選なのである。こうした近代化ロボットのような人々が作成し権力を振り回す内閣が提案した改悪案が何も考えているとは思えない「小泉チルドレン」の数の力で国会を通そうとしている。
女帝支持派、というよりなんとなく女帝でどこが悪いの、と思っているのほほんとした一般国民は、なんとなく愛子内親王殿下の挙措の愛らしさをみて将来の女帝としての活躍ぶりを想像し、ミーハー的に期待しているに過ぎないのだと思う。皇室のアイドル化という現象が結局はこういう弊害をもたらしたのだろう。そういうミーハー思想は自分の娘を飾り立てることに熱中する「子どものペット化」を平気で行う親の思想と結局は同じものだと思うし、それは結局は幼い女の子に「萌え」る連中と根本的に同じだと思う。子どもを殺しているのは「変態」ばかりではない。「ペット化」を「愛」と強弁する種族も皇室のアイドル化を喜んで日本を愛しているものと錯覚している種族と変わることがないのである。
日本がどういう国であったのか、そして現在どういう国であるのか。何を守り何を変えていくのか。そういうことをもっと虚心に、歴史や文化や伝統に学んで欲しいと思う。私自身そうしたことの勉強中だから決して偉そうなことはいえないのだが、日本も守れずに世界を語る連中のいうことは片腹痛いとしか思えない。
小林秀雄『本居宣長』を少しずつ読み続け、源氏物語の話が終わって万葉の話しに入っている。小林のような日本文化の意味や価値を常に社会に向かって語り続ける存在が、今の日本には緊急に求められているのだと思う。
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from 非国際人養成講座 at 05/12/06
週刊誌で谷垣氏のスキャンダルが持ちあがっているそうだ。又聞きで失礼するが、外交のファンタジスタの記事より 谷垣禎一財務大臣にスキャンダルが持ち上がった。今週発売の週刊文春が告発スクープとして報じた「中国人女性買春疑惑」がそれである。
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