やるね
Posted at 05/11/12 PermaLink» Tweet
昨夜帰京。昨日はいろいろ忙しかった。実際の忙しさよりも、いろいろなことで気持ちが忙しいというか余裕がなくなっていたことで、疲れを感じたのかもしれない。しかし表面上はそういうことも顔には出さないようにして人にも穏和な対応をしていた。というか、自分では出来たと思っているのだが。ただ、少し強い言い方をすると相手が黙ってしまうようなこともあったので内側の妙な強いテンションは相手には伝わっていたのだろうと思う。
まあしかし、なかなか難しいなと思っていたことがどうにかなりそうな感じになってきた件もあって、人生というのはいいこともあまりそうではないこともいつも連れ立ってやってくるのだなと改めて思う。やはり変なことばかりが起こるのは相当な局面なのだ。それは普段からそういう流れのようなものを敏感に察知していないから耐震装置のようなものが働かなくなっているということではないかという気がする。感覚をいろいろな面で鋭敏にしておくことは、やはり生物として生きることの基本、最重要事項だなと思う。
特急の中は割合空いていた。出張帰りと思われる会社員集団がなんとなく管を巻いているのはいつものことだが、あまり気にならず。ご飯を食べて週刊文春を読む。先崎学のコラムが面白かった。将棋の公式戦では将棋会館の15畳くらいの部屋で真ん中に机を置いて向かい合って二人の記録係が座り、その両側に将棋盤が置かれ、それぞれ対局者が座る。将棋盤、机、将棋盤と並んで人間は3対3のような形で座るのだという。記録係に座るのは奨励会の少年たちなのだが、その少年たちがつい居眠りをしてしまうことが往々にしてあるのだという。
話は先崎氏のそういう少年時代の失敗談なのだが、居眠りをしていてもパチリと駒音がすると目が覚めるのだという。確かにプロの将棋では1時間くらい長考することもあるわけだから昼食後などには少年たちが居眠りをしてもそう不思議ではない。駒音で目が覚めるのは棋士の習性のようなものだというわけである。しかしあるとき先輩棋士にいたずらをされて、音を立てないように指されてしまい、目が覚めたら数手進んでいたのだという。先輩はニヤニヤしているし、自分は真っ赤になって、まさか記録係がどう指したのかと聞くわけにも行かず、想定できる手順を勝手に書き込んだのだという。すると先輩が記録用紙を覗き込み、「あってるよ、やるね」といわれたのだという。まさにスリルとサスペンスである。
思い出したが、昨日はビッグコミックの新しい号も読んだのだった。どういうわけだか感動的な展開になっている連載が多く、特に『天上の絃』はつい涙がこぼれてしまった。戦後国交のなかった日韓の間で本当に苦労した人たちがいるのだなと改めて思った。
『小早川伸木の恋』はもうすぐ大団円を迎えそうだ。柴門ふみのマンガはいいと思うものと気に入らないものが極端に分かれるのだが、これはなかなか面白いなあ。やはり当初悪役かと思っていた婦長さんがどんどん変わっていくところなどはドラマとして見ごたえがある。医療の世界というのも人格高潔な人たちの集団だとつい思ってしまうが、ネットでいろいろなものを読んだり巷間伝えられるニュースなどを見たりすると、もちろん素晴らしい人たちも多いのだと改めて思う一方で、必ずしもそうでもない人たちも多いのだなと最近は思う。昔の人が医者にかかりたくないというのは人の世話になりたくないという独立心の表れだったのが、現在ではあまり信頼が置けないという不信感の現われになっているということがなければよいが。
12時前に帰宅し1時ころ就寝。目が覚めたら9時前で、どうも大事な連絡の電話をうっかり受け損なったらしく、少々凹む。連絡は結局ついたのだが、ちょっと凹み系の精神状態であることを自覚する。まあ精神的にも肉体的にもちょっと疲れているということだろうから無駄な抵抗はせずにおとなしく過ごすことにしよう。
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