万葉集/東証システムトラブル

Posted at 05/11/02

昨日帰郷。

昨日の朝はやることをいろいろやっていたらどんどん時間が無くなって、最終的には家事をこなしきれずに飛び出すことになった。どうも動きが鈍くなっている感じがする。寒いせいか、疲れているのか、油断しているのか。頭は動いているのだが、茫洋とした思索モードである。日本の思想について勉強しなおそうと考えたら途端に前途が洋々というか巨大な世界が開けたというか、とにかく新しい世界に飛び込んでしまって目を回しているという感じである。一応道案内のマニュアルというか地図のようなものを読んでいるところということになるか。『日本思想史入門』、古事記・万葉集の項は読み終わって今は空海の「三経指帰」の項を読んでいるのだが、なんだかよけい漠然としてきた。

しかし、万葉の項で引用されている和歌などを読むと知らないものも結構あって、思わずいいなと思ったものもあった。

 かく恋ひむものと知りせば夕置きて朝は消ぬる露ならましを

という巻12の恋歌などはとてもいい。若いころ好きだったのは

 多摩川に晒す手作りさらさらに何ぞこの子のここだ愛しき

という歌なのだが、「愛しき」と書いて「かなしき」と読むなどと言うのは多摩川に布を晒す情景の手の冷たさなども想像されてああ、カナシイなあ、と思ったものである。本当に人を好きになるたびにこの歌を思い出したものだが、最近は思い出す機会もないのは残念である。

万葉は、まあいろいろと理屈はつけられるだろうがいろいろ言わなくてもとにかく心にストレートに飛び込んでくる感じがして、とても好きな歌が多かった。しかし実際には江戸時代の契沖らによる解釈がかなり入り込んでいるわけだし、そこで歌われた上代の日本人の美的価値をもう一度感じなおし、とらえなおすことはやはり必要だと思う。

古事記も、というか書紀も含めて記紀歌謡というものも真剣に鑑賞したこともないし、このあたりも見直してみたいものだなとも思う。ただ中古中世、あるいは近世に比べて分かったような気になってしまうところが上代の怖さだという気もする。しかしそれであっても西欧の中世文学よりもローマの古典の方がわれわれにとって読みやすいのと同様、『古典』というものの持つ単純明快さが上代の文学にはある。もちろん古事記を構成する、あるいは古事記から垣間見える思想性というものは一筋縄で行くものではないが。

昨日の最大のニュースは東京証券取引所のシステムがストップしたことだろう。これについて書いているブログなどは今のところ拝見していないが、それぞれどのように捉えているのか。結局稼動したのが午後1時半から3時までということのようだが、その短い時間に資金が投入されたためか東証株価は今年の最高値、もうすぐ1万4千円というところまで上昇した。なるほどそういう影響が出るのか。ならば時々ストップした方が株価が上がるかも…いや、そんなことになったら資金が東証から離れてどこかに行ってしまうし、そうすれば日本の経済もまたどん底に逆戻りだろう。システムを構築したのは富士通だということだが、日本経済の根幹を支えてこうしたシステムはいろいろと大変なことも多いだろうが何重にもフェイルセーフをかけてしっかりと守っていただきたい。

テレビを見ていたらシンクロの奥野史子が肩甲骨を「はがす」ストレッチを紹介していたのだが、よく見られなかったのでネットで調べてみるといろいろとあることを知る。そのなかのひとつをやってみると、確かに肩の調子が良くなる。肩甲骨の存在を意識できるようになると、肩の調子はかなり変わる。肩の周りの筋肉残りや疲れや張り具合のようなものが感じ取れると無意識に肩を動かすし、それが予防にもなるようだ。

東京駅で弁当と日経を買い、新宿で特急に乗車。この時期の特急の空調は時に寒いときがあり、車掌に頼んで調整してもらうのだが昨日はあまり変えてもらえなかった。寒いのは体調に堪える。

夜は仕事。終わったころにはもうだいぶ冷え込んでいた。今朝目が覚めると外には霜が降りていて、空はカナシクなるほどの青空。気温は2℃くらいまでは下がったようだ。晩秋の日差しに輝く風景を見ていると、無性に写真が取りたくなる。私がネットに日記を書き始めたのもやはりこの季節だった。

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by Luke Peterson

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