官房長官/日の丸の似合う顔(続き)/日本の伝統思想
Posted at 05/11/01 PermaLink» Tweet
内閣改造続き。片山さつき議員がインタビューを受けていたが、今日にでも発表されるだろう副大臣・政務官人事で彼女もどこかにはいるのではないか。地味ではあるが、このあたりにもまだ見所はあるような気がする。
官房長官は重要閣僚ではあるが、総理大臣にまで出世した人は意外に少ない。戦前の内閣書記官長で総理になったのは鳩山一郎(田中義一内閣)のみ。戦後では吉田内閣でまだ議員になる前の佐藤栄作が起用されたのが目を引くが、その後は大平正芳、鈴木善幸、竹下登、宮沢喜一、小渕恵三の各氏のみである。これを見ても思うがやはり番頭型とでも言うべき人が多い。番頭で実務を身につけさせて婿養子にして後をつがせる、という江戸時代の商家のような政権継承には官房長官もいいが、安倍氏にはどんなものか。しかし官房長官の役割も地位も昔より遙かに高いことは事実なので、このポジションで世界にその力を発揮する基礎を築いていただきたいとは思う。
日の丸のにあう政治家、というテーマで昨日は書いたが、愛国者だから、という意味ではなく(もちろん安倍氏は愛国者だと思うが)、なんというか本当に審美的に顔と日の丸がマッチする、という意味である。その辺からいろいろ考えてみると、野球選手で一番あうのはイチローか。柔道だと多くの選手が合うが、谷亮子もやはりベストマッチだろう。昨日新閣僚になった面々では、安倍氏の次に似合うのは実は猪口邦子氏ではないかと思った。
顔つきがなるべく素朴でシンプルで強い意志を感じさせる、また裏表があまりなさそうな人が日の丸のシンプルで力強いデザインに似合うのだと思う。意外と術数家の小泉首相などはあまり似合わないし、屈折の強い顔つきの中田ヒデなどもあまり似合う感じがしない。古い言葉で言えば「誠」を感じさせる人、ということだろうか。あまりに単純すぎて力がついていかない人はまた逆にあまり似合わない様にも思う。今の日本では「日の丸が似合う」といってもあまり誉め言葉と取られないかもしれないが、日の丸の似合う人柄というのはあんがい人間として理想的なのかもしれないとも思う。
安倍氏に関してはまだもちろん見習いというか番頭的ポジションであるから、本当に日の丸が似合う政治家として全うできるかどうかはこれから次第だと思う。なんにしても頑張っていただきたい。
昨日は夕刻丸の内に出かけて丸善で相良亨編『日本思想史入門』(ぺりかん社、1984)を購入。4階のカフェで東京駅の夜景を見ながらシフォンケーキを食べた後、急にフジコ=へミングが聞きたくなって大丸の6階で『カンタービレ』というCDを購入。地下街をウィンドウショッピングして帰宅。
いろいろやって見ないと分からないことは多いのだが、日本の思想について自分が体系的にきちんと勉強したことがないことにようやく気付く。「まえがき」の最後に書かれた相良氏の「日本思想史という学問は、日本の伝統的思想に、いかにさまざまな考え方があり、豊かな可能性を秘めているかということを知るいとなみであろう。われわれが人間として真実な生き方を求める時に、われわれはおのれの内面を問い直す手がかりとして、まず、われわれの伝統を明らかにしてゆく必要があるであろう。」という記述に強く共感する。
日本人は日本について知らな過ぎる。こころについても、かたちについても。歴史について、私は今までいろいろ勉強してきたけれども、歴史学というものが実証性を重んじてそこに留まる限り、超えられない限界があるということもだんだん意識するようになって来た。日本思想というものは豊かであることはよく理解しているが、ある意味魑魅魍魎的な複雑さと太陽が中天に懸かるようなシンプルさとをともに持っているものだという気がする。自分自身の生を豊かにするためにも、現代日本人の生を豊かにするためにも、日本の伝統思想というものはもっと研究されなければならないし知られなければならないという気がする。
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